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11/17 ニュースなスペイン語 Es una equivocación:何かの間違い

ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)が16日に行われた投票で、首相(Presidente del Gobierno)に選出された(ha sido investido)。

7月23日に総選挙(elecciones generales)が実施されてから、約4ヶ月経って、ようやく、正式な内閣が発足する。

票の内訳は以下に見るように、11日の小欄でも紹介した予想と寸分違わない結果となった(ので、特段のサプライズはない)。

念のため、確認しておくと……

スペイン社会労働党(PSOE)→121票
スマール連合(Sumar)→31票
共和主義左翼 (ERC)→7票
ジュンツ(Junts)→7票
ビルドゥ(Bildu)→5票
バスク民族主義党(PNV)→5票
ガリシア民族主義ブロック(BNG)→1票
カナリア連合(CCA)→1票

過半数である176を3つ上回る、まぁ、幾分かの余裕がある(holgada)投票結果。

2011年に国民党(PP)のマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)が首相に就任した時は賛成票(a favor)が187票で、ぶっちぎりの過半数超えだったというが、これ以降、首相選出のための投票で、過半数を上回ることはなかったらしい。

思い起こせば、国民党党首のアルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)は1回目の投票では過半数に届かず、そして、2回目でも賛成票は反対票(en contra)を上回ることはなく、多数決(mayoría simple)でも首相の座を仕留めることはできず、惨敗だった。

フェイホの時よりは、従って、支持の基盤をうまく整備できたサンチェスだが、かと言って、これからの政権運営は安泰からは程遠い。

投票結果を受け、フェイホはサンチェスに握手をしに出向き、タイトルのように「これは何かの間違いだ(Esto es una equivocación)」と伝えたことを記者団に語った。

まぁ、野党(oposición)のトップとしては、当然のことながら、祝福の言葉なんかかける訳もない。

しかし、今回、支持票を投じた身内からも、「白地の小切手(cheque en blanco)」をサンチェスに渡した訳ではないと、ニュアンスの差はあれ一様に警告(con mayor o menor tono de amenaza)している。

白地の小切手、つまり、もらった人が欲しい金額を自由に書けるが如く、サンチェスに好き勝手はやらせないということ。

カタルーニャ州の独立派の2党、共和主義左翼とジュンツは、カタルーニャ自決のための住民投票を実施するという姿勢は崩しておらず(mantienen su propuesta de celebración de un referéndum de autodeterminación en Cataluña)、共和主義はサンチェスに「我々を裏切るな、他の選択肢はない(no se la juegue, no tiene alternativa)」と伝えたという。

怖っ…。

サンチェスとしては、自らの就任は法に則ったもの(legitimidad de su investidura)であること、そして、自らの政府も合法で、民主的、そして憲法にも則っている(un gobierno legítimo, democrático y constitucional) ことを強調。

加えて、国民党に「敗北を認めよ(admitir su derrota)」と迫った。

連立(coalición)を組むことになるパートナーとの関係も悩ましい。

これまで、連立を組んできたポデモス(Podemos)は今回、スマール連合に吸収された形。

そのため、今後はスマールが社会労働党の連立パートナーとなる。

ポデモスはこれまで占めてきた大臣職をいくつか残留させるようにサンチェスに要求しているというが……。

スマールの代表(líder)であり、副大臣(vicepresidenta)に留まる残留する見込みが濃厚のヨランダ・ディアス(Yolanda Díaz)はポデモスを引き合いに出し、「あの人たちが悔しがる程、我々の喜びが増す(Frente a su odio, nuestra alegría)」と述べ、ポデモスの要職がヒョイと取り上げられて、スマールに割当てられるのでないかとの期待をにじませた。

こんな具合に、早速、不協和音が鳴り始めた身内の調整は頭痛のタネのひとつ。

しかし、恩赦法(ley de amnistía)を巡って、社会労働党のマドリード本部前で抗議活動が続行中とあれば、こちらの火消しも大変。

前途多難(camino difícil)の船出となることは間違いない。

写真はサンチェスとその再任にわく議場。

日本はこういう時、当選者は拍手をせず、頭を下げることが多いかな。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20231116/pedro-sanchez-investido-presidente-gobierno-cronica/2461032.shtml