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【交換日記】強い気持ち・強い愛

ぱくえみさんからのお題「ドライブや通勤通学の定番曲」

まずお題に答えるという、はじめてのパターン。
わたしは普段車に乗らないので、「ドライブの時に聴く音楽」を考えると、自然と実家にいた頃を思い出すことになる。

こどもの頃、私は北海道に住んでいた。親の転勤で何度か道内で引っ越しをしたが、小学生時代のほとんどを札幌で過ごしたので、家族で出かけた記憶はそのころの記憶がいちばん多い。
両親は外出が好きなほうだったようで、週末になると車を飛ばして日帰り温泉に行ったり、スキーに行ったり、支笏湖や洞爺湖へキャンプに行っていた。どこも楽しかったし、いい思い出だ。ありがたいと思う。

北海道は広い。どこへ行くにも移動には時間がかかる。
そんなとき、車内ではわたしと弟を飽きさせないように、親によってさまざまな取り組みがなされた。
4人でしりとりをしてみたり、すれ違う車のナンバー4桁を使って解が10になるように式を作るゲームをやったり、次に見かける人物はどんな人か予想するゲームをしたりした。
そしてもちろん、音楽もたくさん聴いた。当時車内で再生できたのはカセットテープのみだったので、旅行の前にレンタルショップでCDを借りてきて録音したり、高速のサービスエリアで好きなカセットを買ったりした。
わたしと弟に一番人気だったのは、「スーパー戦隊主題歌全集」だった。誇張でなく、テープが擦り切れるまで聴いた。
わたしがいまもスーパー戦隊が好きで、自分の世代よりずっと前の戦隊もタイトルと主題歌だけはわかるのは、これが原因だろう。
おかげで、ゴーカイジャーの映画が上映されたときに気になっていた男性と一緒に観に行って盛り上がり、結婚までしたのだから、音楽は偉大だと言わざるを得ない。

大学生になり、わたしは家族と離れて東京にきた。
3年生のときから住んでいた西八王子では、車に乗る機会はほとんどなく、通学も原付バイクでしていたので、バイト代で買ったiPod classicで音楽を聴くのは、たまに電車で都会(23区内)に出るときか、近くの川をあてもなく散歩するときくらいだった。
そんなときにいつも聴いていたのが、小沢健二のソロ・アルバム「LIFE」だった。
初めて聴いたのがいつだったかは、よく覚えていない。
たぶん、西八王子のゲオでなんとなく借りたか、当時すこしだけつきあった音楽好きの男性の家に平積みしてあったCDを上から5枚くらい借りたときにたまたま入っていたんだと思う。
その時のわたしは、オザケンのことはなんとなく「王子様っぽい人」と思っていた程度で、フリッパーズ・ギターも、渋谷系のことも何も知らなかった。
ただなんの知識もなく「LIFE」を聴いて、東京で、ひとりで散歩するときに、今のわたしにぴったりだと思ったのだった。

ゴーカイジャーを一緒に観に行ってつきあいはじめたわたしの夫は、オザケンの「マニア」だ。
わたしはよく知らないけれど、中学生くらいのときからずっと追いかけていて、彼のインタビューが載っている雑誌をほとんど持っていると言っていた。若いころは服装を真似するくらいあこがれていたらしい。
それで、わたしは結婚パーティのときに夫に内緒で「強い気持ち・強い愛」を練習して、披露した。
夫は「これ作曲筒美京平なんだけど」と言いながらまあ、喜んでいた(と思いたい)。

先日、久しぶりに夫とふたりで外出をした。
渋谷の公園通りで待ち合わせをして、NHKホールでオザケンとスチャダラパーが「今夜はブギー・バック」を歌っているのをみた。
8月に、「LIFE」発売30周年を記念して、当時を完全再現するライブをやることが発表された。
オザケンは、「当時好きだった人や、こどもや、親と来てください」というようなことを言っていた。

アンコールが終わって、急いでNHKホールを出た。親族に預かってもらっているこどもを迎えに行かなくてはいけない。
ふたりで渋谷の坂をかけおりて、山手線に揺られる。見ると、先ほど発表された8月のライブの応募受付がもう始まっていた。
19歳以上9000円、18歳以下6000円。親子席もある。その場で家族3人分の席を申し込んだ。
「8月までに、こどもに『LIFE』聴いてもらわないとな」
「車とかで出かけられたら聴かせやすいんだけどね」
「車で聴いてた曲って一生忘れないよね」
「買うか~車?」
と笑いながら帰った。

「LIFE」、人生って、小規模だなあと思った。ぜんぶがつながっている。
でも、とてもいい。
こどもが音楽を好きになってくれるといいなあと思う。8月がたのしみだ。

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