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美しいピクセルアートで描かれる終末の物語「Eastward」

DLCのカモメ町を遊んだ後、やっぱり本編も記録を残しておきたいなと思ったので、当時の記憶を振り返りつつ、つらつらと。

2021年9月に発売された本作。デベロッパーは上海に拠点を置くPixpil、パブリッシャーはロンドンのスタジオChucklefishです。


終末の世界を冒険する物語

――今から遠くない未来。
あらゆる物を崩壊させる「タタリ」と呼ばれる瘴気が世界中に広がり、生き残った人々は地下に村を作りながら生活をしていた。

そこで暮らしていた無口で心優しい男「ジョン」と不思議な力を秘めた少女「珊(サン)」は、あることをきっかけに外の世界への冒険に出発する!

崩壊した世界に残された唯一の列車へと乗り込み、2人が見たこともない景色が広がる場所を冒険しよう。そこには、忘れられない出会いと恐ろしいモンスターたちが待ち受けている…。

さまざまな困難を乗り越えて、すべての元凶となったタタリやジョンと珊に秘められた真実を見届けよう!

終末感漂う世界を、ジョンと珊が冒険するお話です。
初めて行く街や個性豊かな人々と出会い、世界は広いのだと感じます。

ジョンと珊は親子ではありませんが、一緒に暮らして、苦楽を共にしてきたのもあり、絆が深いなと思います。
ジョンはほぼ喋らないので、プレイヤーがジョンとして冒険をしている感覚や、珊への愛着などを持てます。ずっと一緒に冒険をしていると、珊を守らなきゃ!という、さながら親のような気持ちになりますね。

それだけに結末はなんとも言えない気持ちになりますが、結末を含めて、2人の物語を見守りましょう。

緻密なピクセルアートからは命を感じる

本作はなんといっても、その緻密なピクセルアートが目を引きます。
ドット絵のゲームが好きでよく遊びますが、本作が特にすごいなと思うのは、人の動きやモノの動きです。

1人の人に対して、動きのパターンが何種類か用意されています。それはモブキャラも含めて。

私はポットクロック島のヤブ医者ボグダの、服に空いた穴に手を入れて動かす挙動が好きです笑
シーンに合わせて用意されている動きもありますし、表情も何パターンかありました。
動きや表情が多いと、キャラクターが生き生きとしていてとてもいいなと感じました。

また、移動中に草を踏めば、草が動くし、水に触れれば水面が動く。そういう細かいところも描写されていて、自然からも生命を感じます。

ジョンと珊、2人を操作するからこそ感じられること

珊は不思議な力を使える

戦闘はジョン、ギミック操作は珊。
そんな感じで2人の特徴を活かして操作し、ダンジョンを潜り抜けていきます。

この2人を操作するシステムというのが、2人への思い入れにもつながります。
というのも、珊はただジョンについていって、守られているばかりではありません。時にはジョンを助け、なくてはならない存在になります。
お互いを助け、守る。2人を操作するからこそ、2人の絆を感じられるなあと思いました。

ゲームとしても、この操作感はとても面白かったです。
ジョンで進めないところが出てきたら珊に切り替えてみるなど、敵を倒してただ進むだけではなく、考えながら進む必要があるので、これが適度な難易度でちょうど良い刺激となっていました。

設計自体もとても親切で、新しいアクションの説明もあり、練習的な場面も用意されています。それが物語に違和感なく組み込まれているので、これまたすごいなぁと思いました。

私はアクションが苦手なほうなのですが、これ以上は無理だ!とならない絶妙な難易度で、最後まで遊ぶことができました。
もしHPが尽きてもすぐ手前からリスタートでき、テンポも良かったので、死を恐れずに進めます。
セーブポイントも割とたくさんありますしね。

よいゲームにはよい音楽

良いゲームは音楽も良い法則…個人的にはあるなと思っています。
音楽にも力を入れる。それだけゲームにかける思いも伝わってくるし、なにより音楽がゲーム体験にもたらす影響は大きいと思うので、そこを蔑ろにしないゲームは良いゲームだなと思います。

緻密に描かれているドット絵ですが、ドット絵は素朴な印象も与えます。レトロっていうかもしれん。
そんなレトロさに沿ったBGMもあれば、戦闘などでは緊迫したかっこいいBGMだったり、宇宙的な音楽を使っていたり、古代を思わせる音楽だったり。

音楽のことは詳しくはわかりませんが、曲調の幅が広いなと感じました。
その音楽ごとに、このゲーム自体の印象も変わってくるのがまた面白いなと思います。

耳に残るBGMのゲームっていいですよね。
その曲を聴くだけで、その場面が思い出せる。
eastwardは、物語やビジュアルに合った音楽も、見どころ(聴きどころ?)の1つだと思います。

記憶に残るゲーム

私はeastwardを遊んで、「なんか懐かしいな」と感じました。

作中でも、ゲーム内ゲームの「大地の子」に熱中する子どもたちが描かれていましたが、eastwardをプレイしている時の自分はまさにあんな感じだなと。

世界観に没頭する。ドキドキわくわくする。攻略法を考える。小さな発見に喜ぶ。物語に感動する。そんな、ゲームのいいところ尽くしな作品だなと思いました。

大人になってからこんな良いゲームに出会えて、嬉しいなと思います。
美しいピクセルアート、ジョンと珊の冒険、素敵な音楽。忘れられないゲームになりました。

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