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自分の物語を味わい深くする秘訣

「自分の物語をおもしろくする」を、ずっと心の真ん中に置いている。

なぜか子どもの頃からずっと「おばあちゃんになった時『この人生はおもしろかった』と思いたい」という気持ちがあった。人生の最期に感じたいその気持ちは、物語を読み終えた後に「あー、おもしろかった!」と本を閉じる感覚に似ている。

だからわたしは、今まさに「いま」を生きながらも、大きな物語のなかでページを進めているような、最終的にひとつの「おもしろい物語」を完成させるようなイメージを持って、日々を進んでいる。

自分の物語を味わい深いものにするポイントは、いくつかあると思う。

まずは、自分がおもしろいと思える選択をすること。誰かの目を気にするのではなく自分の人生を生きること。物語なのだから、山あり谷ありも味わいになると知っておくこと。つまり失敗を恐れないこと。

これらはよく言われることだと思う。けれどもうひとつ、最近気づいたポイントがある。

それが、「伏線に気づくこと」だ。

物語はバラバラの日々の連続ではなく、過去に起きた何かと今が実は繋がっているとか、「あの時の話がここで生きてくるのか!」といったおもしろさがある。それは人生においても同じなのだけれど、毎日をさらりと生きているとなかなか気づけなかったりもする。伏線に気づけるほうが、物語の味わいは増すのだ。

最近わたしは、伊豆高原での暮らしが、過去の自分の伏線をかなり回収していることに気づいた。東京が地元で、ずっと都市で生活してきた自分が20代前半でキャンプにハマり、アウトドアでの知識を少しずつ身につけ、30代に入ってからは家庭菜園に興味が出たりして、そういう気持ちの先に「伊豆高原での自然豊かな暮らし」があった。

また、今の仕事だってそうである。もともと書くことが好きで、小学生の頃からずっとノートに日記を書いていた。文房具が好きになって、新卒で文房具メーカーに入社し、その後自分で文具ブランドを始めている。伏線の回収と言えるのではないか。

自分の気持ちの重なりが今の選択につながるのだから、当たり前と言えば当たり前のことなのだけれど、それを「物語の伏線だったのか!」とおもしろがれるだけで、味わいはぐっと増してくる。

おもしろい物語をつくることと、人生の伏線。

そんなことを考えてみると、あの時の苦い経験も、ずっと抱えてきた想いも、今の自分によって「味わい深い伏線」にできたりもするのだ。

「なんであんな辛い想いをしなければならなかったのだろう」と思うようなことも、そして今まさに苦しんでいることでさえ、今後の選択次第では物語の良い展開に繋げられる。そんなふうに思うだけで、未来において少し救われるような気がする。

誰もが自分の物語を生きていて、これからの物語はまだ白紙で。今後の展開は、自らの手でつくっていける。

で、あれば。おもしろい物語を。楽しい選択を。そんな気持ちで。


おわり


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