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【廃棄物処理法解説】環境省通知を学ぼう 『建築物の解体時における残置物の取扱いについて(通知)』

皆様こんにちは!越後谷と申します!
静脈産業に長年従事し、法令関連の記事制作を担当させていただきます。
今回は『建築物の解体時における残置物の取扱いについて(通知)』について解説します。

残置物とは

残置物とは建築物の解体工事やリフォーム工事を行う際に、その建築物の所有者やテナント企業等が残置した廃棄物のことを言います。
具体的な残置物は家具、電化製品、日用品、自転車などが挙げられます。
解体工事やリフォーム工事等の建設工事に伴い排出される産業廃棄物は元請(建設会社、解体業者)が排出事業者となりますが、残置物は建設工事自体から排出される廃棄物ではないため元請が排出事業者ではなく建築物の所有者またはテナント企業が排出事業者になります。
また、残置物は排出事業者が企業か一般家庭かで産業廃棄物、一般廃棄物に分かれることがあるので注意が必要です。

建築物の解体時における残置物の取扱いについて(通知)』についてとは?

残置物に関する通知は過去平成26年2月に発出されています。
今回紹介する通知は平成30年6月に発出された2度目のものです。
2度目の通知が発出された理由は平成29年2月に中央環境審議会において取りまとめられた「廃棄物処理制度の見直しの方向性(意見具申)」の中で残置物の取り扱いが課題とされ、見直しの方向性として“地方自治体、一般廃棄物処理業者、建設業者等の関係者の連携により円滑な処理が行われている事例があることから、これらの取組事例を含め、残置物の取扱いについて、地方自治体、処理業者、排出事業者等に周知していくべきである。“とされたことから再度周知するためです。
廃棄物処理制度の見直しの方向性(意見具申)について興味のある方は下記リンクよりご覧下さい。

さて通知の中身を端折って説明すると以下の3点になります。
1.都道府県・市町村は残置物の処理責任は建築物の所有者等にあり、解体する前に適正処理しなければならないので建築物の所有者、元請業者、廃棄物処理業者等の関係者(以下、関係者)への周知徹底及び適切な指導をしてほしい。
2.都道府県・市町村は関係者より一般廃棄物である残置物のことで相談を受けた際には適正処理が実施されるように指導してほしい。
一般廃棄物である残置物を処理する場合は、市町村からの残置物の処理の委託を受けているか一般廃棄物処理業許可を受けていなければならない。一般廃棄物処理業許可を出す場合は基準を満たさないと出してはいけない。その際に一般廃棄物処理施設の設置許可が必要となる場合は特例があるので活用することも可能。
3.リフォーム工事等建築物の解体以外の場合にでも残置物の処理責任は建築物所有者やテナント企業等にあるので関係者への周知と適切な指導をしてほしい。

2にある一般廃棄物処理施設の設置許可の特例とは、一般廃棄物処理施設設置許可を取得しないで産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物を処理する一般廃棄物処理施設として設置することが可能になる特例制度です。
東日本大震災やそれ以降の大規模な災害の教訓を踏まえて大量に発生する災害廃棄物を迅速かつ円滑に処理できるように2015年(平成27年)の廃棄物処理法改正で生まれた制度です。
参考までに一般廃棄物処理施設の設置許可の特例について説明しているサイトのリンクを紹介します。

残置物という言葉に聞き馴染みのない方は多いと思います。
建設廃棄物の取り扱いをしていなければ滅多に出会うこともないと思います。
今後、残置物に出会った時のために残置物は産業廃棄物として処理してはいけない場合もあることを頭の片隅にでも留めておいていただければ幸いです。

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