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小学生の奢り総額が5万って、なんだよ

見るからに地味だった子が、実はお金持ちだった、という話。

例の地味グループの主要メンバーの二人は、奇妙な関係だった。
どんな関係図だったかは、そこまで親しくなかったからよくわからないけれど、そのグループのボス格だったAが、Bによく奢っていたのは知っていた。

なんで、小学生が奢るほど裕福なんだ?と思っていたけど、どうやら、Aの家はお父さんがAに激甘で、お金を自由に使わせていたらしい。

ある時、BがAの言うことを聞かなかった時、二人は仲違いした。
これが初めてというわけではなく、見ていると、ちょくちょく揉めていた二人なんだけれどね。
その直後に、なぜかそのグループに所属しないわたしが、Aと一緒に帰るという事態になった。

Aは、怒っていた。

A:「あんなに奢ってやったのに!!」

私:「いくら奢ったの?」

A:「全部で、5万くらい」

(・・・は?)

目が、点になった。

(・・・ご、ごまん・・・だ・・・と????????)

意味がわからなかった。

(小学生の奢り額が、ひとり5万って、なんだよ!)

心の中で、叫んだ。

見た感じ、清潔さもない、オシャレ感もないA。
まさか、そんなに自由になるお金を持っている、お金持ちとは思わなかった。

(想像のはるか上を行くわ!!!!!!!)

と、心の中で力いっぱい叫んだけど、口には出さなかった。

私:「返してもらえば?」

A:「アイツ、会えばすぐ、『なんか奢って、なんか奢って』って言って。
1円だって、返してきたことない!!!」

吐き捨てるように、Aは言った。

・・・・お怒りは、ごもっとも。

でも、奢ったなら、普通、返って来ないよね。
ってツッコミは、全力で飲み込んだ。

それにしても、当時の奢るって、せいぜい、お菓子か文房具。
エンコーもない時代。
5万奢るって、どんだけ親が激甘で、どんだけ奢り続けたのよ?

謎は深まるばかりだったが、謎は謎のままとなった。

そして、あんなに怒っていたのに、Aはその後も、Bとつるんでいた。

見た目も雰囲気も、ちょっと似ていた二人。
なんだかんだ言って、運命共同体だったのかなと思う。

あの二人は、たぶん地元に残ったはず。
どうなったんだろう。
あの土地を去った私は、その後二人がどうなったかは、知らない。


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