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マイナスな事を減らそうとしても無駄である。

あるASDの人を恩師に事例検討してもらっていた。
僕は困った行動(いわゆる問題行動)について説明をしていた。
しかし、恩師は全く聞いている様子がない。

ひとしきり困った行動の説明が終わると、
「そんな事はどうでもいいから、この人他にいろんな事できそうだよね」
とあっさり返された。びっくりした。

どうしてなのか聞いてみたら、返ってきた言葉である。
「マイナスな事を減らそうとしても無駄である。1つでもいいから良い事を褒めて増やしてごらん。問題は一つ減るから」

それがどういう事なのか、今はわかる。
不適切行動へ対応する場合、近年はPBSがスタンダードである。
介入プロセスにおいて優先すべきは、不適切行動を減らすのではなく、適応的な行動をポジティブなフィードバックで増やす事である。
適応的な行動が増えれば結果的に減る。

さらに恩師は、「悪い事をなくすんじゃなくて、良い事を増やす。余力があったら悪い事も減らそうかと考える。なくそうとするにはエネルギーがいるから、どうせだったら、そのエネルギーを良い事を増やす事に注いだ方がお互い良いよ」

今でも、ASD支援や療育をする上で、僕の原則になっている一つである。

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