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個展「文字と熊」振返り(その2)

続きです。

今回は平面のタイポ作品と熊の彫刻以外に、板を使った半立体のタイポグラフィや、光背的な抽象形体と台座が一体になったものも展示しました。以前レーザーカッターで文字作品を作ったこともありましたが、今回は昨年夏に購入した糸のこ盤が活躍しています。


2015年に府中市美術館で行った、公開制作64「タイポグラフィの実験室」の時、自分の表現について学芸員の方が「言葉に、具体的な力と質量をまとわせようとしている」と説明してくださったのは非常に的確だと思いました。そして今回、板から文字を切り出して現実に質量を持たせることになりました。

キャンバスなどの支持体から開放された半立体のタイポグラフが空間にせり出してくる姿は自分でも新鮮でしたし、平面作品と彫刻とを繋ぐ役割も果たしてくれたように思います。

「心外無法」 「座禅熊 no.5」 ©2022 Jiro Bando 

<心外無法(しんげむほう)>=心外無別法も同じ意味。
直訳すると「心の他(外)に法(現象)があるわけではない」となるが
あらゆる現象は心が生み出しているに過ぎない、という意味になる。
よりストレートに表現したのが「一切唯心造」という言葉。

4文字別々に切り出してペイント後、組み合わせは即興的に行い、展示開始直前に完成した。

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「行雲流水」 「座禅熊 no.15」 ©2022 Jiro Bando

<行雲流水(こううんりゅうすい)>
行く雲、流れる水、という常に移り変わるものを通して、
何ものにもとらわれぬ悠然たる心境や長閑(のどか)な気分を表す。

組み文字を切り出した板にペイントやシルクのドットグラデーションを施した。黒い部分は1段高くして厚みに変化を持たせた。

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「座禅熊 no.9」+光背 ©2022 Jiro Bando

彫刻設置の可能性の一つとして、仏像の光背(こうはい)に準ずるものを考えた。今後もいろいろ試したいところです。

続きます。

個展の詳細は下記から御覧ください。


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