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ホテルサービス その443 - BK -

ホテルでキーパーと言えばハウスキーパーを思うのは当たり前の常識であります。

ではBK(バンケットキーパー)はご存知?

バンケットキーパー。
大手ホテルのジャニターとも違い。
スチュワードとも全く違う。

私が在籍していたホテルの独自システムにBKがありました。

BKとは!
和洋中の各調理場で作られた宴会料理を目的の会場へ作りたてのまま素早く運ぶ仕事。

使用機材はエレクターシェルフワゴン。
移動式の縦型ウォーマー。

当在籍していたホテルは宴会稼働率が日本一級の規模を誇るドンデン王国でした。

宴会洋食と和食のキッチンは本館地下1階。
中華厨房は1階にありました。

宴会場は本館の3F・6F・8F
新館の1F・3F・4F・24F

150名収容の会場は7会場。
スパン分けすれば18会場に及ぶ広さ。

1日あたり最大婚礼件数は21件を記録した年もありました。

この全ての宴会場で行われる宴席料理を時間通り的確に運ぶ役目なのです。

通常はキッチンの仕事なんですが高稼働のために仕込調理で運ぶまで手が回らない状況。

さらに宴席の始まる時間や料理内容はは大体同じのため毎日同時刻に似たような料理内容の運びが重なるわけであります。

ホテル本館にある厨房と宴会棟それに新築タワー棟に分かれていたため裏銅線は迷路。

複雑でクランクが多くエレクターシェルフや縦型ウォーマーのキャスターがフル回転で器材扱いに慣れるのにも時間がかかる作業でした。

仕事のメインである洋食と和食の厨房は通路を挟んで対面にあり一見簡単そうに思えるのだが机上論は空論に終わる世の常(^^)

洋食はパーティー料理(盛)やブフェの長角プラッターの扱い方に気を遣うフランス語。

和食は会席料理のため一品一品をエレクターに乗せ美を保ち会場まで運ぶ美の難しさ。

中華は中国語と調理場熱とスピードとの戦い。

もっともどの厨房も質の低下を防ぎ注意を促す目的の怒鳴り声が飛び交っていました👨‍🍳

このBKは宴会マンの登竜門として本来は半年の予定でしたが!
バブル期の多忙の余り責任者として9ヶ月の日々を過ごす事になったのでした。

お蔭様で食材の知識に調理の仕方や言語(フランス語・中国語・正しい日本漢字)を辞書で調べ尽くし後輩へ教えるレベルにまで成長できたのは現職の礎になったと思います。

嫌だな!と思っていた仕事も遣り始め突き詰めれば面白さに変わる事を実体験からも学ぶことができた訳であります。

慣れとは恐ろしいもので10ヶ月目にはサービスへ戻ることが嫌だと思いました。

ホテルの仕事は「水面を進む白鳥」に例え表現されることもあります。

正しく表面はクールに見えているが水面下足元の見えない部分は一生懸命に動いている。

裏制表制。
裏を制するものが表を制する❣️

私の座右の銘にしている言葉を取得できた環境は楽しく美しい思い出の1ページ📖

明日はベルマンの言動について…
書いて参ります✍️

HOTEL DIRECTOR

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