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4/15 ニュースなスペイン語 Crisis de la mejilla:稚貝抗争

西和辞書は、通常、mejillaに対して「頬」という語義しか与えていない。

しかし、ここでは「頬」だと意味が通らない。

どうやら、mejillaには、ムール貝(mejillón)の稚貝(cría;semilla)という意味もあるみたい。

もっとも、権威あるスペイン王立アカデミー(RAE)の辞書にも、稚貝という意味は出てこないところから察するに、貝養殖業者(cultivadores;bateeiros)など、限られた人たちの間で使われている、業界用語の類かもしれない。

さてさて…

ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラで、ムール貝の養殖業者らとカメノテ(percebe)の養殖業者ら(percebeiros)との対立が激化している。

ムール貝とカメノテは、共に、サンティアゴ・デ・コンポステーラの名物。同地を訪れれば一回は口や目にする。

このふたつの業者間対立は数十年前からあるみたい(se remonta a décadas atrás)。

しかも、治安部隊の介入(intervención de las fuerzas de seguridad)も少なからずあった(no han sido pocas las veces) というから、筋金入りのライバル対決。

今回の衝突の発端は、 ガリシア州政府(Xunta)が、ムール貝の稚貝を取る場所(zonas de extracción de mejilla)の次期解禁(últimas aperturas)を無効(anulación)にしたため。

これに怒ったのは、もちろん、ムール貝業者。

ところが、この無効決定が、単なる手続き上の技術的ミス(un error técnico en la tramitación)だったとし、近い内に、稚貝場を再開するだろう(puedan reabrirse en próximas mareas)とも政府が述べたことから、今度は、カメノテ業者が面白くない。

そんなわけで、それぞれの業者は木曜日、州政府の担当者の辞任(dimisión de los representantes autonómicos)を求め、警察の関連施設(las instalaciones de la Policía Naciona)の前に集結(se concentraron)。

ここまでは、まぁ、分かる。

でも、なぜ、その怒りの矛先が、それぞれの相手の業者に向くのかなぁ。

結局、逮捕者1名(una persona detenida) と負傷者1名(otra herida)を出す羽目に。

抗争は誰も得をしない。

どうやら、対立激化の起爆剤(detonante)となったのが、2019年に州政府が海洋資源の開発計画(planes de explotación marisquera)を定めた法令にあるらしい。

この法令は、カメノテ保護特区なるものを定め(marca zonas de exclusión para proteger el percebe)、カメノテの保存とムール貝漁の均衡を目指す( con la aspiración de buscar el equilibrio entre la supervivencia de esta especie y la extracción de mejilla)。

むむむ、つまり、法令では、カメノテ漁を規制する一方で、カメノテが増えるまでの間、ムール貝の取り過ぎにも制限をかけるということか。

写真は2019年の法令を廃案に(Non ao decreto)とガリシア語で書いたカードを手にした業者たち。

先月31日ごろの写真。

今回のような逮捕劇、暴力沙汰に発展しないにしても、抗議活動は、静かに、継続中だ。

ムール貝もカメノテも美味しいが、小生は手頃なお値段のムール貝が好き、なんて、無邪気なことは口が裂けても言えなそうだ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230413/conflicto-mejilloneros-bateeiros-marisco-santiago-policia/2438657.shtml