フランスでマティス巡礼
国立新美術館で「マティス 自由なフォルム」(2024年2月14日~5月27日)が開催中です。昨年の東京都美術館でのマティス展(パリ、ポンピドゥー・センターより150点貸し出し)に引き続き、ニース市立マティス美術館の所蔵作品を中心に構成された本展では、19世紀後半の油彩からフォーヴ、そして「切り絵」の手法を見出した晩年の境地に迫るようです。そこで、マティス大好きなみなさまに向けて、そして現地フランスで「マティス巡礼」を慣行したいと願うみなさまに向けて、フランス国内でマティスにまつわる文化遺産をピックアップし、各美術館への詳しい行き方を記した巡礼ガイドを作りました。注意!現在閉館中の美術館があります。該当館については開館後、お役立てください。
アンリ・マティス(1869-1954)
単純なフォルム、鮮やかな色彩。そんな中に突然現れる謎の抽象化、開いた窓、未完成に見える筆致…神秘的な印象さえ残し、鑑賞者、研究者の心をくすぐる対象がマティス。有名なのは南仏コリウールに滞在し制作した1905年以降、フォービスム(野獣派)作家としての活動ですが、ギュスターヴ・モローが彼の師だったことはご存知でしょうか。しっかりと象徴主義の系譜につながっているのですね。晩年、「デッサンと色彩の永遠の葛藤を解決する糸口」としての「切り絵」の手法を編み出し、さらに制作に没頭しました。
フランス国内コレクションの観点から
フランス国内の美術館では、所蔵品の多い順番に、1にポンピドゥー・センター、2にニース・マティス美術館、3にカトー=カンブレジ、マティス美術館となります。この3つに加えて、4. 重要作品が所蔵されているパリ市立近代美術館を入れておきましょう。そして、5.ヴァンスのロザリオ礼拝堂はやはり外せません。今回はこの5つに絞っての提案です。それでは順に見ていきましょう。
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