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総合大学化した“黒船”を有名大学群と戦わせてみたら今後の指針が見えてきた

“黒船”の正体

近年怒涛の勢いでブランド力を高めている私立大学に武蔵野大学京都橘大学が挙げられます。

武蔵野大学は東京都、京都橘大学は京都府にあるのですが、この2校は奇しくも歩んできた歴史と発展の遂げ方が非常に似通っています。

【両校の歴史】
☆1960年代に女子大として大学化
(当初は文学部のみ)
→2000年代に男女共学化
→2010年代から学部の新設ラッシュ
→現在では総合大学化を果たす

【学部構成】
-武蔵野大学-
・文学部
・法学部
・経済学部
・経営学部
・教育学部
・人間科学部
・工学部
・データサイエンス学部
・グローバル学部
・薬学部
・看護学部
・アントレプレナーシップ学部
・ウェルビーイング学部

-京都橘大学-
・国際英語学部
・文学部
・発達教育学部
・総合心理学部
・経済学部
・経営学部
・工学部
・看護学部
・健康科学部

学部は細かい点で違いはありますが、共通して人文系・社会科学系・国際系・教育系・工学系・医療系を網羅しており、すっかり総合大学の様相を呈しています。
近年の女子大の凋落ぶりを見るに、早めに手を打って成功している一例と言えます。

それでは、武蔵野大学と京都橘大学が現在どの位置まで上り詰めたかについて、主観を交えて有名大学群と比較してみたいと思います。

武蔵野大学vs関東大学群大学

◎武蔵野大学vs関東上流江戸桜●

戦績:4勝1分
立地面でも人気面でも武蔵野大学が圧勝です。
ただし、総合型選抜に力を入れユニークな学群を構築している桜美林大学はまだ対峙できそうです(もはや桜美林はこの大学群から抜けてもよさそう)。

○武蔵野大学vs拓玉産大●

戦績:3勝1分
武蔵野大学が持っていない芸術学部と農学部を持つ玉川大学以外は喰われる可能性が大きいです。
特に拓殖大学はキャンパスの立地構成が似ている点と学部構成が網羅されている点がかなり手痛いと感じます。

△武蔵野大学vs大東亜帝国△

戦績:2勝2敗1分
このレベルになると実力伯仲になってきます。
総合大学の東海大学・帝京大学においては、医学部を有している点と東京以外にも複数のキャンパスを構えている点で武蔵野大学は負けていると感じます。
亜細亜大学は東急グループをバックにした見えざる就職パワーがあり、互角の印象。
一方、文系学部に偏る大東文化大学には立地面・人気面においてやや勝っている印象があり、BFがつき地盤沈下の象徴となっている国士舘大学には圧勝しているように感じます。

京都橘大学vs関西大学群大学

◎京都橘大学vs神姫流兵●

戦績:4勝
京都橘大学の全勝です。特に言及はしません。

○京都橘大学vs摂神追桃●

戦績:3勝1分
摂南大学は大阪と京都という立地の違いもありますが、学部構成は似ており互角といった印象です。
一歩後退の追手門学院大学は2025年度の理工学部新設で反撃できるか見ものです。
神戸学院大学・桃山学院大学は残念ながら負けている印象を受けます。

▲京都橘大学vs外外経工佛△

戦績:2勝3敗
大阪にある関西外国語大学・大阪経済大学・大阪工業大学は単科大学として一芸に秀でており、現在の京都橘大学ではまだ及びません。
一方、同じ京都の京都外国語大学・佛教大学もそれぞれ外国語学部・教育学部を看板としていますが、京都橘大学は網羅しており、人気面で気圧されている印象を受けます。

総合大学化→独自路線化が鍵

強者の戦法で成り上がり

ここまで武蔵野大学と京都橘大学について述べてきましたが、総合大学化はランチェスター戦略における強者の戦法の「ミート戦略」に当たります。

時代の先を読み、男女共学化を敢行し、国際系・心理系・情報系のような時流に合う人気学部を新設することによって、変化しなかった下位大学を置き去りにし、20年そこらで序列を上げることに成功しました。


ただし現在、武蔵野大学が東海大学・帝京大学のような上位の総合大学、京都橘大学が関西外国語大学・大阪経済大学・大阪工業大学のような一芸に秀でた単科大学の壁に阻まれているのはこの戦法の臨界点を迎えたことの証左と言えるでしょう。

弱者の戦法への舵取り

今度は弱者の立場に回るわけですので「差別化戦略」が必要不可欠です。

武蔵野大学は既に“横文字学部”を新設することで独自性を生み出し差別化を図ろうとしています。
Z世代に突き刺さるか否かは分かりませんが評価はできます。

京都橘大学は大阪の3単科大学は勿論ライバルですが、同じ京都に目の上のたんこぶとして京都産業大学と龍谷大学が鎮座しています。
この2校の地位を揺るがす差別化戦略が今後はマストになることは言うまでもありません。

推薦比率が高いことと定員が充足しなかった学部をポツポツ出していることは個人的に不安の種ですが、武蔵野大学と京都橘大学の進撃がどこまで続くか大変興味深い次第です。

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