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5/8 ニュースなスペイン語 Premio Nacional de Tauromaquia(2):闘牛国民栄誉賞(2)

ヒツジの世話するのにオオカミをあてがうようなもの(poner a un lobo a cuidar las ovejas)――。

上手いこと言うなぁ…

これはカスティージャ・ラ・マンチャ州知事エミリアノ・ガルシア・パへ(Emiliano García-Page(写真右))の発言。

発言の中の「ヒツジ」は闘牛(の関係者)、「オオカミ」は闘牛を手を変え品を変え制限しようとする勢力のことを指す。

具体的には、先日、闘牛国民栄誉賞(Premio Nacional de Tauromaquia)の廃止を発表した文化大臣(ministro de Cultura)エルネスト・ウルタスン(Ernest Urtasun(写真左))のことを念頭においている。

もっとも、

(ウルタスンの栄誉賞廃止には)何らかの意図を感じるものの、私は大臣の意見を尊重する。また、スペインで動物愛護の感受性が敏感になっていることも分かる。まぁ、良い、きっとその通りなのだろう(Es un gesto que tiene una intencionalidad. Respeto la opinión del ministro de Cultura y creo que va creciendo en España una sensibilidad de protección con los animales. Perfecto)

と述べ、「何か政治対立をあおろうという訳ではまったくない(ha insistido en todo caso en que no está planteando ninguna guerra política)」とした。

これは、ガルシア・パへがスペイン社会労働党(PSOE)、ウルタスンがスマール連合(Sumar)にそれぞれ属すことから、両党による現連立政権に波風が立たないようにする配慮の現れだろう。

その上で、

世間にはいろいろな意見があり、中には、闘牛がなくなれば良いという意見すらある。しかし、そうしたオオカミどもにどれだけ支持が集まろうと、オオカミは先天的にひつじの世話にはむかない(Se pueden tener todas las opiniones del mundo, se puede incluso querer que desaparezcan los toros. Pero por mucho que queramos al lobo, éste no tiene como función genética cuidar de las ovejas)

として、そもそも闘牛反対の流れをくむ人物が文化大臣を務めることに苦言を呈した。

また、ウルタスンが栄誉賞廃止の理由のひとつに「新たな社会の現実(nueva realidad social y cultural)」を挙げたことを念頭に、「一国の近代性を大臣お一人で決めようとする(se quiera apropiar del concepto de modernidad en el país)」のは、あまりにも傲慢(de una soberbia inmensa)とした。

闘牛を廃止したカタルーニャ州や制限しているガリシア州の中で、ガルシア・パへが知事を務めるカスティージャ・ラ・マンチャ州は闘牛を変わらず存続している自治州の内のひとつ。

栄誉賞廃止を受け、ラ・マンチャ州は早速独自の闘牛賞の設立(crear sus propios Premios de Tauromaquia)を決めている。

写真はウルタスン(左)とガルシア・パへのコラージュ。

ウルタスンのことを「神聖左翼(gauche divine) 」と表現するメディアがある。

触りがたき(触るとウルサイ)左派、ということか。

ガルシア・パへは、現政権を支持した有権者の内、わずか5%しか得票できなかったスマール連合には「国の近代性を云々する資格(carnés de modernidad)」は与えられておらず、「現代に即したスペイン(la España de hoy)」の姿を決めるのは、残る95%の支持を得た人々だとした。

5%風情がスペインの近代性に余計な口を出しなさんな――(なんことは、パへは言ってないが、まぁ、小生にはそう聞こえた)。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240507/page-critica-urtasun-tenga-competencias-tauromaquia-como-poner-lobo-a-cuidar-ovejas/16092572.shtml