「怪獣のサイズ」のこの歌詞がすごい。

2023年8月に配信リリースされた
back numberの「怪獣のサイズ」。
まずは全ての歌詞をお読みいただきたい。

歌詞↓

https://www.uta-net.com/song/341329/

https://youtu.be/pVVqODzyujA?

si=jNDBl6iApmEsOGwJ


それでは早速本題に入ろうと思う。
大好きなこの曲の中で、私が特に好きな歌詞がある。


それがこちら!!

"どうせならもっと自分勝手に
君を想えばよかった"

なぜ私がこの歌詞に特別な想いを寄せているのか。

それは、
「まだ自分自身のことさえうまく愛することができていない自分が
素敵な誰かを好きになってしまった時の苦しみのようなもの」
がひしひしと伝わってきて、とても共感できるから。

この歌詞のように、
自分勝手に君を「想えばよかった」って
思ったことはありますか?

「自分勝手に君を奪えばよかった」でも
「自分勝手に君に告白すればよかった」でもなくて
「自分勝手に君を"想えば"よかった」なのがすごいよなぁっていう話です。

だって、「想う」だけなら誰にも迷惑をかけないわけですから。
好きになったあの人のことをどんなふうに想っても
どんな姿を、未来を、表情を思い浮かべても
誰にも怒られません。
相手がエスパーでもない限り、それを言葉にしない限り、誰にもバレることはありません。

なのにこの主人公は
想うことさえ我慢していたんです。

誰かを好きになった時
誰しも一度は
「あの人も自分のことを好きでいてくれたらな」
と思いますよね。
そこから勇気を出して
「好きです」と言うわけです。
もしくは何かしらのアプローチをするわけです。

だけど、この曲の主人公は
歌詞を読めばわかる通り、とにかく自分に自信がありません。

そこで、この主人公は思うわけです
(※ここからは私の想像です)

「あんな素敵な人に、僕なんかが釣り合うわけないよな」

「幸せな未来を想像しても、きっと叶わないんだし、それなら考えない方がいいよな」

そして、スーパーうじうじタイムに突入した時の私と主人公が同じ思考回路をしているとするなら

「自分なんかに好かれても、迷惑なんじゃないかな」

なんて考えてるかもしれません。
ぶん殴られそうなほどのネガティブ加減ですよね、あくまで私の心情に重ね合わせてるので、ここまでうじうじしてるのかはわかりませんが…。

それでもやっぱり
主人公は「君」のことが大好きなんです。
いや、大好きが故に、自分勝手に想えずにいたんです。

そんな自分と、とても素敵な「君」。
あまりにも釣り合わない気がして、
告白する未来はおろか、両思いの未来なんて想像することさえおこがましいような気がして、恥ずかしいような気がしてしまって…。
でもどうしても好きなんです。

だからAメロでめちゃくちゃ葛藤、いや、心の中の自分(怪獣)が格闘してますよね。

「ああそりゃまぁそうだな
僕じゃないよな
そして君は運命通りに
どうかそいつと不幸せに
ってそれは冗談でも
いつかどっかで
やっぱり僕にしとけばよかったな
なんて思う日は来ないだろうな」
 
ザ・back numberの曲の主人公って感じがしてとても好き。
私の心の中覗いたんですか?ってくらい
共感できる。

そして、後半の歌詞にも注目です。

"馬鹿な僕も優しい僕も
傷も牙もずるいとこも
全部見せなくちゃダメだったな"

普通は「ダメなところを見せたからダメだったんだな」ってなりがちです。
でも、この主人公はダメなところも全部ひっくるめて勝負できなかったことを悔やんでいます。
あまりに真っ直ぐすぎますよね。
主人公の生真面目な性格が垣間見えるのと同時に、こんなことを思ったりもしました。

きっとこの主人公は自分に自信がないので
自分のことを好きですか?って聞いたら
おそらく答えは「NO」だと思うんです。

「誰かに愛されるためには
まずは自分を好きになること」
なんて言葉を時々耳にします。
でも、自分を好きになることの難しさを知ってる人は、一度はこう思うはずなんです。

「誰かに愛してもらえたら、
自分のことを好きになれる気がするのに」

大好きな君のことを想えば想うほど
君の相手はきっと僕じゃない、と強く自分を押し殺してきたけれど
やっぱり本当は、ダメなところも全部ひっくるめて君に愛して欲しかった。
君に愛されたかった。
ダメなところも全部ひっくるめて、君が惚れたアイツと同じ土俵に立ちたかった。

そんな主人公の本音が、心から湧き上がってくる「君」への想いと悔しさが伝わってきて、とても胸が苦しいです。

自分自身に愛を注げていない"のに"なのか
自分自身に愛を注げていない"から"なのか
きっとその分「君」への愛は他の人の何倍もあるわけです。
だから、その愛を渡す強くて綺麗な器はないけれど
愛は誰よりも大きくて重くてあたたかいんです。
これぞまさしく

"僕の胸の中にある
君宛の手紙は
最後まで渡しそびれ続けたけど
本当は傑作揃いなんだよ"

なんですよね…。

この曲の歌詞を書いた清水依与吏さんは、
男性目線だけでなく、私の心覗いたんですかレベルで女心も歌詞にしてしまいます。
小説家は、犯罪を犯したことがなくても
サスペンス小説を書けますよね。
突然何の話かというと、物語や歌詞は、想像力が豊かであれば、経験したことがなくてもおそらく書くことができます。(※並大抵の努力では無理です。)
でも、今回テーマにした「自分勝手に君を想うことさえ我慢していた」という内容は
その気持ちを経験したことがある人にしか書けないんじゃないかな、って個人的には思うんです。
想像だけでは辿り着けない感覚、というか。
この怪獣のサイズは、タイアップがありませんでした。
だからこそ依与吏さんがいつにも増して書きたいことを書きたいようにかけているはずだから…そんなことを考えてみたり。
依与吏さんの心の中にいる怪獣さんが、私の心の中にもいて嬉しく感じたり。
そんな誰も傷つけることができない心優しい怪獣さんのことを、きっと愛してくれる誰かがいるよ、少なくとも私は、そんな怪獣さんが好きだよって思わず伝えたくなるこの曲が大好きです。

"嫌だ!嫌だ!
君をよこせって言えばよかった"

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