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憧れの先輩は夏の桜が似合う人でした

『キミが見たことないような桜見せてあげる』




入学式が終わり、初めてのHRも終わった後、ぼくは学校から少し出たところにある河川敷で桜並木を眺めていた。




中学生のとき、ぼくは精神的に疲れてしまい、不登校になってしまった時、姉に『河川敷で桜とか見てみたら』と言われ、見つけた唯一のリフレッシュ法と言っても良いだろう。
姉と桜のおかげで復帰できたと言っても過言ではない。




なんせ、桜の花びらが川に身を任せながら流れている姿を見ている時間は「どこにいくんだろ」「流れついた先ではどういう未来が待っているんだろ」と解決できないような、くだらないことを考えても誰にも邪魔をかけない。





どのぐらい時間が過ぎたのだろう…。


時間感覚を忘れるぐらい桜を見ていると



?:キミはウチの学校の新入生くんかな…?


〇:えっ…?


?:ほらっ。だってウチの学校の制服着てるし、見たことない顔だったからさ


〇:…すごい記憶力をお持ちの方なんですね…


?:やっぱり“生徒会長”やってるだけ伊達じゃないかな~


〇:も、、もしかして生徒代表で挨拶されてた“山下美月”さんですか。。?


美:おっ、よく名前出たね~キミも記憶力十分すごいじゃん


〇:まあ、名前覚えるのが自分の中の長所なので..


美:いい長所じゃん。そういやまだキミの名前聞いてなかったね。私は3年生の山下美月です


〇:ボクは、齋藤〇〇です。


美:〇〇くんね。〇〇くんはなんでこんなところに居座ってたの?


〇:桜を見ていたんですよ。桜を見ている無の時間がすきなので


美:ネット社会になった今、こんなにじっくり桜見ている子も居たんだね


〇:ば、ばかにしてます…?


美:いや、そんなつもりないよだって私も”好き“だもん



美人の方に面と向かって“好き”なんて言われたらドキドキしてしまう。たとえ関係のない言葉だとしても。


〇:いいですよね、桜、綺麗ですよね


美:わかる。桜見てると落ち着くもんね。これを機にどう?おともだちとしてさ。


〇:いいんですか。。?


美:大歓迎。やっぱり生徒会長って生徒から避けられる悲しい存在だったから


〇:入学したばかりの自分が…どこまでもお供いたします…!


美:うむ。良い心意気だね。じゃあ約束ね。
次の季節の準備をしている桜を一緒に見ない?




『キミが見たことないような桜見せてあげる』





見たことないような...桜...?




美:そ。その桜見るなら来月の5月がベストかな


○:意外と早いんですね、


美:まあそれもおもろし味だと思ってさ。


○:見たことないものなので楽しみにしてます


美:そりゃ、どうも。じゃあ5月にまたここに集合ね


○:わかりました...


美:じゃ!またその時ね~



あっ...連絡先...聞きそびれちゃった...


山下さん...帰るの早すぎでしょ。。。そんなことも無いか...。




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それから5月になり、○○もそれなりに高校生活に慣れてきた頃に




○:来たけど...今日で良かったのかな


にしても...桜が咲いてなくても綺麗なところだなぁ...




まだ少し肌寒さを感じながら河川敷に座り、景色を眺めていると



美:やっほ~


○:あ...山下さん...!


美:ちゃんと来たんだね。どう、桜は?


○:たしかに...ボクが見たことないような桜ですけど


美:ここにいる桜っていくつもの冬を共に乗り越えた先に春が待ってるんだよ


○:そういう考え方はしたこと無かったです


美:人生と一緒なんだよね。次の季節まで咲いてられるか分からない。人生も明日、自分の身に何が起こるかわからない。

ね、結構一致するでしょ?


○:山下さんは文学的で、僕にはできなかった考えを持ってますね


美:そうかな? ここに来て「一緒に桜も頑張ってるんだな」っていつも感じるんだよね


○:山下さんは目標にしてることとかあるんですか?


美:目標...ね...。。『自分のしたい事をする』かな?ま、そのしたいことがハッキリしないんだけどね...笑


○:したいことって改めて聞かれるとむずかしいですよね


美:そそ、よく分かってんじゃん。



齋藤○○くん...わたしと考えが合う人初めてあったかも...


他の人に葉桜を勧めても、「ただの葉じゃん」ってリアクションされて終わるだけ。


受け入れて、話を続けてくれたのは齋藤○○くんだけ。




美:一つだけ、したいことがあってね。それをチャレンジするか悩んでるんだよね


○:あるんですね...でもチャレンジするには自分の勇気さえあればいくらでもできますし...チャンスはみんな平等にあるってボクは思ってます


美:後輩がナニ年上ぶって言ってんだい。


○:えぇ...そんなにでしたかね...


美:うそうそ笑 その言葉で気付かされて感謝って感じ。


○:山下さんの背中を押せたなら良かったですが...


美:やっぱりただ、桜を見上げてるだけじゃ何も変わんないもんね


美:綺麗な桜が散って、葉になり、雨や風に打たれて、色んな苦労があった先にまたキレイな春がやってくる


○:やりたいことのためにたくさんの事を乗り越えないといけないってことですか...?


美:ピンポ~ン。言いたいことをよく言ってくれた!


美:ありがとうね。○○くんに聞いたおかげで体が軽くなった気がする


○:それなら、よかったです。


美:じゃ!また~!



やっぱり、山下さんは帰るのが早いんだよなぁ...


やりたいことってなんだったんだろ...


いつも聞きたいことを聞きそびれるなぁ。。また学校で会ったら聞いてみようかな...






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《山下宅》



いざとなったら...緊張する...


こんな、、、私が、『乃木坂46のオーディションを受けていいのかな...』



でも...○○くんが言っていたもんね...チャレンジする勇気...このチャンス逃したくもないし...






昔から引っ込み思案だったわたし。そんな自分を変えたいという思いで、高校に入り、初めての生徒会長に挑戦した。



たまたま目に入った『乃木坂46 3期生募集』と言うニュース


アイドルになると、学校内で収まらず全国的にわたしの名前や顔が知られる...それを逆手にとって自分の性格を治すことが出来るチャンスなのでは...


そんな葛藤とも今日で終止符を打つ。



美:お...押しちゃった...


目の前には『ご応募ありがとうございます。結果をお待ちください』の文字が


美:で..でも...いいんだもんね...後悔は..ない!



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美月は順調に乃木坂46 3期生オーディションを進んで行き、見事正式に乃木坂46のメンバーとして決定した。







○○と美月が会うことの無いまま月日は流れ






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普段と同じように、○○は授業を受け終わると先生に呼び止められる。



先:○○。ちょっと、、


○:先生なんですか...?


先:3年の山下美月って知ってるか?


○:、、?!?!山下さん...しってますが...


先:その山下さんから手紙を預かってるんだ。○○くんに渡してくださいって。だから...はい。


○:あ...ありがとうございます...







山下さんからの手紙...最近会えてなくて心配だったけど...何かあったのか、、とりあえず手紙を読もう...



○○は席に着き、美月の手紙を読む。

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○○くんへ
まずは、突然会えなくなってごめんね。
最後に会った時に言ったようにやりたいことを実行してたら会えなくなっちゃったの
やりたいことってなんだよって思ってるよね笑

実は乃木坂46って言うアイドルグループのオーディションを受けていました。

そして、見事晴れて合格し、メンバーの一員として活動することになりました。

アイドルになると同時に学校を転校し、引っ越すことになっちゃって会えなかったんだ...

そこで、わたし美月ちゃんから○○くんへお願いがあります!
・美月ちゃんのフォン第1号になること!
・美月ちゃんだけを推しとすること!
・卒業コンサートには絶対来ること!

この3つです!○○くんなら約束を守ってくれると信じてアイドル活動をがんばります!

最後に、


春菊食べて


一瞬ギックリ腰


ばいばいっ


山下美月 ( ˙꒳ ˙ )


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○:美月さん...最後まであなたは去るのが早いんですね...



fin.









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