優太

好きという気持ちは皆と同じなのに、 ただただ同性を愛してしまった、恋に臆病な少年。 届…

優太

好きという気持ちは皆と同じなのに、 ただただ同性を愛してしまった、恋に臆病な少年。 届く事のない、想い。

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「僕と彼」という映画。

桜も散り始める頃。 日差しが少しあったかくなってきた。 「今日暑いな」と、腕まくりをしだす彼。 少しかいた汗に肌が光って、 少しふわっと彼の匂いがした。 汗の匂いと柔軟剤の匂いと春風の匂いが混ざって 僕の心はうずく。 手で風を煽っては、腕にコブが見えて、 筋トレ続けてんだ、なんて思いながら、 「早よいこ」って言ってわざとくっつく。 汗がべたっとくっつき、 「うわ」なんて声をもらすも、 「拭けばよかけん」なんて言って、 僕のハンカチで彼の汗を拭く。 どうもこうもないが

    • 僕と彼と球技大会

      朝が早くなり、一日が長くなる夏。 今日も彼に会える。少しばかりだけ、いつもより長く。 今日も彼の汗をかく姿を目に焼き付こう。 球技大会。 高校2年、夏終わり。 同じクラスになってから時間は早く過ぎていった。 時間というものは、こんなに早かったんだろうかと、 ふと思う下校も増えた。 そんな季節に訪れた、汗をかくイベント。 陸上部が活躍する体育祭ではなく、 ボールさばきに長けた人たちが活躍するイベント。 そう、球技大会。 誰が何の競技をやるのかを決める。 陸上やら水泳やら

      • 僕と彼と最初の出会い

        いつからだろうか、好きになったのは。 何て恋愛ドラマの冒頭シーンみたいな事は言わない。 はっきりと覚えている。彼を好きになった時の事。 僕の生徒時代は、暗くはないが、決して明るくはない。 それなりに友達もいたし、頭も良かった方だし、運動もできた。 けど、どこか違和感を感じていた。 もちろん、親友と呼べる人はできたが、 ほんの少しの違和感、 皆と同じ空間で遊んでいる筈なのに、 自分だけ手を繋げないまま輪っかの外にいるような感覚。 皆とドッジボールをしている筈なのに、 一向に狙

        • 僕と彼とサウナ

          好きという感情は皆と同じなのに、 ただただ同性を愛してしまった、恋に臆病な少年。 届く事のない、想い。 高校入学。 かの人気俳優に似ている人がいるという。 どこもかしこも、女子が大騒ぎ。 イケメンで、学力上位で、サッカー部。 僕から見ても、確かにイケメンだし、カッコいい要素満載だ。 だけど、それ以上でもそれ以下でもない。 その時はそう思った。 高校2年。 同じ理系クラスのクラスメイトになった。 誰でもない、ただのクラスメイトだった彼が、 僕にとって、大事な

        「僕と彼」という映画。