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1 地方公務員は、覚悟がいる ~会費とサービスの関係~

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毎回言いますが、これはフィクションです。

(1) 地方公共団体の本質
 地方公務員とは、どのような職業なのか。その本質を探る前に、地方公務員が属する組織である「地方公共団体」について、考えてみたいと思います。
 皆さんは、都道府県や市町村の行っている仕事と日常生活の中で、どの程度関わりを持っているでしょうか。
 私自身が、日常生活で「地方公共団体」と明示的に関わる場面は、ほとんどありません。住民票が必要な時や、パスポートを取りに行く時、児童手当をもらうのに納税証明書をもらう時など、極めて限定的です。
 したがって、私が、バブルの頃に、民間の選考プロセスの合間に、ろくな準備もせずに七側県を受験した時も、面接で、「七側県って、どんな仕事をしていると思いますか?」と尋ねられ、「国と市町村の中間で・・・」などと、ある意味、頓珍漢な回答をしてしまいました。(バブルの頃はなり手がいなかったのか、それでも合格したから不思議です。)事ほど左様に、地方公共団体の仕事って、普通に生きていると、関わりがないのです
 ところが、実際は、かなりお世話になっていて、市町村の仕事で言えば、家庭ゴミの収集処分、毎日歩いている道路など、一見、見えないところで、大変お世話になっています。
 講学的には、地方公共団体は、日本国憲法のいう地方自治の本旨を実現するための機関なのでしょうが、実際は、人々の見えないところでせっせと仕事をする、言ってみれば日陰者(?)なのです。
 なぜなのか?
 それは、民間事業者では成り立たない、誰もやりたくないが、やらなければならない仕事を集めて、住民の方から税という会費をとって、その「会費で運営している雑用係」であるからです。

(2)地方公務員の本質
 したがって、地方公務員は、その雑用係になった人ということになります。少し、極端な例えですが、人のやりたくない仕事をまとめて行うから、住民の方から強制的に税というお金を集めて、そのお金で仕事を回していく。これが、地方公務員の本質です。
 地域活性化、観光・産業振興、企業誘致など、耳障りの良い言葉が地方公務員の仕事として、語られますが、そんな仕事に携われるのは、地方公務員のうちのほんの数%もいないのです。
 火葬場やゴミ処理場を新しく建設するから、予定地近隣の住民の人達に説明しますが、説明会ではなぜここに作るんだと怒号が飛び交い、叱責を山ほど受けます。(カスハラ?)
 病気で働けない人が寝ているところで、税金が払えないからと、その人が泣きながらやめてくれと言っている前で、家中の物を、税金の支払いに充てるために、次々と差し押さえます。(人非人的仕業?)
 苦情がくるのは日常茶飯事で、絶えず「税金泥棒」と罵られる。(モラハラ?)
 道路を作るために、生活の本拠地である家土地を売ってもらうために、ひたすら頭を下げて頼み込みますが、相手は聞く耳を持ってくれない。(民間の営業より厳しいかも。)
 こんな仕事がほとんどです。
 もう一度言いますが、地方公務員の本質は、人のやりたくない仕事をするということです。
 だから、身分が保障されているとか、基本的に給料は下がらないとか、究極では、雇い主である地方公共団体は潰れないと言った特典が用意されています。
 しかし、仕事の中身は、人がやりたくない仕事。だから、仕事にやりがいもあまり持てないのです。
 一生、やりがいのない仕事をするという覚悟が必要です。
 別の項目でお話したいと思っていますが、やりがいのない仕事なので、モチベーションの維持が大変だということです。仕事のやりがいがないから、皆、別の方向にやりがいを見出していきます。
 この次は、都道府県という団体が、国や市町村と違い、如何に面白みがない団体か、見ていきたいと思います。また、就職するのに如何に覚悟が必要か、見ていきます。

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