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プロ野球における「戦術至上主義」の限界

こんにちは。

今回は「プロ野球における戦術至上主義の今」というテーマでお送りしたいと思います。

私はサッカーに関してはあまり明るくないのですが、ワールドカップで森保監督が「戦術を置かない監督」として賛否両論を巻き起こしたのをふと目にしました。

サッカーも野球もファンやOBの間では「戦術が重要なスポーツ」として語られるスポーツですが、ここで「戦術を置かない森保監督」に対して「スポーツ界の今」があるように感じました。

日本サッカー界を見渡すと、昔に比べて随分と海外で活躍する選手が増えました。つまり「強い選手」が昔に比べて日本には増えたということだと思います。

選手が簡単に伸びる背景

野球界に話を戻しても、同じことが言えると思います。日本野球界は「150キロ出ればドラフト一位」という時代は終わり、「MAX150キロじゃない支配下投手」の方が少ない時代となり、プロで伸びれば160キロを出す選手も珍しくありません。

これは「スマホの普及、インターネットの普及」が大きく関係してると言えると思います。
プロ野球の平均球速は2014年を境に大きく伸び始めました。

これは、スマートフォンの普及と相関があります。

スマートフォンの過去10年の普及率 出典:モバイル研究所

アマチュア選手もインターネットで「トレーニング方法」や「栄養学の普及」「メカニクスの理論」を簡単に学べる時代になったことにより、「指導者の教えしか得られない時代」から「自分で速い球を投げる最善を知ることができる時代」になったと言え、それがデータに如実に現れています。

球界の高速化による「戦術至上主義」の崩壊

逆に野手の方で考えると「150キロ、160キロを出す選手が圧倒的に増えた」ことにより「三振数が圧倒的に増えている」状況にあります。

プロ野球のデータで見ると、1990年のパリーグの奪三振率が6.36なのに対し、2022年のパリーグは7.51となっています。リーグ奪三振数は1990年は4902個なのに対して、2022年は6389個と、プロ野球の三振は一年間で1500も増えているということがデータから解ります。

三振が増えるとどうなるか。やっと一塁にランナーを出して、バントしたり進塁打を打ってもその後2個三振取られたら終わり。圧倒的投手有利の時代なので、打者も「ホームランや長打」を狙うことが前提の打撃スタイルに変化していくのです。

つまりは作戦によってアウトを一個減らし、ランナーを進める価値が昔に比べて圧倒的に低くなっている時代なのです。

これは「昭和〜2000年代のプロ野球」を生きていた「スマホのない時代のプロ野球OB」との「大きな世代間ギャップ」を産んでおり、解説などで「打順が重要」「バントが重要」「進塁打が重要」と「過去の球が遅い時代の野球」の話を現代に押し付けているのが今の野球界の現状であり、「20年以上も前の野球界の常識を聞かされている今の野球ファン」ということになります。

「頭を使った作戦をする野球」も「ハードなスイングをできて、ハードな球を投げる野球」が勝つ時代。それを「観る」には野球の知識がより必要

今のプロ野球に「小手先の野球」は考えるだけ無駄、という時代になってきています。「頭を使った方が勝てる」「野球は頭のスポーツ」と「プロ野球OB」に聞かされたファンは多いでしょうが、パワーの天井が計り知れない今、それだけでは勝てません。

逆にプロ野球を「観る」ことにおいて必要なのは「どういうスイングが飛ばせて」「どういう投球が速い球を投げられるのか」「どういう変化球が空振りを取れるのか」ということなので、野球を観ることに対してちょっと知識が必要になってくるかもしれません。

「打順」「バント」といった話は「素人にでもできる話」ですが「正直、関係ない」と言ってしまえると思います。

森保監督の「戦術を持たないサッカー」も「サッカー界でも同じことが起きているのかな」と感じました。

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