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「ごめん」君は慌てて立ち上がった。
その時は私からして、何もおかしくはなかった。
君はそのまま私と一緒に外へ出た。
そこには石丸君が壁にもたれかかっていた。
「大丈夫か」彼は君を見た。
君はコクリと頷いた。「大丈夫だよ」
私は2人を交互に見た。「知り合い」
ただつぶやいたつもりだったが、質問文化と思われたらしい。
「ああ、彼は昔から僕のクラスメイトだったんだ」予想はしていたが、当たるとは思わなかった。
私は君の目を見て訊いた。「幼馴染?」君は頷いた。「まあ…いや、何でもない」
私は少し気になったが声には出さなかった。
君は片腕が使えなくなったけど、それでも数か月で治るならそれでいいと思った。
家に帰ると君の親は目から涙を流しながら喜んでいた。
いい家族なんだな、と思ったが、君の瞳を見てみるとどこか暗かった。

「…」私はベッドに入るとさっきのことを考えた。
君の瞳を。
あの瞳は喜ぶものではなかった。
一瞬あの親が演技をしているのかと思ったが、その考えはやめにした。
そのまま考えていると、そのまま寝てしまった。
夢の中では君と出会った。「これって夢だよね」
私はなぜかはっきりとした記憶があった。
夢のような感覚ではなかった。
これが夢だと考えることができる。自分の声が聞こえてくる。いろいろなことを考えることができる。
君も自分の手をじっと見ていた。
一番初めに気が付いたのは君の手は普通だった。包帯が巻かれていない。
「ここはいったいどこ?」私は周りを見た。「さあ」君も全く分かっていないようだ。
昔にもこういうことがあった。はっきり記憶があったが、夢だったということが。
「前のこと覚えてる?数日前のこと、あの夢」思いっきり訊いてみると、君はびくりとなった。
「あ、あれって夢じゃなかったっけ???」君の顔はみるみると赤くなっていった。
私は慌てて君に近づいた。君は頭から湯気を出しながら地面に倒れた。
私は首をかしげながらも君を持ち上げ、肩を揺さぶった。
君はすぐに起きたが、視界に私が入るとまた気を失った。
「夢の中で寝てる…」私はつぶやいてから少し笑った。おかしかったからだ。

君は起きるのに少し時間がかかった。
起きると周りを見た。「これって夢?」
彼が起きたとたんにその場は真っ白になった。
まるで本当の夢みたいだ。夢なのだが。
すると、向こうから緑に光る葉っぱが嵐のように待ってきた。
「キャ!」私は目を閉じたが、痛みも何も感じなかった。
空から舞い降りてくる葉っぱが当たったかのようだ。
目を開けると横には君が立っていた。背中をさすっている君が。
「やっぱりね」背中をさすりながらも彼はにやりと笑った。
私はうれしくて飛びついた。「ありがとう」感謝していた。
だが、すぐに叱った。「自分の体を何よりも大事にしないよいけないよ」
すると、君は説明してきた。
「痛みは感じるかわから中たけど死ぬわけないと思ったんだ」
私は目を丸くした。「どういうこと?」
『だってここって…』
私は心の中で恐怖を感じた。
ここにはほかに誰かいる。しかもただ者ではない。
私は動けなかった。
『夢だもの』

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