見出し画像

名将と北九州の5年間

ギラヴァンツ北九州のスポーツダイレクター(SD)であり、今シーズン途中からは監督も務めていた小林伸二さんの退任が発表されました。

まだシーズン途中ですが、すでに最下位が確定していること、そして今週末にホーム最終戦が控えていることからこのタイミングでの発表となったのでしょう。
ただ、場合によってはJFL2位との入れ替え戦もあるかもしれないので、もしそうなった場合に今回の発表がチームの士気にどういう影響を及ぼすのか?が気になります。

今シーズンの結果からすると退任もじゅうぶんありえるとは思っていましたが、いざ発表されると寂しさや残念な気持ちが募ります。

思いがけない着任と、飛躍の2年間

伸二さんは2019年から北九州に着任しました。
その前年はJ3で最下位に沈み(まさかまた最下位になるシーズンが来るとは思いもしませんでしたが)、クラブ内部もガタガタで監督になってくれる人がいるのだろうかと心配するほどでしたが、そこにやって来たのが伸二さんというビッグネームだったので非常に驚きました。

また、監督だけではなくSDも兼任するとのことだったので、強化や育成にも伸二さんの知見が反映されて、クラブの基盤づくりに繋がるのではという期待もありました。
ちなみに、兼任は伸二さん自身の意向だったようです。

そして迎えた2019年のシーズン、伸二さんはトレーニングで選手たちを鍛えつつ、途中で効果的な補強を行うなど監督としてもSDとしても見事な手腕を見せて、チームはJ2へと昇格。
翌2020年も、コロナ禍に見舞われながらもチームは前年以上にアグレッシブな姿勢を見せて、一時はJ2の首位に立つなど躍進しました。
この時期はまだ応援が解禁されておらず、私もゴール裏ではなくメインスタンド上層でじっくり試合を見ることが多かったのですが、攻撃時に独特なポジション取りで主導権を握りながら攻めていくのは見ていて頼もしかったです。

波に抗えず、苦闘の3年間

ただ、やがて相手に研究されるようになると通用しなくなり、2020年シーズン後半は失速して終了。
そしてオフには主力選手の大半が移籍してしまい、チームの作り直しを余儀なくされた2021年は前年のような輝きは見られず下位に低迷したままJ3に降格してしまいます。
選手に出ていかれてしまうのはスモールクラブの宿命ではありますが、せめてもう数人でも残ってくれていれば、戦い方を模索しながらJ2にしがみついていくこともできたのではという気がします。
ここからは毎年のように選手が入れ替わり、伸二さんも編成する立場としてかなり苦しかったのではないでしょうか。

また、伸二さんは2021年をもって監督を退任し、SDに専念することになったのですが、その後を務めた天野さんと田坂さんが揃って結果を残せずJ3でも下位に低迷。
信頼の厚かった2人が結果を残せなかったのは伸二さんにとってもおそらく予想外で、最終的には責任を取るような形で自身が監督に復帰することになりました。
もしかしたら、監督に復帰した時点で今回の退任もある程度決めていたのかもしれません。

本当に集大成となってしまうのか?

伸二さんは北九州での仕事に着任するにあたり、「自身の集大成」という言葉をよく口にしていました。
キャリアの最後に、という意味合いだったと思いますが、その仕事は思うような形で終えられたのでしょうか?
ご本人の思いはまだわかりませんが、残念な形で終わってしまったというのは少なからずあるのではと察します。
また、伸二さん自身は今後のキャリアをどう考えているのか?
ここで一線から退いてしまうのか、あるいはまだ続けようという気持ちなのか。
伸二さんは現場が好きということを常々口にされていますし、オファーを出すクラブもきっとあるはずです。

そんなことを考えながら、まだシーズンは残っていますので、まずは北九州での伸二さんの勇姿を見届けることに専念したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?