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あと1cm、あと3cm、あと5cm〜ファッションとサイズのお話〜

【2023年3月9日】

数多くのコンプレックスと向き合ってきた。背はそこまで高くないのだけど、全体が割とがっしりしているせいであんまり服が入らないのだ!!!!!

人より「ほんの少し」大きく生まれ育ったので、服には人並みに苦労をしてきた。親からの「後ちょっとだけ小さく生まれてくれたら」という言葉を思い出す。自分で服を探す前(幼少期)は母が探してくれたが「ない、サイズが全然ない」と毎回軽い絶望を抱かせてきた。小学校の卒業式で着る服もたくさん探して「今日も1着も見つからなかったね」とほんのり困惑させてきた。

小学校の時も中学校の時も高校生の時も指定のものは大体うまく入らなかった。上履きもみんなと違う色で、ちょっとだけ高価だった。下着のアンダーも大きくて、正直、なかなかサイズが見つからない。全然ない。あとちょっとなんだ。

もう少しだけでいい
あと少しだけでいい

もう少しだけ既成の服や靴や下着が大きくなって欲しい
あと1cm、あと3cm、あと5cmでいいんだ…

アパレルに入ってからは「やっぱり私はちょっぴり大きかったんだな👀!!!」とやっと気がついた。それに気が付けただけで、かなりほっとした。やっぱり、見つからないのは、間違ってなかったんだ!市場にあんまりなかったんだ!!

大体がつんつるてんだ。そして私が入らなかったお洋服のほとんどは、お客様がスルッとお召しになっていく。そのスルッとを見ているとかなり気分が良くなった。

その洋服は喉から手が出るほど欲しかったあと1cm、あと3cm、あと5cm分だけ細身なことで「服をいい感じに着られる人」が増えるのだ!

「花さき山」の主人公のように、自分が入らなかった分だけその服がきれいに咲くこともあるんだな〜〜〜ってかなり嬉しい気持ちになった🌼

この花は ふもとの 村の にんげんが、やさしいことを ひとつすると ひとつ さく

絵本「花さき山」より

服が入らないことが決して「やさしさ」な訳ではないし、自己犠牲っぽく聞こえたら全く本意ではないのですが、私はファッションスタイリストなので「私が合わない服を誰かが楽しく着てくれたら」本当に本当に本当に嬉しいと思っている👗

そして、私は販売経験が長いのでよーーーーく分かるのですが、「既成服のサイズが合う方」って本当に少ない。ブカブカで折り返して着ていたり、肩が落ちてしまったり、ゆるゆる、ぱんぱん、短い長い、どこかしらが、合わない。お直しも当たり前。裾を切るのも袖を切るのも、アパレル販売員にとっては日常だった。ピタッと着られる人の方が全然少ない。

「細くていいね」「背が高くていいね」「バストがあっていいね」と言われることがある方も「服がぜんぜん合わない」を経験していらっしゃる方がかなり多い。(プロのモデルさんでも袖丈や着丈が足りない、ウエストサイズが大きいなどなど「着られる服が少ない」と、とてもよくお伺いします。)

もちろん服のサイズって身長や体重だけではなく身体つきによって全然合うものが違ってくる訳ですが、服ってほとんどが既成なので、合わない服の方が多くて当然のことなんだよなぁと思います。

アーサー王伝説のように、その剣を抜ける人って本当に少ない。
だからこそ、抜ける剣があったら「これが私の聖剣エクスカリバーだ!!!」と思って良いし、違ったら「ということは、どこかで綺麗な花が咲くんだろうな☺️!!!」と信じていいのだ🌸

メーカーはもっと「大きい服、小さい服作って欲しい!」というのも、本当に本当に本当にその通りですが、在庫過多で倒産してしまうので苦渋の決断でサイズ展開を諦めているところが多いです。(Mサイズだけとか36と38だけの展開のブランドは、それ以上サイズ展開を増やすと経営が詰んでしまうのです。)

有名になると、資本ができると、会社が大きくなると、それだけサイズ展開が増えます。だから売れることや、利益が出ることはイレギュラーサイズの人にまで素敵なお洋服が行き渡るためには大切なんです。安いものだけが正義ではない。ちゃんと利益が出て、ちゃんとモノ作りを続けられて、ちゃんとサイズ展開ができるまでには果てしない道のりです。(好きなブランドがあったら「どうか、どうか人気になってくれ〜〜〜〜」と願うことにしています。)

ちなみに大体の服が綺麗に着られる方は「大体着られるから、もはや何を選んでいいのか分からない」というのも聞きます。これも贅沢な悩みに聞こえるようで実は結構深刻です。本当に人の悩みはそれぞれです。(それぞれの悩みを「恵まれているね」で片付けることは、しないようにしてしていきたいものです、みんなそれぞれ本当に本当に大変なのだから…!!!)

私はなんとなく自分の身体のことだけでなく、何万人もの女性と話し続けたことで「こんなにみんなが違うのだから、(逆に)私もそんなに思い詰めて悩まないでいいんだなぁ💡」と実感しています。

春服を探すタイミングになり「あきやさん、サイズが合う服が一枚も見つかりません。絶望です。」というお悩みもよく聞きます。(もしかしたら信じられない方もいらっしゃるかもしれませんが、本当にちょびっとの差でお洋服がたったの一枚も見つからない人がそれはもうたくさんいるのです。)もうね、心が切なくなってしまうけれど、大丈夫です。隣の庭はキラキラに見えちゃうけれど、わざわざそれを書かないだけで、みんな抱えているものが違うだけです。

服や靴がうまく見つからないよという方は、指輪でもいい、バッグでもいい、お財布でもいい靴下でも香水でもハンカチでもいい。自分の大好きな花を、一輪だけ、心に咲かせてあげて欲しいです。とても気に入っているハンカチが一枚見つかったら、それは紛れもない、あなただけの“ファッション”です。

どうかそれぞれの良き春を過ごしましょう🌸

〜おしまい〜

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イェイイェイ!! イツモアリガトウ!! ミンナダイスキ!!!