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オリックスに学ぶ「圧倒的投高時代」の勝ち方とソフトバンク・巨人が凋落した理由

みなさんこんばんは。今回はオリックス・阪神に学ぶ「圧倒的投高時代」の勝ち方と題してnoteを書いていきたいと思います。

あくまでも完全な私見で、正解や事実ばかりではないと思いますが、近年のNPB周りの投手事情を考えつつ、どういうチームが勝っているのか考えていきたいと思います。

2011年・2012年と同水準で”打てない”NPB

最近のプロ野球は本当に球が速くなったと言われていますが、
それと同時に最近、プロ野球のOPSがとんでもない勢いで下がっているとご存知でしょうか?

平均OPSの推移

平均球速は2010年の141.3キロから5.3キロ上がった146.6キロになっており特にここ5年の投手の高レベル化は凄まじいものがあるといえます。
一方で打者陣は投手の高レベル化に対応しきれておらず、ボールの反発力がNPBの調査によっても変化がみられないにも関わらずOPSが凄まじい勢いで落ちています。

つまりは、この高速化投高時代を生き残らないことには、勝てるチームは作れないというわけです。

引用 https://yakyumaru.com/2021/04/15/post-3380/

オリックスに学ぶ勝てる投手陣の水準

オリックスといえば2021年から二連覇しており、今年も優勝に最も近いチームと言えます。
もちろん森や頓宮といった強打も魅力のチームですが、なんといっても最大の売りが投手陣でしょう。

主な先発が山本、山下、宮城、山崎福、田嶋、曽谷
主なリリーフが平野、山崎颯、阿部、本田、宇田川、ワゲスパック、小木田、山岡です

この投手陣の特徴はなんといっても球速の凄まじさでしょう。
先発で平均球速150キロを超える山下、山本に加えて山崎颯、本田、宇田川、去年はワゲスパックも平均150キロ超え、小木田が148、曽谷が149、阿部が147で
技巧派の山岡、田嶋、宮城ですら145キロと技巧派なのに相当なスピードを持っています。

平均150キロと言われてピンとこない方もいるかもしれませんが、平均150キロあれば大体最速で160キロかその付近は出せる出力を持っていて、2017年頃までは平均150キロを超えるのは大谷とサファテら外国人リリーフくらいしかいませんでした。
そのクラスを日本人で量産しているのがオリックスの一番の強みであり、二連覇を成し遂げた最大の要因でしょう。

規定での平均150キロ超えは山本、バウアー、平良、高橋光成、規定外だと佐々木、ライデルマルティネス、山下、オスナ、カータースチュワートジュニア、高橋宏、山崎颯などまさに圧倒的な支配力を持つ投手ばかりが名を連ねており、支配的な投手を作るのにまず一番の近道が球速を上げることになると言えると思います。(奪三振率の向上や、被弾率の低下に一定の相関があり)

もちろん村上や加藤や岸といった、球速が遅くても勝っている投手はいるのですが、よくよく指標を見るとBABIPが極端に低かったり、奪三振率が低かったり、一発の割合がまあまあ高かったりとやや”癖”のある投手が多く、逆に他のものを武器に活躍する投手を育成する方が難しいと考えられます。(あまり量産できている球団は見たことがない)

育成ノウハウやドラフトひとまず置いておいて、この水準がなければ令和で勝つチームを作るのは難しいと言えます。

ソフトバンクと巨人は投手力が落ちたのではなく、成長が止まった

この「投高打低時代」において「投手力が弱いチームは、いくら打てても確実に生き残れない」と言いましたが、ソフトバンクと巨人はかつて間違いなく投手力で勝っていたチームでした。

例えば巨人は東京ドーム本拠地なのにも関わらず2009年はセリーグ唯一のチーム防御率2点台ですし、ソフトバンクも2017年を始め2010年代のほとんどの年でパリーグチーム防御率一位を取っています。

この二チームは現在、巨人が防御率セ5位、ソフトバンクがパ4位と低迷しています。

この原因は何かというと、「時代に追いつかれた」というのが最大の要因と私は考えています。

時代に追いつかれた「大エース菅野の球速」「かつての千賀の球速」

2010年代を支えた巨人SBのエースといえば菅野と千賀と言って間違いないと思います。

この二人の2018年の平均球速が 菅野148.0キロ 千賀148.1キロで防御率が菅野1.59 千賀2.64です。
このレベルの球速は2017年当時の先発としては突出しており、菅野千賀以上の平均球速を誇る先発は菊池雄星、則本、バンデンハークとエース級の3人しかいませんでしたし、セリーグ最速は菅野。12球団最速先発のバンデンハークでも平均149キロでした。
つまり、この二人が活躍していたのは制球や変化球などの駆け引きもありますが、シンプルに時代に対して突出して速かったというのが一番の要因と言えます。

時は流れて令和5年。12球団規定の平均最速先発は山本由伸の153キロ。規定外だと佐々木朗希の159.3キロです。
平均148キロの先発だと楽天荘司がおり、大卒ルーキーでも簡単に記録時代になってしまったのが時代と言えます。

ソフトバンクは今でも板東や松本、大津など平均148キロ付近の投手を量産しているのですが、時代に完全に追いつかれてしまったのが投手力失墜の最大の要因と言えます。

同じく巨人も山崎伊織や戸郷、そして菅野もさほど球速が落ちておらず平均145〜148キロクラスの、2010年代でいうエースクラスはかなりいるのですが、時代のレベルに追いつけるレベルのエースを生み出せておらず、ローテ級止まりになっていると言えます。

ソフトバンク・巨人(ついでに楽天)も共に12球団で最上位クラスの得点力を誇っており、以前のような強さを生み出すには、かつての菅野や千賀のような「時代に対しての圧倒的な高速投手」を生み出すのが優勝への1番の最善手と考えています。

高速化時代のトレンドは高卒大型投手!?

ここまでいかに高速化時代に対応することが重要か語りましたが、どういう投手をドラフトでずば抜けた投手になるのか気になりませんか?
そこで私は以前、侍ジャパンの選出選手を高校・大学・社会人・独立と分けて並べてみたツイートをしたことがあります。

ここで気になったのは、驚くべき高卒率の高さです。

さらにフォロワーのFGEさんにさらに興味深いデータを教えて頂きました。

侍ジャパンの高卒率は、2023の投手のみ突出して高かったということです。
投手で代表に選ばれた非高卒は伊藤、大勢、今永、湯浅、宇田川の5人。
その他ダルビッシュ、佐々木、大谷、松井、高橋ら10人が高卒だということです。

この中で傾向を考えると、高卒右腕は身長が
ダルビッシュ194cm 大谷193cm 佐々木190cm 山崎颯190cm 戸郷187cm 高橋宏186cm 山本177cmと山本以外が全員186cm以上の長身大型
高橋、松井、宮城の左腕組はいずれも180cm未満なものの先発の高橋147km、宮城146km、リリーフの松井が149キロといずれも左腕としては高速であるということです。

現在首位のオリックス、阪神のドラフト傾向を考えると、オリックスは山下、宮城など高校生投手を上位指名していますし、阪神は才木、西純、及川、森木など大型高校生投手を上位指名していますよね。
この2チームはトレンドにいち早く気づいてるドラフト巧者の2球団と言えますが、楽天、ソフトバンク、巨人と投低のチームを見ると近年の大卒社会人の即戦力志向や技巧派左腕の偏重が目立ったり、ソフトバンクは風間(高校時182cm→プロで突然184cmに)や松本(182cm)や高橋純平(183cm)のような182cm付近のやや大型とは言い難い高校生右腕を指名しがちなように見えます。ソフトバンクのこの手の高卒投手はリリーフ止まりになる傾向が強いように思え、先発不足の要因の一つになってると言えるのではないでしょうか

まとめ

2010年代を蹂躙したエースは間違いなく「当時としては圧倒的に速い」投手たちでした。今となってはその水準では速いと言えないため、更なる時代の高速化に対応したオリックスにいかに追従できるかが今後のプロ野球の基準になってくるのではないか、と僕は考えています。

その為に最も重要なのは、遠回りなようで実は近道な高卒投手の地道な育成なのではないか、と最近ますます思えてきている、というのが今回のnoteの趣旨でした。

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