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12球団プロスペクトランキング(NPB版)スカウティングレポート付きで書いてみた。

こんにちは。今回はNPBにおけるプロスペクト(期待の若手)ランキングを作ってみたいと思い、記事を執筆してみました。


プロスペクトの評価基準と選出選手の制限

まず、MLBにおけるプロスペクトの大まかな定義は「MLB(NPBで言う1軍)でほとんど出場してない若手の期待株」というニュアンスで話されることが多いです。つまり、佐々木朗希選手なんかは若いと言ってももう完全に戦力化していてプロスペクトの定義には当てはまらないと言えます。これをNPBに置き換えて、私の中で基準を決めて制限を設けることにしました。

ルールとしては

  • 大卒2年目以内、高卒5年目以内

  • 野手は1軍通算300打席未満、投手は通算50イニング未満

とし、例えば黒川選手が高卒4年目で通算192打席なので対象とします。

また、評価基準としてポジション問わず評価できるという点で「WARをどれだけ最大化できるか」という基準で選手を評価させて頂くことにします。
なので、単純な今の成績だけでなく、身長や足の速さ、守備の上手さ等のポテンシャルである程度主観を持って評価させていただくことになりますので、ご了承ください。

また、以下の評価では20-80スケールというMLB式の評価方式を使っています
詳しくは以下を参照してください

引用元 : https://1point02.jp

また、総合評価はフロア評価(最低限このくらいにはなるだろう)という評価と、シーリング評価(最高このグレードになる可能性がある)評価をしていこうと思います。

それでは早速行ってみましょう。

12球団プロスペクトランキング


7位 曽谷龍平 オリックス SP 左投左打 182cm/80kg 22歳

2023成績
1軍成績 防御率3.86 1勝2敗
2軍成績 防御率2.56 6勝2敗 奪三振率9.28 与四球率2.45

体格及びメカニクス

ドラフト一位の大学生投手としては標準的な体格(隅田が177cm81kg、早川が180cm76kg)。
”速い球を投げる”ことにおいては理想的な動作をしており、かつアームの操作性も優れたメカニクスとなっている。

同チームの山本と同じく始動からリリースまでのモーションが非常に短く、ノーワインドアップで動作の流れが一旦止まり、出力を逃していく旧世代のピッチャーとは一線を画す。

速球

アームアングル的にもあまりホップ幅が出るタイプでなく、回転軸はそこまで特筆すべきものはない。平均球速は147.9キロと左腕としては同チームにおける宮城より速い。回転よりは出力アップでアプローチして来る可能性が高い。

将来のグレード:55

変化球

カットボールとツーシームで横に揺さぶる投球がメインである。
MLB式のでは主流であるものの日本においてこのタイプのデリバリーはなかなか珍しく、NYY時代の田中将大を想起させる。

ツーシームは平均137キロとストレートと比較するとやや遅く、今後もっと改善すれば空振り率は劇的に更に上がるかもしれない

将来のグレード:60

総合評価

全体的に将来田嶋や山崎福の評価は超えてきそうなスケールを見せており、現時点では一軍ローテまでは確実に来られるハイフロアなタイプと言える。

一方でアングルやストレートの質的に出力を高めても空振り率を担保しにくく、代表レベルまで来れるかはボーダーラインかもしれない。
宮城大弥を超えられるかが一つのキーとなりそう。

フロア評価:55(一軍ローテ3〜4番手レベル)
シーリング評価:60(侍JAPANの左腕枠)

6位 井上温大 読売 SP 左投左打 175cm/78kg 22歳

2023
一軍成績 防御率10.95 0勝1敗
二軍成績 防御率0.75 7勝0敗 奪三振率10.45 与四球率2.61

体格及びメカニクス

体格は高卒四年目ということもあり、下半身を中心にかなり出来上がっている。
メカニクスは大きく上から投げ下ろすタイプの左腕で、アームアングルは楽天・松井裕樹に近い。一般的にはエクステンションと引き換えにかなり出力と制球力ををロスする投げ方であるが、井上の場合BB%はとても低く、一軍では平均147.4キロと高出力を担保している。

速球

平均球速は145キロ〜147キロ。最速は153キロを計測。
左腕としては既に一軍で活躍するスターターレベルと同じレベルの出力を担保しており、一軍でも被打率.500ながら空振り率8.80%と出力以上に高い空振り率を誇る(同程度の平均球速の宮城大弥のストレート空振り率が4.71%)

ただ、体格やメカニクス的にこれ以上の伸び代を期待するのはやや難しいか。

将来のグレード:60

変化球
縦に大きく割れるスライダーが特徴で、この球は非情にグレードが高い。主にストレートと落ちる系の縦割れのスライダーで勝負するが、全体的にカウント球に苦労しており、カットボールやカーブの精度が低く一軍ではストレートの割合が50%を超えるなど直球頼りになってしまっている。
特にカーブやチェンジアップなどのブレーキングボールは空振りを取っていく投球スタイルに対してあまり期待できないため、カットボールを磨くか、もしくはスプリットの習得という方向に行くかもしれない。

将来のグレード:55

総合評価

あまり出力が期待できなかった入団直後に比べ、かなり劇的に成長を見せている投手であり、体格など含めても数年で頭角を表す可能性が高い選手といえる。反面、既に完成しきっていながら一軍で通用しない理由は投球バリエーションにあり、現状ストレートとスライダーのツーピッチになってしまっているのが先発として苦しい。今後数年で頭角を表せなかったら一気に苦しくしまう可能性を秘めているものの、今後が非情に楽しみな若手左腕の1人といえる。

田口麗斗の本格派版といった印象で先発としてもリリーフとしても万能な成長を見せそうなタイプと言える。

フロア評価:55(リリーフの勝ちパターン)
シーリング評価:60(上位チームの2〜3番手以内に入るクラス。左腕枠での侍JAPAN準候補)


5位 齋藤響介 オリックス SP 右投右打 177cm/72kg 18歳

2023成績
一軍成績 防御率0.00 0勝0敗
二軍成績 防御率2.25 1勝2敗 奪三振率8.00 与四球率3.50

体格及びメカニクス

177cmとフレームは高卒右腕としてかなり小さめではあるが、同じオリックスの先輩右腕である山本由伸を彷彿とさせるショートアームからの出力担保に特化したメカニクスで平均146キロを担保する。肉付きもあまり良くはないので、メカニクスの良さを考えてもこれからの出力アップには一定の期待ができるだろう。

直球

フレームを考えると過度な期待はできないが、この体格ながら高卒一年目にして平均146キロを担保しているのは流石のオリックスの見極めの良さと言える。今年初の一軍登板では65.75%が直球と、かなりの自信があるようだが流石にこの割合を投げると2.08%しか空振りが奪えないようだ。一軍、二軍ともにwFAは高水準。シュート成分が少ないホップ型の回転でここまで前に飛ばされないのは素晴らしい。今後の出力アップと、変化球次第でストレートがさらに磨かれるだろう

将来のグレード:60

変化球

見たところ、勝負できる球と言えるのは縦に割れるタイプのスライダーのみで、ここが山本と大きくグレードの違うところといえる。スライダーは吉田凌の様な独特の膨らみを持つ軌道を持つので、この変化球が生命線か。
今後、一軍投球比率を考えてもスプリットやカッターなど、変化球を習得することができなければリリーフに落ち着いてしまうかもしれない。

将来のグレード:55

総合評価

高卒一年目ということもあり順位を上とさせて頂いたが、グレードや課題は井上に非常に似たタイプといえる。山本や西勇輝など、ややフレームの小さい高卒右腕を育ててきたオリックスだからこそできたかもしれない。
一軍でも制球力に困ることはなく、スライダーという変化球を既に武器としているので世代の高校生投手では抜けている。

左腕ではあるが、宮城大弥を超えられるかが当分の目標となる。

フロア評価:55(リリーフの勝ちパターン)
シーリング評価:60(上位チームの2番手。侍JAPAN候補)

4位 福島蓮 日本ハム SP 右投右打 190cm/70kg 20歳

2023成績
二軍成績 防御率2.79 4勝2敗 奪三振率8.88 与四球率4.18

体格及びメカニクス

190cmと育成選手ながら堂々たるフレームを持ち、やや細身。
メカニクスはテイクバックに癖があり、リリースまでのモーションでやや出力をロスしている。このメカニクスのまま成長を続けるならバルクアップは必須かと思われる。

直球
制球重視のメカニクスを持つため、コマンド能力には特化している。それにも関わらず145.9キロの平均球速を誇るため、制球+平均球速の合わせ技で優秀なwFAを持つ。
球筋にも癖がなく、余計なコマンドミスをしにくい。

将来のグレード:55

変化球
スラッター系のスライダー、カーブ、スプリットと現代の王道系の球種を持ち、スプリットとスラッターは鋭利な曲がり方をするのが特徴。
大怪我をしにくいスタッフで、デリバリーの調整のしやすい投手と言える。

将来のグレード:70

総合評価

現在の190cm級二軍右腕で、最も高評価をさせて頂いたのがハム福島となった。長い手足を持ちながらそれを操る能力に長けており、直球、変化球、コマンドともにレベルの高いハイフロアな投手と言える。

上沢のような成長を見せそうなタイプで、出力の成長次第では更にその上も見えてくる投手。

フロア評価:55〜60(ローテーション3番手クラス)
シーリング評価:60〜70(チーム一番手、オールスター級)

3位 安田悠馬 楽天 C 右投左打 185cm/105kg 23歳

2023年成績
一軍成績 打率.218 3HR OPS.641
二軍成績 打率.309 0HR OPS.815

体格

185cm/105kgと、森友哉や甲斐拓也、梅野隆太郎といった170cm付近の捕手が席巻する現代NPBの捕手としてはかなり大柄な体格である。
また、その割に足はそこまで遅くなく、守備時にも小回りが効きフィジカルが強い。

打撃及びメカニクス

スタンスはオーソドックスなスタイルで、スイングスピードがかなり速く、肩甲骨の入れ替えが高速。
一年目に比べアッパースイングがレベルスイング気味になりフライ率は平凡になっている一方、対応力が上がり高めや内角などスイートスポットが広がっており柳田悠岐との自主トレは順調といえる。

基本的に好きなスイングをできる所以外は見送るタイプであり、二軍では四球率高めの三振率低め。

将来のグレード:60

パワー

年齢一歳違い、同じ左バッターで柳田と自主トレを共にする佐藤輝明と比較すると、フィジカル面やフライ率、パワーに対するスケールはやや落ちるものの、飛んだ時の飛距離が飛ぶタイプであり、高いパワーグレードを抑えて、コンタクト力に振っている印象を受ける。

将来のグレード:60

走塁

捕手としては遅くない、といった程度で岡島豪郎のように外野にコンバートできるほどの脚力はない。また、今後捕手or一塁手のスラッガーとして大成していく上で脚力は犠牲にしなければならないかもしれない。

将来のグレード:40

守備・肩

同チームの太田光・炭谷銀仁朗と比較して特別落ちるわけではなく、パ・リーグトップクラスのアームを誇る太田と比較しても送球精度は遜色ない。今でもスタメンとして十分耐えうるレベルであり、現在のNPBのフレーミング・ブロッキングであれば今後伸びていくことは十分考えられる。

将来のグレード:55

総合評価

大型捕手として評価が高く、捕手として成長できればWARのシーリングはかなり高めと言える。しかし、今シーズンの傾向にも見える通り3年違いの先輩に太田光が高スタッツで君臨しており、捕手としての出場機会が一番の懸念材料と言えそう。

打撃の成長度合いの他、森友哉のように捕手として使われ続けるか、頓宮のようにコンバートされるかでグレードが変わる選手と言える。

フロア評価:45(一定の出場機会を得る二番手捕手)
シーリング評価:70(侍JAPANスタメンレベルのスラッガー捕手)

2位 羽田慎之介 西武 SP 左投左打 191cm/84kg 19歳

2023成績
二軍成績 防御率2.15 1勝2敗

体格及びメカニクス

191cmと高卒左腕としては最大級のフレームを誇る。
同程度の身長の山下舜平太が98kgと考えると、剛球タイプとしては並程度のバルクと言える。

メカニクスは先述した齋藤、井上、福島と比べるとかなりダイナミックなアームの使い方をしており、アングルはフレームの割にやや低く、正統派ランディ・ジョンソン二世と言った風貌である。

リリース時に首を振る癖があるなど、荒削りさは否めない

速球

平均148.5キロ、最速157キロと若手左腕ではダントツの出力を誇る。
球筋はやや癖球で少し動いている。

球質は特別良くはないものの、圧倒的な出力と、コマンドは決して良いとは言えないものの弓削など、高身長左腕にありがちなジャンクボール(ゾーンにかすりもしないボール球)があまり見られず、破綻はしていない。

体格等を考えてもこれから更に出力を伸ばす可能性を秘めていると言える。

将来のグレード:70〜80

変化球

羽田にとって四球を増やしてしまっている最大の要因が空振りを取れない変化球である。スライダー、カット、スプリットを投げるがいずれもピッチバリューはマイナス。変化球で最も投げるのはスライダーだが、あまり変化が鋭くなく、アームアングルを考えてもこの球種を徹底的に磨いていく必要がありそうである。スプリットは落ちはそこそこあるものの再現性がなく、こちらも精度は低めとなっている。

将来のグレード:45〜50

総合評価

出力面のシーリングがかなりハイレベルだが、デリバリー次第ではリリーフに収まってしまいそうでもあり、西武ライオンズの育成力が問われる投手という印象。

平井や今井、平良や増田といったスライダー中心の投手の育成には長けている印象があるので、西武の手腕にも期待したいところである。

菊池雄星ほどの前評価ではないものの、出力は既に菊池に並ぶレベルなのでそれに続くような活躍を見せたい。

フロア評価:45(一軍ビハインド・ロングリリーフ)
シーリング評価:70(侍JAPANの先発左腕)

1位 ブライト健太 中日 OF 右投右打 184cm/88kg 24歳

一軍成績.241 0HR OPS.633
二軍成績.309 7HR OPS.886

体格

初年度のオープン戦ではかなり細身の印象を受けたが、二年目になり確実にバルクアップしており、下半身を中心に中日の中では厚みのある印象を受ける。
身長184cm体重88kgは、プロ野球選手のOFとしては走れつつ長打を担保できるラインとして理想的なフレームと言える。

打撃及びメカニクス

一軍wRC+111、二軍wRC+170を記録するなど超高スタッツを誇る一方、かなりヒッチの成分が強く独特なメカニクスを持つ。
ヒッチ成分が強くバットの入射角が下から入るためフライ率は二軍53.2%、一軍46.2%とかなり高めな一方、高速球に対して振り負ける懸念があるためバランスを取っていきたい。

将来のグレード:60

パワー
元々のフィジカルもあるが、先述した通りコンタクトした際の入射角が良いため、良い軌道で打球が飛ぶ。某ゲームで言うところのアーチストタイプである。一方、この打撃のメカニクスがバンテリンドームでどう活きるかは判断が難しく、Raw Powerをもっと高める必要があるかもしれないが、外野守備のアジリティとのバランスが難しい。

将来のグレード:55

走塁

ファームでのUBR5.1を記録するなど、走力に全く問題はない。
今後のバルクアップによって落ちる可能性はあるだろう。

将来のグレード:55

守備走塁

CFとしてはややレンジが弱いもののRFとして二軍でUZR/1000 19.1 、LFとして一軍で13.4記録するなど両翼としては問題なく、アームも並以上にある。

RFとして万波と比べるとアームは圧倒的に万波だが、アジリティではブライトに分があると言える。

将来のグレード:60

総合評価

ヒッチの強さや両翼守備の堅実さ、パワースケール等を考慮すると同球団にかつて所属した平田良介にタイプが酷似しており、平田が2018年に記録したWAR5.9を超えるのが当面の目標になってくるのではないだろうか。

既に一軍成績を見てもハイフロアを担保されており、デプスを考えてもポジションも確保しやすい状況にあるため、今回のランキングでは最も活躍しやすい状況にあるのも高評価ポイントの一つとさせて頂いた。

フロア評価:50(一軍レギュラー外野手)
シーリング評価:60〜70(侍JAPANのスタメン右翼手)

まとめ

いかがでしたでしょうか?思ったより時間がかかりましたが、12球団で7選手のレビューを作成させて頂きました。
他にも広島・斎藤優太や阪神・中川勇斗など素晴らしい若手をたくさん発掘したので順位付けするのはとても難しさを感じました。

特に日本ハム・福島など他球団ファンの情報網がなければなかなかプロスペクトを知れなかったと思いますので、これからも引き続きどんどん情報収集をして行きたいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

データ引用元:
https://1point02.jp/


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