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ネパールで土づくりを行う意義

ネパールの農業について知っていく中で大きな課題の一つに「土づくりの不足」があると思ったので、そのあたりについて書きます。


「貧しい国の農業=オーガニック」ではない

なんとなく、貧しい国の農業というと「自然の力に頼ったオーガニックな農業」とイメージをしがちですが、実際は場所によりケースバイケースです。

都市近郊の畑

辺境地のケース

確かに辺境地のようなエリアでは農薬や化学肥料へのアクセスは難しく、また農家さんも栽培に対してそこまでコストをかけないため農業自体はオーガニックというよりは自然的、粗放的であることが多いです。

ただしこれは、彼らがオーガニックを選んでいるというよりも農業に対して投下できる資本が少ないが故に、そうせざるを得ないという方が考え方としては近いと感じています。

環境問題やゴミ問題に対しての知識があるわけではないため、プラごみが道端に捨ててあったり、それらを朝に集めて燃やしていたりとそういった光景は辺境地であっても普通に見かけます。
またオーガニック系の人が嫌いそうな添加物たっぷりそうな食品も安く日持ちがするためお菓子などとしてはよく食べられています。

都市近郊のケース

一方で、比較的都市部に近いエリアへ来ると辺境地と比べて生活コストは高く、農用地もさらに限られるため、農家さんはできるだけ農地を無駄にしないように活用します。

その結果起きてしまっているのが連作障害などの土壌改良をしっかり行わないことによる病気の発生です。

そういった病気に対しては手っ取り早く農薬で対抗をしようと試みることが多いようですが、地力自体が壊滅的なため次の作付けではまた同じ被害を被ることになります。

また、そうして農薬を使う人の中には、危険な使い方をする人も少なくないため、村中ががん患者というレッテルを貼られてしまうような場所も存在します。

知識が必要な土づくり

家畜は田畑を耕すトラクターであり、タンパク質という栄養源であり、資産の一部であり、また堆肥の供給源でもあるため、都市近郊ではあまり見かけませんが、農村部にはよくいます。

しかし、土づくりのために家畜の糞を堆肥として活用するということはある程度の知識が要ります。
そういった知識のない農家さんが未発酵の牛糞をそのまま畑に投入してしまったためガスが出て作物が却ってダメになったという話を最近聞きましたが、知識のなさと土地を効率的に使いたいという焦りからこういったことを行なってしまったようです。

それで「堆肥なんて意味がない」と考えてしまい、農薬に走る。。こんな負の循環がネパールの農業には起きているのかなと思います。

そもそもネパールという国が農薬を自国で製造していない(製剤のみ)ため農薬のコストも高く環境的にも経済的にも使いすぎは持続的ではありません。

ただ日本でも最近になりBLOF理論などが拡がっていますが、農業の考え方というのはもともと科学的なものからスピリチュアル的なものまで多種多様なため、ネパールにおいて科学的な農業が根付いていないのは無理もありません。

ネパールで土づくりを行う意義

そこで、これからはボカシ肥料を自作して販売しようと考えているわけですが、それだけだとネパールの農業を根っこからよくすることはできない(そして売れない)ため、産地へ赴いて土づくりの講習をしようと考えています。

農業資材店の人にいろいろ聞きすぎて疲れさせてしまったかもしれない

この効果としては主に2つのことを考えています。

1. ネパールの農業を根本から改善できる

私の知る限りでは、都市近郊では最近、韓国産の土壌消毒剤が人気になっているようですが、こういった資材は基本的に高く、農家さん全員が買えるものではありません。
私たちの方でこれから作っていく肥料であれば、地元にあるもので作ることができるためコストもそこまでかかりませんし、農家さんへのサポートも適宜行える環境であるため、農家さんにとってはより低コストで安心して土づくりを行うことができます。

2. 地方に拡げれば雇用を作ることができる

今回の肥料作りはまず試験的に都市近郊の農家さんをターゲットに行おうと考えていますが、広げられそうであればネパール全土に広げたいと考えています。
肥料というのは重く、インフラが未整備な場所の多い農村部に都市部から作った肥料を持っていくのはあまり効率的ではありません。

むしろ農村部の方が肥料の材料はたくさんあります。
ですので、うまくいくと判断すれば農村部での製造販売も考えています。

農村部には仕事がない、耕す土地も持っていないという人が一定数存在します。
ネパール全体の社会課題を考えた時に、一番大きいのはそこだと考えているのですが、農業と関連した活動が、その解決の一助になるのであれば非常に嬉しい限りです。
課題としては、特に農村部へ行けば行くほど「買ってくれるのか」ということですが、まずは都市近郊でしっかりと実績を作り、それがうまくいけばNGOや類似の機関と連携して広げていけるのではないか(というかそれしかない)と考えています。

いずれにしても、まずはやってみないと意味がないのでやってみるという感じです。

今日は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。


Twitterでも農業やネパールについての情報を発信しているので良ければ見てみてください。

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