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聖地巡礼『成瀬は天下を取りにいく』

私の頼れるテクニカルアドバイザーであるMOHさん(※私が勝手に任命)の記事に触発されて、『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈著、新潮社刊)の聖地巡礼をやってみました。

作中にもありますように、西武大津店はすでに取り壊されていますので、写真ストックを漁ってみたのですが、あまりに身近すぎて被写体となる機会がなかったのか、数枚しか残ってませんでした。


西武大津店

最上階のイベントスペースで、動物写真家の岩合光昭さんの写真展イベントの様子。(2017年8月)

岩合さんが立っておられる演壇の後ろあたりが、小説にでてくるバードパラダイス(ガラス張りの大きな鳥籠)の跡地だったと思う。

岩合さんのお顔を一目見んと押し寄せた群衆。
紅葉に紛れた、西武百貨店/パルコへの道案内の看板が分かりますか?このすぐ左はびわ湖。
即ち、西武百貨店は、びわ湖のすぐ近くに立地していたのです。


ミシガン

ミシガンは大きな船だが、琵琶湖の南半分(南湖と呼ばれる)は水深が浅いので、水面下の部分は意外と小さい。発泡スチロールを浮かべた感じ。
大津の春の風物詩。びわ湖開きイベント。
NHK連続ドラマのヒロインが街中をオープンカーでパレードしたのち
ミシガンに一日船長として乗り込み、びわ湖開きを宣言する。


うみのこ

 「うみのこは滋賀県内の小学五年生が乗る学習船なんだ。琵琶湖の生き物や水質について学習して、カレーを食べる(『レッツゴーミシガン』より)」

滋賀県内はもとより、琵琶湖から流れ出る淀川流域の京都・大阪地区の小学生も、一緒に乗船していたようです。


大津港

大津港とヨットハーバー
「船は大津港を離れて北へと進んでいく。四階のデッキに上がると、程よく風が吹いていた。成瀬さんが椅子に座ったので、俺もその隣に腰を下ろす(『レッツゴーミシガン』より)」
秋には、大津市内各所でジャズフェスティバルが開催されます。


近江神宮

御祭神の天智天皇が小倉百人一首の1首目を詠んだということで、毎年競技かるたのチャンピョンを決める大会が開かれます。

アニメ『ちはやふる』の舞台としても有名です。

この神社が建立されたのは意外と新しく、1940年(昭和15年)。
かるたの試合会場となる勧学館はこの右手奥。
今にも動き出しそうなドラゴン。


JR膳所駅

私が就職したときに、会社が指定した集合場所の最寄駅がこの駅でした。今でこそ跨線橋の上に改札が設置された近代的な駅(作中でも「名残惜しくも成瀬さんと別れて、ホームに降りた」とありますのでこの形態でしょう)ですが、その当時は狭い地下通路の先に改札がびわ湖側だけあるような、鄙びた感じの駅でした。(残念ながら、写真が見つかりません)

この駅から商店が立ち並ぶ「ときめき坂」を下って、湖岸通りに出るといきなり視界が広がり、その先に巨大(に見えた)西武百貨店があるのが、まさにバブル経済の迫力(当時)という感じで、とても異様でした。


石坂線

「あぁ。幼稚園の頃、遠足で石坂線に乗ってどんぐり拾いに行ったものだ。(『レッツゴーミシガン』より)」

地元民は「石坂(いっさか)線」と呼ぶが、正式には京阪石坂坂本線
その昔、紫式部が源氏物語を執筆した山寺から、比叡山延暦寺の門前町である本を結んで、大津の古い街並みを縫うように走ります。近江神宮前駅を過ぎた坂本までの湖西エリアは急に開けて、琵琶湖の景色が綺麗です。

車内アナウンスは、大津市内の高校の放送部が担当したりします。


後記

膳所から世界へ羽ばたく成瀬さんと島崎さんの、今後の活躍を読みたい。


世界的に有名な観光地である京都からJR線で2駅という近さから、影が霞みがちではありますが、噛めば噛むほど味があるとても素敵な街です。
もしお近くに寄られた際には是非お越しください。

そして、成瀬さんと島崎さんの足跡を辿って、彼女たちが観たであろう風景を堪能していただけると、なおさらこの作品の心象風景が鮮明になるでしょう。


追記(2023.04.24)

嬉しいです!

ここまで読んでいただき、有り難うございました。


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