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楽天は何故「高梨、ウィーラー←→高田、池田駿」の”超格差トレード”をしたのか?楽天サイドの意図を解説

こんにちは、ジンです。今回は少し前に行われた読売ジャイアンツとの2連続でのトレード

ゼラス・ウィーラー←→池田駿

高梨雄平←→高田萌生

のトレードについて、解説していきたいと思います。

御存知の通りウィーラーは.289 3本 OPS.871、高梨雄平は3登板でランナー一人も許さずと、大活躍中です。巨人ファンならず、各野球ファン、何故二軍の選手である高田、池田でこの二人で取れたのか?という疑問が湧いてくるのは当然だと思います。のでこの意図を解説をしていきたいと思います。

楽天側のキーは”先発プロスペクト”高田萌生

まず第一に言えるのは「石井GMが同ポジションに当て馬を当てて、競争を煽る編成をしてくる」ことが言えます。例としては

辰己涼介VSオコエ瑠偉

太田光VS堀内謙伍

和田恋VS内田靖人

小深田大翔VS山崎幹史

と、同ポジションで1歳差、もしくは同年齢の選手をわざわざここ2年間で獲得してきています。また、全員若手と言える年齢であり、競争を煽る意図があるのは明らかです。

実際この中で一番結果を出しているのが内田靖人と言えます。現時点で43打席ながら.250 3本 OPS.900を残しており、入団以来ファームでもほぼOPS.500台だった選手と考えると考えられないほど「ケツを叩かれている」と言えます。巨人ファンサイドからも「古川を出してまで和田恋を獲得した意図は何?」と疑問が投げかけられることが多いのですが、和田恋と内田のどちらかを一本立ちさせたいという意図が高かったと思われます。

ここまで言えば察しが付く方は付くと思いますが、楽天のファームにおける先発プロスペクトと言えば藤平尚真です。この世代の楽天の投手はドラ7の野元が去年育成落ちのち自由契約となっており、藤平一人が孤立している状態になっているのです。藤平自体はイースタンで奪三振王をとり、ファーム日本一決定戦にも先発するなどファームのエースであることは間違いないのですが、楽天内に置ける若手のライバル不在はどうしても否めない状況です。

が、ここに22歳と同世代であり、尚且つファーム三冠や100イニング以上でK/BB4.00超えなど、巨人内におけるトッププロスペクトではないかもしれないものの、プロスペクトであることは間違いない高田萌生を獲得したとなると、狙いがはっきりと競争を煽ることと見えてきます。

同世代のスターターのライバルを藤平にあて、これでどちらにも刺激になってほしいというのが獲得理由の最も妥当な理由と言えるでしょう。

また、古川と高田の対比ですが、古川は和田恋内田と同年齢の25歳なのでプロスペクトかどうか微妙なラインの年齢ながらあくまである程度の実用性のある投手です。個人的には投手版和田恋という表現が似合うのかなと思います。(石井GMはインタビューで和田恋に対しては将来の6番打者として期待していると発言していたり)。

それに対して髙田萌生は22歳とまだ大学4年生と同じ年齢。感覚としては大卒ドラ1~ドラ2をトレードで獲得した感覚に近いので、当然高梨雄平クラスの大出血は必要だったでしょうというのが自分の感想です。

池田駿は、期待値からして高梨雄平の6~8割くらいの穴埋めをしてくれればいいかなという感覚で取ったのがウィーラーとのトレードの時点で決まっていたのかなと考えられます。

観客大幅減による収入減によるコストカット

また、前向きな理由というより、もう一つ大きな理由があります。

それは新型コロナウィルスによる無観客試合や観客減の試合による大幅な収益悪化です。放映権である程度の収入は確実に担保できる巨人に対し、楽天はほとんどが球場での収益によって成り立っている球団なので、観客減はかなり大きな痛手となるでしょう。

そこで2020年の年俸が2億円のウィーラーと4800万の高梨雄平、年俸710万の高田萌生と、1450万の池田駿をトレードし、単純計算で2億2640万円のコストカットに成功したのは、前述の先発プロスペクト補強の意図も含めれば、かなり合理的と言えるでしょう。

高田萌生と池田駿は「スラット」使いである

また、この二人に関しては共通点があります。それは今最も球界内でトレンドになりつつある変化球である「ハードスライダー」、いわゆる「スラット」を投げるところです。楽天ファンアカウントである「まれす。」氏に引用の許可を頂いたのでその映像を御覧ください。

高田萌生

池田駿

完全に高速かつ大きく変化するカットボールやスライダー系の変化球「スラット」を投げていますよね。これに加えて高田萌生はスプリット、池田駿は高速チェンジアップを投げるので、タイプでどの投手を取っているかというのがわかる二人だと楽天で二軍戦を見て改めて感じました。

ドラフトで獲得した津留崎や福森もこのタイプですよね。

石井一久GMの「高梨雄平は左に左タイプ」という主旨の発言も、どちらかといえば対右の被打率というよりかは、池田駿が外に逃げる高速チェンジアップを持っている為、右を抑えるセオリーを持っている左ピッチャーであるということを伝えたかったのでしょう。

まとめ

ただ表面的に見れば「古川&高梨&ウィーラー」と「和田恋&池田駿&高田萌生」という”超格差”トレードをし、実際に巨人に行った楽天組は活躍していると言えるので、このトレードに疑問を持った方は大変多いと思いますが、コストカットという前向きでない面も含みながらも、楽天としては内田や藤平との競争意識につなげるという意図、プロスペクトを担保するという意図、スラッターピッチャーを揃えるという明確な意図があるということは、この記事で説明できたかなと思います。

ただ、今後楽天に入った方の選手が、楽天全体に良いように働いていくかはまだ未知数なので、今後も見守って行きたいですね。

読んでいただきありがとうございました。

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