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5/3 ニュースなスペイン語 Punto violeta(2):パープルサポート(2)

2023年8月9日でも取り上げた話題(https://note.com/jidequin/n/nab3c274563fa)の続報。

おさらいしておくと、スミレ色は男女同権を表す色として、スペインのみならず、世界の多くの国でも、そして、日本でも、採用されている。

スミレ色は、女性の尊厳や正義を示すシンボルカラーだという。

だから、被害を受けている女性に対して、「ひとりで悩まないで」という願いが込められているらしい。

そして、タイトルの「punto violeta」は直訳すると、「スミレ色の拠点」となり、男性からの暴力(violencia machista)から逃れてきた女性たちを保護するための場として、平等省(Ministerio de Igualdad)が推し進めてきたもの。

この拠点を増やして行こうという政府与党と、そうはさせじと、これを阻止する極右政党ボックス(Vox)との攻防は、実は、冒頭の小欄でも紹介したのだが、この実り無き争いはまだ続いている。

政府委託所(Delegación de Gobierno)という、中央政府の代行組織がスペインの各自治州各地にあるのだが、この度、政府委託所をパープルサポートの拠点とする、という発表が平等省からあった。

多くの地域で、政府委託所はどこにあるか人々に認知されているので、いざという時、駆け込みやすい(en la mayoría de los territorios, las delegaciones del gobierno se conoce donde están y por lo tanto es fácil acudir a ellas)というのが、平等省の狙い。

ところで、ボックスは以前から「男性による暴力」は無いしていて、あるのは「構造的暴力(violencia estructital)」と主張する、いわゆる否定主義(negacionista)の立場を取る。

だから、平等省大臣のアナ・レドンド(Ana Redondo)はボックスこそが「真の問題(el verdadeo problema)」として、パープルサポートを政府委託所内に設置する際の取り決め(Pacto del Estado)に、恐らくボックスは含めないだろう(probablemente sin Vox)との考えを明らかにした。

そして、ボックスに比較的考えの近い国民党(PP)についても、ボックスの否定主義をロンダリングしている(está "blanqueando de alguna manera" esa política negacionista)として、警戒感をあらわにした。 

中々、決着のつかない双方の争いだが、過去最悪ペースで女性とその子どもが、男性による暴力の被害者になっていることを思えば、おのずと着地点は見えてくる気がするのだけど。

写真はパープルサポートのスローガンのひとつ。

「男性からの暴力は私たち女性が一丸となって食い止める」

とある。

出典https://www.rtve.es/noticias/20240419/igualdad-anuncia-delegaciones-gobierno-se-convertiran-puntos-violetas/16068177.shtml