きみもPになれる、かもしれない(今度こそ)


【毎週火曜更新・時間堂、年商1億プロジェクト21】時間堂プロデューサー大森晴香です、ごきげんよう。日付変わって明日12日(金)は時間堂レパートリーシアターin横浜の初日です。13日(土)は千秋楽です。一瞬だ。お見逃しなく。『人の気も知らないで』(作:横山拓也/脚色:黒澤世莉)と『ヂアロオグ・プランタニエ』(作:岸田國士)の豪華二本立てだよ。そして女優祭だよ。個人的には、とっても一生懸命英語字幕を作ったので(註:翻訳はやってません。あくまで字幕加工。)、ぜひ実物を観にきてねぎらってほしい。ふだん、東京の北のはずれで活動している我々、びっくりするくらい横浜にお友達がいないみたいです。ぐすん。作品のおもしろさは保証するよ。予約はこちらから

さて。

前回の記事は看板を偽ってましたが今度こそ。ほんとに書くぞう。

プロデューサーって、制作って、なにやるひと?どんな仕事なの?って質問を幾度となく受けてきまして、そんなん一言で言えるかよと毒づきつつ、

企業でいうと、経営企画と商品企画と総務人事と経理と営業と広報とお客様サービスセンターと調達部門と物流を合わせた感じかなぁ。端的にいうと、製造以外全部やるよね。あ、グッズもやってると製造もあるねー。

…てなことでイメージ湧きますかね。なんかまだ抜けてる気がしますけど。ちなみにみんながみんな、全部やってるわけではなくて、たとえば私は時間堂以外の団体では、部分的に請け負う場合がほとんど。企業がコールセンターをアウトソーシングするように、チケットコントロールだけとか、劇場入り以降の業務だけとか、会議進行だけとかとか。まるっと請けることはきわめて稀。

そして私は制作を本業にして5年、時間堂に入って4年、バイト辞めて専業になって1年半です。その間、ずーーーーっと「制作は人材不足」と言われ続けていて、専属の制作がいないカンパニーも全然珍しくない。そしてよく辞める。続かない。かくいう私も心身ともに疲れはてて4ヶ月お休みした経験者です。幸い、帰る場所がちゃんとあったので戻って来られましたけど、たぶんこれって超レアケース。

単純に仕事が多いだけじゃなくて、孤軍奮闘になりがちなことがでっかい問題なんじゃないかと私は思う。クリエーターたちがどんなに協力的であっても、みんなが創作に勤しんでる間は頼ることは難しい。忙しさのピークがほかの部署とずれる、圧倒的に共有する時間が短い、興業を左右する決断が連続する…などなど。でも、これだけが問題ではない。

もうひとつの大きな問題は、学びの場が少ないこと。企業組織みたいなOJTやOff-JTがなくて、ほかの技術系スタッフみたいに師匠に弟子入りってのも少なくて、自らやりかたを開拓せねばならない(よほど大きな団体や、制作会社だったら別ですよ)。

知識習得には制作者向けのセミナーがあります。でも制作講座を受けたらパーフェクトかってそんなことも残念ながら無い。講座に問題があるわけではなくて、当たり前だけど、すべての現場は生だから。どんなにたくさん研修を受けたとしても、仕事のちからは仕事を通してじゃないと身につかないんだよ。

で、多くの制作者はどうやってるかと言うと、

ほかの公演現場に行って技を分かち合う

つまり、体系化も整合性もへったくれもなく、「そのやりかた、いいね!」をつなぎあわせて独自の制作ノウハウを積み上げていく。臨機応変の嵐。でもそのぶん、経験の宝庫。

が。

たとえこのやりかたで積んだ経験をすべて自分にカスタマイズする能力があったとしても、決定的な盲点がある。それは、細切れの現場ノウハウしか身につかないこと。つまり、

企画製作力

が手に入らない。なぜなら、大概呼ばれるのって公演会場でのお仕事だから。受付や場内誘導のスキルはどんどんアップするし、お弁当屋さんに詳しくなることはあっても、企画製作はもうクライマックスもいいところな段階です。そして、この能力不足に絶望して心を病んだり、がむしゃらにやって疲れはてて身体を壊したり、そういう理由で多くの制作者が去っていくんじゃないかと思う。

講座だけでも足りない。
現場を渡り歩くだけでも足りない。
じゃぁどうしたらいいのさ。

いまのところ私が持ってる仮説は2つ。

①自分の企画製作現場に、企画段階から先輩制作者をまきこむ

②先輩制作者の現場にできるだけ早い段階から助手で入る

これ、実は私みたいな中堅制作にとってもメリットが大きい(もはや自分を若手というのも憚られる歳になってしまったなぁ、しみじみ)。前者は自分の仕事の棚卸になるし、実務ではなく経験知が収入になるのはありがたいこと。後者は猫の手も借りたい、分身したい、忙しさに心を亡くしがちな制作者にとって、猫の手よりもずーっと役に立つアシスタントが獲得できる。ひとりでできることの限界を感じているなら、言葉は悪いかもしれないけど「ひとを通じて成果を上げる」フェーズにステップアップする必要がある。

ただし、いずれにしても、架空の公演についてケーススタディするみたいな「学校」ではなくて、実際の興業を、実際のお客様を相手にやることがポイントだと思う。そうじゃないと経験できないことがほんとうにたくさんあるからだ。くどいけど、各種セミナーが無価値だとはまったく思ってないです。でも、実践で活かして成果をあげるためのセミナーですから、実践しなくっちゃね、という話ね。

で、ながながつらつら書いてきたんですけど、ここらで本音。

①も②も、私は全身全霊でウェルカムだよ!!!



なんだ、宣伝かと思ったあなた。宣伝ですよ。せいかい。すでにいくつかの劇団に①はやっていて、自分で言うのもなんですけど、私、他人の現場だとめっちゃ冷静なのでハイパフォーマーだと思います。いずれ私がいなくなることを念頭において仕事するので、ノウハウが団体に残ります。タダじゃないけど、実務を敢えて手放すことで、私をまるまる主幹制作で雇うよりはお手頃です。予算規模とか団体の制作レベルによってお値段はまちまちだけどね、実務で拘束するよりは3分の1とかで済むよね、うん。

そんで今までは①が自分としては得意だし、需要もあるし、貢献もできるしいいなぁって思ってたんですが、最近は切実に②がやりたいっす。私が制作を仕事にできるようになったのは、制作1年生の頃に出会った先輩たちがいろんな現場に呼んでくれて、とにかくたくさんの現場に関われたからだと思います。そして時間堂に出会えたことも幸運でした。私が入った時にはすでに豊富な公演実績があった。制作はいなかったけど、プロデュース脳を持っていたり、いろんな現場を知っているひとがたくさんいた。すべて独学、ではなかった。これってとても稀有。

時間堂も私もやってることがあふれてきているのは事実で、のどから手が出るほど助手がほしいよという本音もあります。

時間堂の制作になりたい!ってのもウェルカムだけど、時間堂の公演をまるっと1本経験したい!ってひと、いないかなぁ。

お金を出しても買えない経験がいっぱいできることは保証します。この現場でギャラが出るかはあなたしだいです。本来なら、私のノウハウも時間堂の経験値もそれなりに価値あるものと自負しているので、場合によっては授業料をいただきたいくらいかもしれない。でも、学校じゃないし、私もたくさんの先輩からただで教えてもらってきたし、まだまだ先生になれるほどのちからはないのでさすがにそれはしないですけどね。

…ちょっと強気なこと書いてるなぁ。興味関心を持ってしまった物好きなあなたは、公式でも非公式でも私にどうにかしてご連絡ください。いっぺん会ってお互いの目標とニーズを話し合いましょう。

*****

余談。私が時間堂に出会えてラッキーだったと思う最大の理由は、ここが作る演劇が好き、と言い切れること。作品がおもしろくなることに不安がないって最強ですよ。臆面なくひとにお勧めできるって、当然であってほしいのだけど、そうもいかない現場は結構あります。台本が超遅いとか。俳優がセリフ覚えてこないとか。時間堂なら、ハイクオリティな演劇を保証できる。

てなわけで。横浜で会いましょう。この記事の最初にもどる↑↑↑

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