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2/3 ニュースなスペイン語 Verde:みどり

Verdeは「みどり(の)」が基本的な意味だが、実はいろいろなニュアンスを含む語である。

ひとつは、dar luz verde a... などという構文でよく使われるが、これは「…にゴーサインを出す」という意味。直訳は「…にみどりの光を与える」なので、日本語の「青(信号)」のイメージ。

もうひとつは、「スケベ爺さん(viejo verde)」などで使われるverde。verdeには「未熟な、若い」という意味もあるので、年を取っていながら、まだ、衰えていない≒好色、という発想。日本語では、ん〜、「ピンク」のイメージか。

そして、今、マスコミでよく見聞きするのた、lista verdeのような使われ方だ。「みどりのリスト」とは何ぞや?こちらは、「環境に優しい」のニュアンス。日本語でも、英語を使って「グリーンエネルギー」のような使い方をする。自然を愛することを「みどりを愛でる」などとも言うから、まぁ、この点では一致してる(でも、「みどりのエネルギー」とは言わないか…)。

欧州委員会(Comisión Europea)は、2030年までに、1990年と比べて55%、温室効果ガスの排出(emisión)を削減し、2050年までに0にするという目標を掲げている。そのために、「taxinomía verde」なる基準を設けた。直訳すれば、「みどりの分類法」ということになるが、どういう経済活動やどのようなエネルギーが二酸化炭素を削減し、また、逆に、二酸化炭素を排出するのかなどを定めた分類表を指す。そして、投資家(inversor)たちを巻き込んで、削減目標を達成できるような企業に投資をするよう働きかけるというのである。

「みどりの分類法」は昨年の7月に発効した。当初、風力(eólica)、太陽光発電(solar fotovoltaica)、水力発電(hidroeléctrica)、バイオガス(biogás)、グリーン水素(hidrógeno verde)などの、再生可能(renovable)なエネルギーを取り入れていた。

しかし、だ。

水曜日に正式に発出された文書で「持続可能(sostenible)なエネルギーのリスト(=lista verde)」に、原子力エネルギー(energía nuclear)と天然ガス(gas natural)が新たに分類され、スペインでは波紋を呼んでいる。

① 原子力エネルギーについて
◇ 持続可能ではあるが、原子力発電所(centro nuclear)の設置のためのスピードとコストがかかり過ぎる。
◇ いわゆる「核のゴミ(residuos radioactivos)」を適切に処理できる施設がなければならず、しかも、2045年までに発電所を完成させておかなければならない。
◇ フランスの原子力発電所は、完成までに14年かかったそうで、これは想定期間(tiempo previsto)の3倍、そして、運営費や建設費は約4倍かかっている。

② 天然ガスについて
◇ ポーランドなどでは、二酸化炭素の排出量を3分1に抑えることができるなどの効果がある。
◇ しかし、天然ガスと言っても、これは、化石燃料(combustible fósil)の一種なので、そもそも、欧州連合が自己矛盾を起こしている。

こうした理由で、スペインの専門家(や投資家)たちは、欧州委員会の決定に懐疑的ないし否定的だ。

この問題は今後、いろいろなところに影響を与えそうだ。順次報告してゆきたい。

写真には「lavado verde」とある。これは英語の「Greenwashing」を逐語訳したもの。日本語では「みどり洗顔」ではなく、そのまま「グリーンウォッシング」と言う。挿絵が示すように、本当は環境に悪いことをしているにもかかわらず、うわべだけ「みどり」にする手口、つまり、エコな企業活動をしているかのように装う手口のこと。今後、投資家たちの目を引くために、こうした企業が増えるだろうから、気を付けよう。