見出し画像

カリスマか仕組みか~古典から学ぶ強さとは~

株式会社アイリッジ取締役の渡辺智也(わたなべともや)です。
※Twitterもやっています!

最近、友人が薦めてくれたコテンラジオにはまって、隙間時間に見たり聴いたりしています。

◆コテンラジオYoutube
◆コテンラジオポッドキャスト

まだ全部は聴ききっていないのですが、「面白いな~」そして「経営の参考になるな~」と思ったのが、「ハンニバル」のシリーズでした。
全部で12話、毎回30分~45分くらいなので、なかなかのボリュームですが、非常に勉強になるので、皆さんにも是非聞いていただきたいところです。
今回はその内容で自分が勉強になったポイントや考えを深めたところについて語ってみたいと思います。

<目次>
1.カルタゴ(ハンニバル)とローマが戦ったポエニ戦争とは
2.一人の英雄か、継続する力を持つ組織の仕組みか
3.現代社会で経営者として学んだこと

1.カルタゴ(ハンニバル)とローマが戦ったポエニ戦争とは

ハンニバルのシリーズは、カルタゴという国の名将・ハンニバルに焦点をあてています。
が、そもそもいつの話なのか、誰と誰が戦った話なのか、世界史選択だとしてもうろ覚えになってしまうほど古い話ですので、最初に情報を整理しておきたいと思います。

時代は紀元前264年から紀元前146年までの100年超。
最初にローマ軍によるシチリア島上陸から始まり、第一次・第二次・第三次と3回に分けて戦いが繰り広げられ、カルタゴ滅亡まで3度にわたる戦争が繰り広げられたことを総じてポエニ戦争、といいます。

そのなかで、ハンニバルが活躍したのは第二次ポエニ戦争で、ハンニバル戦争ともいうそうです。
紀元前218年~紀元前201年の17年間、戦いが続きました。
ハンニバルがアルプスを越えてイタリアに侵入し、ローマを脅かしたものです。
カルタゴ軍が勝利した戦闘もあったものの、ローマのスキピオが反撃してカルタゴの本拠地である北アフリカに上陸、最終的にはカルタゴ軍を破りました。

2.一人の英雄か、継続する力を持つ組織の仕組みか

この2国、国の仕組みがまったく異なっているんです。
その仕組みの違いが、最終的な勝敗を分けた、ともいわれているのですが、この違いは現代社会のビジネス・企業経営に非常に参考になるな、と思いました。

まずローマ。
「コンスル」とよばれる2名の執政官と300人程度の元老院とが政治を行います。
このコンスルは、貴族から1名、平民から1名選ばれることになっており、2名の間の優劣・上下はなく、まったく同じ権限を持って統治していたそうです。
コンスルの任期は1年で、常に新しく能力や経験値の高い人材が登用されることになっていました。
また、ローマには軍事義務があり、軍事で成果を上げたら昇進が近くなる、ということもあったそうです。
非常にユニークだと思ったのは、負けた将軍も勇敢に戦っていたとしたら祖国に戻ったときに讃えられるのだそう。
「国のためにどのような姿勢で臨むか」が問われていたわけですね。
さらに、ローマは他国とも連携を取り、いわば「ローマ・ネットワーク」のようなものを創り上げていました。

ひるがえってカルタゴ。
カルタゴは海上貿易で非常に栄え、ビジネス上手な国だったとも言われていますが、滅亡してしまったこともあり、あまり確実な文献などが残っていないのだそう。
ローマと比較した特徴としてまず注目したいのは、行政と軍事は分離されていたことです。
将軍職は特定の家系の出身が多く、その権限を制限するような仕組みもあったそう。
任期はなく、一人・一族がずっと同じ職を担うことが普通だったようです。
ちなみにハンニバルもこの将軍として活躍したわけですね。
また、ローマでは勇敢に戦えば讃えられたのに対して、カルタゴでは戦争に負けるとはりつけの刑に処せられるなど、厳しい責任追及があったそうです。
さらに、ローマには軍事義務があったのに対して、カルタゴは傭兵を雇うことで兵力を構築していたのだとか。
雇われている傭兵ですので、「国のために戦う」という意欲は薄く、どのようにモチベーションを維持するかが将軍として求められるということになります。

このように全く異なる仕組みを国家として持つ両国ですが、その戦いのなかでカルタゴの将軍であるハンニバルは、一時大国ローマを追い詰めるところまで大活躍します。
ここでは戦いの詳細は省きますので、興味のある人はコテンラジオをぜひ聞いていただきたいのですが、まさに、一人の英雄が勝つのか、継続力を持つローマという仕組みが勝つのか、といった戦いだったわけです。

3.現代社会で経営者として学んだこと

この一連の戦いを勉強すると、100点満点を越えて200点を叩き出せる一人のエースに頼るのか、80点のメンバーが協力しながら仕事を進めるチームを作るのか、といった現代社会の企業経営にもなぞらえて考えられるな、と思いました。

スタートアップ時期などは、凄腕の経営者に頼り成長することができるかもしれません。
でも、どこかで限界がやってくる。
そのときに、80点のメンバーかもしれないけれど、彼らが力をあわせてチームになっていくプロセスを支援する・意図的に促すといったことも求められます。

例えば、私は営業を管掌していますので、Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション/営業支援システム)の導入を考えたときに、単純に「営業プロセスを分解しましょう」だとうまくいかないことが多いですよね。
SFAを進めるのは面倒で、つい近視眼的な取組みになってしまうのも(自分の経験をふくめて)よくわかります。
でも、というか、だからこそ、「何のためにやるのか」を理解して、行動に落とし込む必要があるわけです。
これをカルタゴとローマとの違いに当てはめると、
「とにかく勝つために早く」「できなかったら罰する」というカルタゴと、
「国をいかに強く維持させるか」「そのために取り組んだことは評価する」というローマ、
ということになりそうです。

カリスマか仕組みか。
スタートアップでは必ず話題になるテーマですが、古典から学んだこととしては「仕組み」のほうが長く続くために重要、そして長く続くことは強さにもつながっていく、ということですね。
また、ハンニバル戦争を、異国で起きたはるか遠い昔の戦争、と見るのか、
彼らの戦略ーーもっというと国としてのあり方ーーと自分の経営者としてのスタンスを振り返る題材と見るのか。
コテンラジオ「ハンニバル」を通して、歴史から経営者としてのあり方を学ぶこととはこういうことか!と膝を打った気持ちでした。
皆さんも是非、聞いてみてください!

よかったら、Twitterもフォローしてください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?