【デマ吐き婆さん信者も懲りんねえ】黒胡椒の精油が関節炎やリウマチを治すことはありません。

Facebookに投稿されたように、黒胡椒オイルは関節炎やリウマチを治すことが出来るのでしょうか?サーストン関節炎研究センターの広報担当者がLead Storiesに語ってくれたところによれば、関節炎で最も一般的な変形性関節症の治療法はまだ確立されていないとのことです。同様に、自己免疫疾患であるリウマチの治療法も知られていません。関節炎財団はLead Storiesに対し、黒胡椒オイルはどちらの症状に対しても治療薬と考えるべきではないと述べています。登録栄養士は、Lead Storiesに対し、この主張が虚偽であることを明言しています。

この主張は、2023年5月14日にFacebook上に投稿された(アーカイブはこちら)、(薬事)指定されていないオイルが関節炎とリウマチを治すことが出来ると主張するものでした。投稿者の最初のコメントは、黒胡椒オイルを意味する記事にリンクしていました。キャプションには次のように書かれています:

このオイルは血液中の尿酸を除去し、不安、慢性関節炎、リューマチを癒し、タバコやアルコールへの欲求を止める。
詳細は最初のコメントで⬇️

Dr Barbara O'Neill Group | # The oil that removes uric acid from the blood, heals anxiety, chronic arthritis, rheumatism, and stops cravings for cigarettes and alcohol | Facebook

以下は記事執筆時の様子です:

(出典:2024/05/16 木曜日 19:01:37 UTCに取得されたFacebookのスクリーンショット)

「現在のところ、変形性関節症の治療法はありません」と、ノースカロライナ大学医学部のサーストン関節炎研究センター(アーカイブはこちら)の広報担当者であるNicholas Beresic氏は、2024年5月16日に受け取った電子メールでLead Storiesに語っています。Beresic氏は、Osteoarthritis Action Allianceのウェブサイト(アーカイブはこちら)にある、変形性関節症のエビデンスに基づく治療法のリストを紹介して下さりましたが、この疾患には治療法が確立されていないことも記してあります。

関節炎財団(アーカイブはこちら)の広報担当者は、2024年5月16日に受領した電子メールにおいて、関節炎の治療法が知られていないため、「黒胡椒オイルを治療法と考えるべきではありません」と述べています。

シカゴ在住の登録栄養士であり、業界団体であるAcademy of Nutrition and Dietetics(アーカイブはこちら)の広報担当者であるMelissa Prest氏(アーカイブはこちら)も、Lead Storiesに対してこの主張が誤りであることを明言しています。

「関節炎には様々なタイプがあり、体の消耗によるものもあれば、自己免疫疾患によるものもあります。食事や生活習慣の管理によって症状を改善出来る場合もありますが、関節炎の治療法は知られていません」と、2024年5月16日にLead Storiesに届いたEメールにPrestは記しています。

変形性関節症は、関節炎の最も一般的な形態であり、関節の「骨を覆う軟骨がすり減ることを伴う」とメイヨークリニック(アーカイブはこちら)は述べています。リウマチは、「免疫系が関節を攻撃する病気であり、関節の内壁から始まります」

Johns Hopkins Medicine(アーカイブはこちら)によりますと、関節炎やその他のリウマチ性疾患の治療目標は、一般的に関節機能を維持するために痛みや炎症を抑えることです。ジョンズ・ホプキンス関節炎センター(アーカイブはこちら)は更に、関節リウマチの治療オプションには、薬物療法、関節ストレスの軽減、理学療法、作業療法、外科的介入が含まれることを指摘しています。

この投稿自体は、黒胡椒や黒胡椒オイルについて特に言及していないが、コメント欄のリンクから、このミームと同じタイトルの記事(アーカイブはこちら)を参照することが可能であり、その記事には黒胡椒から作られたオイルであることが明記されていました。記事には次のように書かれていました:

黒胡椒の精油は、胡椒粒の蒸留によって抽出され、無数の効能をもたらす......抗関節炎、循環促進、鎮痛......そして抗炎症、黒胡椒オイルは豊富な栄養素を含み、強壮、活性化、精神的刺激で知られている。

The oil renowned for eliminating uric acid from the bloodstream, alleviating anxiety, chronic arthritis, rheumatism, and reducing cravings for cigarettes and alcohol. – All Recipes Healthy Food (healthy-foods.me)

黒胡椒はPiper nigrum(アーカイブはこちら)という植物の果実から作られ、ピペリンは黒胡椒に含まれる化合物です。

2009年にArthritis Research and Therapyに掲載された記事(アーカイブはこちら)によると、ピペリンをラット(ヒトではない)に経口投与したところ、痛みの反応や関節炎の症状、足首の関節の炎症が軽減されたという結果が出ています。同様に、この研究では、ピペリンは 「関節炎動物モデルにおいて、抗炎症、抗侵害受容、抗関節炎効果を示しました」と結論付けられています。

Journal of Essential Oil Bearing Plantsに掲載された2012年の研究結果(アーカイブはこちら)からは、黒胡椒の精油が「抗酸化作用、抗炎症作用、抗侵害受容作用」(痛みをブロックする作用)を持つことが示唆されていました。

2015年、研究者達は、Current Topics in Medicinal Chemistry(アーカイブはこちら)に掲載されたこのテーマに関する既存の科学文献をレビューを実施しました。彼らは、いくつかのピペリン種が特定の症状に対して抗炎症作用や 抗酸化作用の可能性を示すと結論付けています。

しかしながら、これらの研究は、黒胡椒の精油が関節炎の症状を治すことを証明するものではありません。その代わり、この研究はピペリン化合物が治療の可能性を持っていることを示唆しており、「医薬品として、或いは関節炎の治療のための栄養補助食品として使用することについて、更に研究される必要がある」ことを示しているということです。

上記の投稿をシェアしたFacebookグループ 《Dr. Barbara O'Neill Group》は、オーストラリアのニューサウスウェールズ州での診療を禁じられている自然療法士とは無関係です。概要によりますと、このグループは2023年12月13日に設立され、ニューヨーク市にあるということです。上記の投稿と同様、Facebookグループの大部分の投稿も、ウェブサイト《All Recipes Healthy Food》に投稿された内容をそのままコピーしたものです。

Facebookの投稿も、リンク先のウェブサイトのレシピも、投稿が示唆したような、黒胡椒オイルが関節炎やリウマチを治すという信憑性のある証拠は示していませんでした。

健康トピックに関するLead Storiesの他のファクト・チェックはこちらからご覧頂けます。

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