5/16 ニュースなスペイン語 Japón ¿Es país para viejos?：日本は老人のための国家なのか？
これは、スペイン国営放送（RTVE）で、15日23時25分（現地時間）に放送された番組のタイトルである。
この特番についての記事も同時に配信されていて、そこには、次のようにある：
老人たちは刑務所に行くために店で小さな盗みを働き、そうすることで、少なくとも、刑期が続く間、家と食事と医療が補償され・・・、そして、孤独を感じずに済む（Cometen pequeños robos en tiendas para conseguir ir a la cárcel y así asegurarse, al menos durante el tiempo que dura la condena, un techo, comida, atención medica... y no estar solos）。
記事では71歳の高齢受刑者（presa）の事が紹介されている。
この女性はインタビューの中で、子守唄（nanas）を歌った後、沈黙し（Luego guarda silencio）、首をうなだれ（baja la cabeza）、そして泣いた（llora）、とある。
女性の２人の息子たちは50歳を超え、仕事や家庭の事で（están llenos de obligaciones laborales y familiares propias）、ほとんど、母親には会いに行けていない（apenas pueden ver a su madre）。
夫を亡くした後（cuando se quedó viuda）、女性は途方に暮れたそうだ（se sintió perdida）。
頭によぎるのは自殺の事ばかり（Solo le rondaba la idea del suicidio）。
そんな絶望（desesperación）の真っただ中、女性は刑務所に行きさえすれば、誰かがそばにいてくれるかも（al menos en la cárcel, estaría acompañada）と思うようになったという。
そして、何軒かの店で、収監されるまで、盗み繰り返した（Entonces robó en varias tiendas hasta que consiguió que la metieran en prisión）。
そして、今、やっと刑務所が女性の日々の命を守ってくれている（La cárcel ahora le salva la vida día a día）とある。
このエピソードに続き、日本は最も高齢化の進んだ国である（Japón es el país más envejecido del mundo）とあり、10人にひとりが80歳以上であること、ここ数年の平均寿命（la esperanza de vida durante los últimos años）が、女性は87歳、男性が81歳であることなどが示される。
日本は今、現役を退職した人たちに見合うだけの年金を支払うための十分な資金がない（Ahora en el país nipón no hay suficiente dinero para pagar pensiones dignas a los jubilados）。
だから、老人たちは生き延びるためには、副収入を得なければならない（Para sobrevivir necesitan un ingreso complementario）。
そのため、多くの高齢者たちは75歳、80歳、90歳になっても、働き続けるという選択肢を選ぶのだ（por eso muchos mayores optan por seguir trabajando hasta los 75, 80 o incluso hasta los 90 años）と書いてある。
つらい・・・。
生涯学習での講座を受け持つ小生の周りには、物忘れや身体の不調に愚痴を言いながらも、老後を第二、第三の青春として、おう歌している方たちが多いので、つい、記事で紹介されているような孤独な老人がいることを忘れてしまっている。
これまで、高齢者大国も悪くないな、などの思っていたが、これは、まだ世の中を知らない若僧の見方だということに気づかされた。
しかも、スペインのメディアによって……。
何重にも寡聞を反省しないと。
写真は番組の一部。
腰の曲がった女性が歩行器を使い、刑務官に付き添われて、歩いている姿が衝撃的。
インタビューでは日本語にスペイン語がかぶって入っている。