デッカード

映画鑑賞が趣味の紳士です。 鑑賞した映画の感想を書いていきます。 頭の体操のつもりで映…

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映画鑑賞が趣味の紳士です。 鑑賞した映画の感想を書いていきます。 頭の体操のつもりで映画を観たらすぐ感想を書くようにしていますので、的外れだったり独りよがりな感想もあるかもしれませんが、記録として書いています。

最近の記事

🎬関心領域 感想

※短めにするようがんばりましたが、2,100字になりました… ごめんなさい ナチスドイツ時代。アウシュビッツ強制収容所の隣に住む家族の平凡な生活を淡々と描く。 ホロコーストの"ある"側面。 映画の主人公はアウシュビッツ強制収容所の所長だったルドルフ・ヘス(1987年に刑務所で自殺したナチス高官のヘスとは別人)の家族の生活を追っていきます。 妻のへートヴィッヒ(ザンドラ・ヒュラー)が地元ポーランド人のメイドたちにも横柄な態度を取ったり、所長の妻として当然知っていたであろう

    • 🎬ミッシング 感想

      ※6,000字になりました. もう自分の映画鑑賞記録、自己満足です。 6歳の娘が行方不明になってしまった夫婦とそれを追うテレビ報道記者の姿を描く。 物語は映画のA面として沙緒里と豊という娘が行方不明になってしまった夫婦のことと、映画のB面としてテレビ局の砂田のことが描かれています。 鑑賞後この二つの物語はそれぞれにボリュームがあり常に並行して描かれていることから、双方について描きたいものがある作り手の意図を感じましたが、最終的には現代社会の縮図としてクロスオーバーする仕組

      • 🎬aftersun/アフターサン 感想

        ※3,600字になりました。 20年前、トルコでの旅行を楽しむスコットランド人の父と娘の何気ない旅。 とにかくラストの切なさにあふれた余韻が強く印象に残る映画でした。 しかし正直に言うと、とてもわかりにくい映画であるようにも思います。 父娘の旅の様子は淡々と描かれていて、特にこれといった事件は起こりません。 その映画としての描写に二人が録画したホームビデオの映像が挟まれます。 この映画の描写を絶賛する感想も少なくありませんが、それはおそらくラストを見て複数回鑑賞した方

        • 🎬アステロイド・シティ 感想

          ※3,400字になりました。 アメリカの砂漠の町「アステロイド・シティ」を舞台に繰り広げられる群像劇。 映画はエドワード・ノートン演じる脚本家が書いたお芝居の世界とその舞台裏で構成され、お芝居の世界はカラーで、舞台裏はモノクロで描かれています。 さらに観客は舞台裏のその外側であるテレビ番組として作品を見ているという三重構造になっているので、ときどきナレーターが現れいろいろなコメントを挟みます。 お芝居である架空のクレーターのある砂漠の田舎町「アステロイド・シティ」を描く

        🎬関心領域 感想

          🎬ほかげ 感想

          ※2,200字になりました。 戦後間もない日本を生きる人々の、消すことのできない戦争の記憶を描く。 映画の登場人物たちには名前がありません。 森山未來が演じるテキ屋の男が物語の必然性でかろうじて自身の名前を告げますが、それ以外はみんな名無しです。 このことから、この映画が戦後間もなくを生きた名もなきすべての人々の物語であることがうかがえます。 映画は居酒屋の女と戦災孤児の少年が出会うことから始まります。 前半は女と少年がいる居酒屋だけのワンシチュエーションで、そこに復

          🎬ほかげ 感想

          🎬哀れなるものたち 感想

          ※また長くなりました。 2,900字 読んでいただけたら、うれしいです。 また解釈が違ってたら、ごめんなさい。 胎児の脳を移植され胎児の経験値しかない、死から生還した「人造人間」の女性・ベラの旅を描く。 独特の様式美と音楽、登場人物など、不思議な世界観の中で、人にとっての「人格形成とは?」を問いかける物語が繰り広げられます。 様式美を言うなら、ベラがダンカンと旅する世界はすべての描写が夢か幻のようで、そこには常に不安定な感覚が付きまといます。 ベラのファッションがその

          🎬哀れなるものたち 感想

          🎬コット、はじまりの夏 感想

          おとなしく無口な少女・コットが母親の親戚夫妻と暮らすひと夏の忘れられない日々。 コットはおとなしく無口なため、両親など大人からはとらえどころのない少女だと思われています。 コットには他の子どもたちと比べると成長の遅れが見られ、もしかしたら「発達障害」の一つの姿なのかもしれません。 物語はそんなコットの視線で大人たちを中心とした他者を描いています。 コットの実の両親、特に父親には粗野で自堕落な側面があるのは明らかで、母もそんな夫にイライラばかりしつつ出産を控えています。 姉

          🎬コット、はじまりの夏 感想

          🎬グランツーリスモ 感想

          レーシング・シミュレーション・ゲーム「グランツーリスモ」のプレイヤーが、現実のレーシング・ドライバーになっていく実話。 そもそもゲームの「グランツーリスモ」が、実際のカーレースを想定したシミュレーターだったことは初めて知りました。 開発者の山内を演じる平岳大さんが、ドラマに接するパートは少ないですが重厚で印象的でした。 ゲームプレイヤー(シムレーサー)だったヤンが現実の世界でレーサーとして成長していく姿が描かれます。 "実話"というベースがなければ荒唐無稽と一蹴されそうな

          🎬グランツーリスモ 感想

          🎬荒野にて 感想

          15才の少年チャーリーと足を痛めた競馬馬のピートの荒野での旅。 行き場のないチャーリーの目から見た、それこそ行き場のない大人たちの姿を描く。 小さい頃は決して裕福ではなくてもおそらく幸せに暮らしていたチャーリー。 父の突然の死とかわいがっていた競馬馬ピートが売られる(おそらく殺される)ことをきっかけに、チャーリーはピートを連れて旅に出ます。 チャーリーが旅で出会うのは、みんな"行き場のない"大人たちでした。 そもそもチャーリーの父こそが、決して豊かとは言えない生活を送って

          🎬荒野にて 感想

          🎬カラオケ行こ! 感想

          合唱部の中学生・聡実は突然の出会いでヤクザの狂児にカラオケを教えることに。 中学生の聡実は、部活のコンクールでの成績や人間関係、変声期に悩んでるいる本当にどこにでもいる普通の中学生です。 そんな聡実が狂児というヤクザにカラオケボックスで歌を教える…という唐突な物語の始まり方に、狂児の組のカラオケ大会での屈辱的な罰則があるという、一見ヘンな理由があるのですが、意外とすんなり入っていけました。 決して見た目もいかつくはない狂児ですが、態度の端々にはその業界の人であることを匂わ

          🎬カラオケ行こ! 感想

          🎬オッペンハイマー 独特目線のネタバレ感想(18,000字)

          ※この感想はあくまで映画を観て個人的に感じたことを素直に書いたものです。 1回鑑賞しただけの感想なので、セリフ、シーンなど詳細の間違いやそもそもの解釈を「間違いだ」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、どうか個人の思い込みとご容赦ください。 ※かなり削除しましたが、全文で18,000字程度もある長編になってしまいました。 素人の勝手な思い込みの書かれた18,000字に至る感想を読んでいただける方は少ないと思いましたが、自分自身の「映画鑑賞記録」として書き記しました。

          🎬オッペンハイマー 独特目線のネタバレ感想(18,000字)

          🎬キャタピラー 感想

          戦時下、日本のある農村で暮らすシゲ子の元に、日中戦争に出征した夫・久蔵が四肢、聴覚、声帯を失い顔は焼けただれた姿で戻ってくる。 久蔵の実家の家族は変わり果てた久蔵を見て、そのおぞましさにすべての世話を嫁のシゲ子に押し付けてしまいます。 ここにかつての「家制度」の姿を見て取ることができます。 また、出征前の久蔵がシゲ子に暴力を振るっていたことも次第に明らかになり、「家制度」ゆえの「男尊女卑」という終戦まで(実はその後も長く)当たり前だった"家"のあり方も見えてきます。 村人

          🎬キャタピラー 感想

          🎬レイダース/失われたアーク《聖櫃》 感想

          『インディ・ジョーンズ』シリーズの記念すべき第1作。 この後、"考古学冒険アクション映画"という新たなジャンルの作品がたくさん製作されたのは、やはりこの映画が成功したからでしょう。 でも、公開当時は興行的には失敗だったとか? ホントですか? 当時はルーカス原案+スピルバーグ監督という二人の初タッグ作品というだけで「これは観に行かないと!」と映画少年(青年少し前)は思ったものです。 一方で、ルーカスに対しては「こんなことしてないで『帝国の逆襲』の続きを早く観せろ!」というちょ

          🎬レイダース/失われたアーク《聖櫃》 感想

          🎬ミステリと言う勿れ 感想

          人気漫画を菅田将暉主演で実写化した連続テレビドラマ『ミステリと言う勿れ』の劇場版。 広島の名家「狩集家」の遺産相続にかかわる事件に、たまたま広島を訪れていた久能整くんが巻き込まれます。 テレビドラマ『ミステリと言う勿れ』は久しぶりに見応えのあるドラマで大好きでした。 原作は読んでないんですが、久能整=菅田将暉さんのキャラクターが本当に魅力的で、彼の言葉には毎回共感できるものがあり、テレビドラマの枠を超えた「人間の本質にある根幹」に触れるストーリーには毎回感動していました。

          🎬ミステリと言う勿れ 感想

          🎬デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 感想

          ある年の8月31日、突如飛来したUAPは分離して東京上空に。 在日米軍が撃ち込んだ新型爆弾により大田区付近は壊滅状態。 それから3年後の東京を舞台に普通の女子高生たちの日常を描く。 原作未読で映画を観ました。 この映画、おそらく前編ということで後編に向けてのたくさんのナゾや伏線で構成されていたためだと思いますが、ドラマ的な盛り上がりには少し欠けたかなー?という印象を持ちました。 かなり感情的には熱を帯びるシーンがなかったわけではありませんが、既視感などが邪魔をしたこともあり

          🎬デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 感想

          🎬私ときどきレッサーパンダ 感想

          13歳の普通の女の子が、ある日突然身長2メートルもの赤いレッサーパンダに⁈ 主人公の女の子メイは、学校での成績もよく、家族、とりわけ教育熱心な母親ミンからは"将来は国連事務総長"と期待されるほどの優等生。 でも、本当のメイは学校の親友たちとアイドルグループにハマり、推し活に生きがいを感じている当たり前の女の子です。 それが突然赤いレッサーパンダに変身してしまうんですが、そのレッサーパンダが体は大きいんですが、モフモフでかわいいんですよねー 赤いレッサーパンダになった"異

          🎬私ときどきレッサーパンダ 感想