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みんなの中にある、こどもの心へ

子どものお絵描き教室を本格的にはじめて、2年くらいになる。
と言っても、少数精鋭全員個性派、不定期開催
知る人ぞ知るお絵描き教室。

お絵描き教室の風景…のはず


こんなのつまらない、とか言われても全然平気



お絵描き教室をしている時、私は、目の前の子どもの反応が全然気にならない。

あんまり話を聞いていなくても、恥ずかしくてお話できなくても、途中で遊びたくなっても、言ったことと違う作り方をしても、全然いい。そして、困ることをしたら普通に怒る。

絵に興味がないとか、こんなのつまらないとか、そんなことを言われても全然気にならない。


それは、私が寛容なのではないし
子どもが大好きってわけでもない(むしろ苦手だった)

こどもの心を信じよう、と思える経験があったから。


初めて子どもの教室をやった日、私は後悔していた


最初の生徒さんは
友人のこども、学校に行ってない女の子だった。

不登校の悩みを聞きながら
私自身もちょうど、ひとりで育児をすることに行き詰まっていて
(夫がいるけれど、関わる時間は段違い!)
「自分の子どもと他のお子さんを一緒に見れる教室をやってみたい」と思っていたので

「試しにミニ教室をやってみるから、うちに来ない?」と声をかけてみたのがはじまり。

今も仲良しのふたり


初めてうちに来てくれた時、娘ちゃんはママから離れることができなくて、私とはあまり目が合わなくて、お話もあまりできなかった。

私は必死でいろんなことを話し、伝えた。

何が描いてみたい?
こんな描き方があるよ
人を描く時はこうすると描きやすいよ

その場では「伝わった!」という感触がなくて
友人と娘ちゃんが帰った後

「これでよかったんだろうか」
「楽しかったかなあ?」
「どうしてあげるのがよかったのかなぁ」
「私は教えるのがうまくないし、教室をやるのは無理かなあ」


と諦めムードだった。

でも、帰宅した友人からのLINEで送られてきた娘ちゃんの絵を見て、驚いた!

before
after

すごい!上手になってる!!
「こうするといい感じに描けるよ」
と伝えたこと、取り入れてくれてる!

彼女が、ママにしがみつき、下を向きながら
私の言葉に小さく頷くので精一杯な中
絵が描きたくて、いろんなことを吸収していたんだと知って
ほんとうに嬉しかったし、感動した。

最初の生徒さん
唯一の弟子と思ってる「いちごちゃん」。

その日はあまりコミュニケーションが取れなかったけれど
その後も

「しゃおりさんのお絵描き教室、次はいつかな?
わたし、好きな人の教室にしか行きたくないんだ」

と、いつでも楽しみに待っていてくれた。


夏休みの教室には、ママと離れて1日一緒に過ごした。
家に帰った後は、ウキウキして、他のことのやる気までアップして
自分から新しいことをはじめてみるようになったそうだ。

みんな大好きお店屋さんごっこ

秋からは、1人で1時間半も電車に乗ってうちに通ってくれた。
いつもは明るい私の娘が教室中に大泣きしてしまった時
私は慌てて、娘を泣き止ませるのに必死だった。
彼女は何も言わず、イヤホンとスマホを取り出して、音楽を聴いて待っていてくれて、ふと間ができた時

「おうちに帰ったらビスケット食べるの。お腹すいたから」

と天然発言。笑
お菓子の時間にしたら、娘もすっかり機嫌が治って、空気が変わった。

後からお母さんに聞いたら
「今日、教室の時にしゃおりさんの娘ちゃんが泣いちゃって。
でも、何もできなかった」
と、後悔していたそうだ。

こどものこころは
大人から見えなくても
いっぱい感じて、考えて
どんどん成長している。

本当に、いちごちゃんの成長を見てきたことで、実感できたんだよ。

「こどもが苦手」と思っていた私はいつしか
「こどもとかかわるときが一番安心」とまで思えるようになっていた。

「助けて」って聞こえたんよ


大阪市西成区で「にしなり☆こども食堂」を運営している
川辺康子さんの活動を、ずっとイラストでお手伝いしている。
西成の北区は、被差別部落と呼ばれていた地域で
なかなか、しんどい生活をしている人が集まる地域でもある。

先日、はじめて西成を訪れ、食堂に通うこどもたちにお絵描きを教える機会をいただいた。

ひとり、ずーっとスマホをいじりながら
「お腹すいた、眠い、絵を描くなんてめんどくさい」

と言っている女の子がいた。

無理に絵を描いてもらう会でもないし
そのうちノったらいいな〜というくらいの気持ちで
時々声かけするくらいだったのだけど
チラリと覗いたスマホには、おそらく
スマホアプリでたくさん描いてきたデジタルイラスト。
時々サラッとスケッチブックの端に描くイラストもうまい。

…この子、絵が大好きなんだ。
絵、描いてるの見たいな〜!

何かハマるものがあったらいいな〜と
キラキラの絵の具のコーナーに連れて行って
「これ使ってみない?」と誘ってみたら
やっと、顔色がぱあっと明るくなって
「わかった」と集中モードに入った。

出来上がったアート作品

教えてもいない、マスキングテープで仕切って絵の具を塗る技法を使って
作っていた作品は、アートそのもの。
これの上に「お腹すいた」と筆で書こうとしたので
「サイン書いて、先生にちょうだい、家に飾るから」
と言って、貰ってきた。
額に入れて飾るよ。



「先生、見て!!!!」が口癖で、ちょっと目を離すと
テーブルにのぼってしまったり
ものを散らかしたりしていた女の子
「どうしてそんなことするの?」と目を見て話しても
下を向いて唇を噛み締める。

別のイベントでリフレッシュしたママが部屋に入ってきて
「すごいなぁ!」と見てくれた瞬間
別人のように集中して、みっちり30分ほど作品を作っていた。

こういうのを4ページほど…

そっか、ずっとママに見て欲しかったんだね
ママもいっぱい頑張ってる
君もいっぱい頑張ってるんだね

この日、よぎっていたのは、川辺さんが以前言っていたこの言葉

汚い言葉を使っていても
悪いことをしてしまっても
その奥にある気持ちは

「自分を見て」
「ここにいるよ」

そんなものなのだと。


どうして急に、大人にならなきゃいけないんだろう


こどものうちは、こうして寛容に見ることができることが多いよね。

でも…高校生になったら。社会人になったら。
おじさんおばさん、おじいさんおばあさんになったら。

許されないことの方が、ずっと多いんじゃないだろうか。

いじめやモラハラをしてしまう、人に攻撃してしまう
依存してしまう、迷惑をかけてしまう。
人から何かを奪ってしまう。

そのような問題までなくても

愛想が悪い、感情が分かりにくい
言葉で表現するのが苦手だ

そんなことで、お互いに嫌な思いをしたり
いい、悪いで責め合ったり
相手を思う言葉のはずが伝わらなくてぶつかり合ったり
何か理由をつけて自分を守ろうとしたり
そんなことの繰り返しじゃないだろうか。


ここまで書いて、実は私はnoteの着地点が決められていない。


もどかしいな、と思う。

急に、

「思ったことはちゃんと言葉にしろ」
「信じるのは行動だけだ」

の世界になるのだ。

わかる、そうしないと私だって生活が回らない。
誰も彼ものことを「理解してあげる」ことなんてできない。

そして、大人の世界でふるい落とされて
「どうして自分が」「何がいけなかったんだ」
と途方に暮れる人は少なくないだろう。


その先にあるのは、

人を悪者にしては愚痴をこぼす生活か?
自分なんてダメだと心を閉ざして、自分の人生を諦めてしまうことか?
自分のしてしまったことを隠して後ろめたいモヤモヤを抱える日々か?
満たされなさの外側に鎧をつけて、新たに人を攻撃する?


こどもの頃にあるとよかった

「信じてもらえる経験」
「承認欲求がちゃんと満たされること」
「ダメなことはちゃんと叱ってもらえること」
「良いことを良いと言ってもらえること」

その先に、自分の人生を安心して歩むことが出来るんだと思う。
これが足りないと思えば、満たし直すことが出来るといいなと思う。

これを読んで「自分はふるい落とされたのか?」と感じた人…

嫌な気持ちにならないで
まず自分の心の中にいる子どもに
「よしよし、今まで頑張ったね」って
言ってみてあげてほしいよ。

優しい世界を作るには



じゃあ、優しい世界を作るには、どうしたらいいんだろう。
と思ったら、いつもこの結論

まず、自分が本音で生きていくことなんだろう。

なるべく。
いいことはいい、ダメと思ったことはダメという。
それを、カジュアルに受け止められる空気を作る。

安全に素顔を晒して
安全に思ったままを言い合える場所を
私は仕事で作りたいと思っているのかもしれないな。

いつも思うよ、なんてニッチでめんどくさいことを、って笑


でも、世界が怖くて、人が怖くて
自分の言動が本音じゃなくなっている時
勘違いされていた辛さ

そして、いざ自分の素を勇気を出して晒したら
それはそれで誤解を生んで
うまくいかなかったもどかしさも
自分が一番知ってるから…

手を替え品を替えいろんな活動をすることで
人間全員の中にある
本当の心の美しさを、私も信じ続けたいんだと思う。


にしなり★つながりの家、応援してます

心を見せてもらうインタビューをやってます

心整うノートも作ってます。心、大事にしてんねん。

こどもの夏休みお絵描き教室も準備中です。北海道札幌市近郊で開催予定。
よろしくね!

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