見出し画像

(2024年3月)上野でみた大道芸(2)その1

2024年3月の、とある日曜日に見たもの。

帽子が飛ばされそうになって「あわわ、、、」と言ってしまいそうな強い風が時折吹くものの、風が止んでいる時間は春を感じさせる穏やかな日差しがある上野公園。
音もなく忍び寄る桜前線が襲来前の上野公園ではありますが、午後になると人出も多く賑わいを見せておりました。
噴水前広場を行くと、行列ができた有名Caffeの近くに、メガネをかけた男性がいました。
時間は14:30。
小さなレインボー風車がくるくるとやさしく回っています。
メガネの男性は棒の上でボールを回転させています。
その棒がずんずんと上に向かって伸びていきます。
空高くあれよあれよと棒が伸びていき、それでもその頂上でボールは回転しつづけています。
物干し竿よりももっともっと長く伸びたその棒を、メガネの男性は顎に乗せました。
そして、事もあろうに支えていた両手を離したのです。
こ、これはまるで大道芸。
物珍しいものを見るように足を止める人々。
いや、確かに物珍しい。
日常生活の中でお目にかかれない光景でした。
洗濯中に物干し竿を顎にのせている人はそうそういない。
水晶玉を使ったり、中国っぽいコマを使ったり、小さなマジックを披露したりとしているうちに、ファミリー層やカップルなど徐々にお客さんが増えてきました。
観客も増えたところで、やっぱり大道芸人の人だったメガネの男性は3個のボールをひょいひょい投げ回し始めました。
ボールを操る巧みな技に拍手や感嘆の声があちこちから聞こえてきました。
おしゃべりをしながらも投げるボールの数は3個から4個へ。
ひょいひょいひょいと投げ回すボールはおばあちゃんのお手玉です。
宙を舞いリズムよく投げ回されます。
でも平成令和のおばあちゃんは、こんなにすごいお手玉するのかな?
そしてお手玉をするおばあちゃんのイメージは十中八九、白髪のお団子ヘアに和装。
実在のおばあちゃんと、人々がイメージするおばあちゃん像のギャップ。
概念として存在するおばあちゃん像とはいったい、、、と考えさせられる大道芸って奥が深い。
などと思っているうちに、ボールの数は5個に増えていました。
5個のボールを鮮やかに投げる様子に自然と拍手が。
遠巻きに見ている人も含めれば100人程度の人が見ていたかと思われますが、見ていて思わず「おぉ~↑」とか「あぁ~↓」の声が聞こえたり雰囲気がとてもいい。

そんな雰囲気のなか最後はお客さんのお手伝いが必要となりました。
メガネの大道芸人の人は「酔っ払ってないかた」を求めていました。
そこでカップルで見ていたお兄さんが選ばれました。
お兄さん、まんざらでもないご様子。
メガネの大道芸人の人の指導のもと、手渡されたボーリングのピンみたいな道具を投げ渡しました。
わるくない。
そして大道芸人の人が高さが1.5mぐらいありそうな大きな一輪車を用意している間、お兄さんは一人、その道具を投げる練習をしていました。
さすが日本人は勤勉です。
二宮尊徳から引き継がれる日本人のDNAがそうさせるのか。
颯爽と一輪車に乗った大道芸人の人に向けて、練習を重ねたお兄さんは三本の道具を順番に投げ渡しました。
見事にキャッチし一輪車に乗りながらジャグリングをする大道芸人の人と、ナイスアシスタントのお兄さんに拍手が送られました。
フィナーレはその道具に変わり、大きなナイフを一輪車の上でジャグリングして終幕となりました。

パフォーマンスステージのように白いラインが引かれた中のはじの方を、何度かチビッコが走り抜けて行ったのが気にはなったけれど、アクアラインを通って帰ると言っていた大道芸人の人は、絶え間ない小気味の良いトークと技で見ていた人を存分に楽しませてくれたのでした。

(2024年3月)上野でみた大道芸(2)その2前編 につづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?