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第45話 サンタ・ネネと死神の再会 2

死神

「くっ!」

死神しにがみは、ネネの初撃しょげきのパンチを紙一重かみひとえのところでかわします。

「ちょっとお待ちを。あなたは、ネネさんなのですか?」
「ほらほら、しゃべってる場合じゃないよ」

続けて死神の顔をり上げようとしますが、けられてしまいました。

「そのりのクセは、やはりネネさんですね。しかし大きくなりましたね」
「200年ぶりだからね」
「なるほど、そうですか。あれから、もうそんなにちましたか」

ネネは、会話をしながらもパンチとキックを連続でたたき込んでいきます。
でも、全く当たりません。
死神はその場から一歩も動かず、け続けているのです。
彼には、まだまだ余裕があるように見えました。

「その帽子を拝見はいけんするに、どうやらサンタになれたのですね」
「数日前だよ。だから、まだ見習みならい中なんだ」
「いえ、認められたこと自体がスゴイのですよ。おめでとうございます」
「ありがと」

ネネは死神にめられて、満面まんめんみを浮かべました。
そのくったくのない笑顔は、小さい頃のネネを思い出させます。

さてネネの方も、死神と同じように、まだ本気を出していませんでした。
その場で大きく深呼吸を始めます。

「さて、ネネさん、ウォーミングアップは終わりましたかな?」
「うん」
「昔のように無暗むやみにパンチをり出すだけでは、私には勝てませんよ」
「ん~~、わかってるよ。でも今日は、私が初めて勝っちゃうからね」
「ほぉ、それは頼もしいですな。では久しぶりに手合わせと行きましょう」

生意気な口ぶりは、子供の頃とちっとも変っていないサンタ・ネネ

「じゃ~ はっじめるよ~」

何とも気の抜けたセリフで、手合わせ再開の合図をネネは出しました。
彼女は地面を思いっきりって、一気に死神との間合いを詰めます。

「速いっ!」

予想外の彼女の頭突き攻撃に防御が間に合わなかった死神は、不覚にも森の外へと吹っ飛ばされてしまいます。

そして手合わせの舞台は、森の中から砂浜へと移りました。
すでにネネは追撃体勢ついげきたいせいに入っていて、死神の目前までせまっています。
彼女から次々とり出される連続攻撃の圧に押されてしまい、死神は防御するたびに後方へ押しやられていきます。

200年前のネネとの手合わせでは、一歩も退しりぞいたことなんてありません。
これはネネから死神に贈られた「成長のあかし」みたいなものでした。

しかし死神の方も、その贈り物に答えなくてはいけません。
小さい頃のようにネネが根拠のない自信を持っているのならば、いましめてあげるのが師匠としての役目です。

死神は、ネネがり出す後ろ回しりを片手で受け止め、そのまま脚をつかんでひっくり返します。
彼女は砂浜に転がりましたが、すぐに立ち上がり、かまえ直していました。

「なるほど、なかなかいいですね」

死神は人間界で活動している神なのですが、その実力は天上界てんじょうかいの神々を軽く超えています。
そして「善と悪」の両方の性質をね備えている珍しい存在でした。
しかし、サンタ・ネネも「善と悪」両方の性質を持っている女神なのです。
神の中では異質で孤高ここうの存在である死神が、珍しくネネの弟子入りを許したのは、自分と同じにおいを彼女から感じ取ったからでした。

「師匠! 楽しい?」
「そうですね。楽しいかもしれませんね」
「あはは、よかった」

死神は成長したネネの力量りきりょうを、この場で確かめてみたくなっていました。
まだまだ不安定で波があるものの、ネネが死神をも超える強大なエネルギー量をこぶしに乗せてくる瞬間があったからです。

「師匠、いまから本気出すけど、覚悟は出来てんの?」
「望むところです」

師匠である死神と、その弟子であるサンタ・ネネは、お互いのこぶしで語り合いながら、会えなかった200年の時間を埋めていきます。

つづく


【あとがき】
この小説の題名は「赤と黒のサンタ」です

死神は、古くからサンタ・クロースと親交がありました
そのえんもあって200年前の終末戦争ラグナロク時に、ネネ達が天上界てんじょうかいへ避難するまでの警護役けいごやくをお願いされています
次々に襲ってくる悪霊のれをぎ払っていく死神の姿は印象深く、ネネは大きくなったらこの神のようになりたいという強いあこがれを持ったそうです

死神が持った弟子は、サンタ・ネネだけです
ネネもまた、師匠とあおぐ神は、死神だけでした

全てAI生成画像です。「leonardo.Ai」さんを利用させて頂いてます

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