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”難民人材を採用する企業”の開拓に、頼もしいパートナーが加わりました!商船三井 x WELgee

いつも活動や難民の仲間たちを応援してくださってる皆さん、こんにちは。
NPO法人WELgeeの渡部カンコロンゴ清花です。WELgeeは、株式会社商船三井さんと難民の背景を持つ外国人人材(以下、難民人材)の人材紹介の協力体制を構築することになりました!

私たちにとっても、新しいチャレンジ!ということで、その経緯など改めてお伝えします。

WELgeeは、日本に逃れた難民とともに未来を築く団体です。
紛争・迫害などから逃れ日本にやってきた難民たちが、経験や専門性を活かし希望を持って日本で人生を再建するため「就労・キャリア」に特化したプログラム「JobCopass」を展開しています。

今でこそウクライナ避難民がきっかけで関心が高まっている難民問題ですが、そもそもの始まりは、私たちが東京で出会った難民の背景を持つ若者たちが、とにかく個性や経験や人間性に溢れていた。そこからの始まりでした。

こんなふうに、彼らが社会との接続点がなく孤立してゆくのは非常にもったいないと。

「難民」という人間はいないと、WELgeeは思ってます。
場所と時代が違ったら活躍してたかもしれない人たち。


そういった背景から、WELgeeは「職業紹介事業」を行ってきました。
紹介事業と言っても、紹介するだけでは彼らが活躍するには至りません。
出会いから信頼構築、メンターシッププログラム、スキル開発、マッチング成立後の定着まで、彼らの就活全般に一貫して伴走しています。



一方で、人材とはいえ紛争や迫害から逃れてきた人たち。
準備万端で日本にきた人たちではありません。

ストレスで心と体が思うようについてこなかったり、祖国に残した家族の心配もあります。
自分がどんなキャリアを目指せるのか分からなくなっていたり、混乱することもあります。
何より日本の就業文化もわからない。
誰も教えてくれない。

そんな逆境を乗り越え、リーダーシップを持って活躍するまでの道のりは簡単なものではありません。
だからこそ、キャリアコーディネーターが人生そのものに伴走しています。そして、50人以上の社会人プロボノさんが、それぞれのビジネス経験を活かし、就活の一歩目のフェーズを彼らのメンターとなり支えてくださっています。

そんなJobCopassに、現在、40カ国、321名の難民 / 難民申請者が登録しています。
出身国ではウクライナ・コンゴ民主共和国・カメルーン・アフガニスタン・チュニジアが多いです。
約半数が学士を持っていますし、修士を持ってる人も。母国で高等教育を受けていたり、就労経験のある人も多いです。 


ウクライナから逃れてきたYさんは、「将来は日本でも自分の会社やコンサルサービスを展開したい。そのために、まずは日本の会社で働く経験を得たい」と話します。

面談から始まり、いくつかの試行錯誤を経て、彼女も今月から、大手オフィス家具メーカーの海外salesの部門で、デジタルマーケターとしてお試し雇用を始めるところです。

この6年、数多くの企業の経営者さんや人事の方々と関わらせていただき、いまの時代、企業が求めている人材は、上から指示されたことを完成度高く忠実にこなしていく人や、ひとつの専門性をとことん突き詰めたスペシャリストのみでないことが分かってきました。

スキルのみならず、
・逆境のなかでゼロイチを生み出した経験
・実体験に裏付けられたVisionや志
・レジリエンス
などが、難民人材たちの評価ポイントとなっています。

さて、JobCopassを通してすでにスキルを活かした雇用に結びついたのが19名、在留資格変更ができたのが6名。
難民認定が厳しい日本では、難民認定されるのを待つだけでは、未来を描くのが非常に難しいのです。
採用企業が雇用のスポンサーになることで、難民の人たちが、就労の在留資格を得てゆくことができるのです。

企業に対しても「かわいそうだから雇ってください」「CSRでお願いします」というアプローチはとっていません。

「人材の持ち味を活かし、自社のよりよいビジネス展開に一緒に挑戦したい!」そんなマッチングを生み出します。

お互いの挑戦が始まります。

このような豊かな人材プールが増えてくる中で、昨年のアフガニスタンのタリバン情勢から逃れてくる方々やウクライナ避難民の方々からの相談もさらに増えています。

こうして、WELgeeには今も人材が集まっているのですが、同時に企業側の登録も増えないと、いいマッチングは生み出せません。

そこで、“難民人材を採用する企業”の開拓に、なんと心強いパートナーが加わることになったのです。それが商船三井さんです。

日本国内産業における人材不足への対応の一助として、同社が外国船員との信頼関係を築いてきた経験・知見を最大限に活かし、外国人人材コンサルティング事業を行なわれています。

これまで、走り回りながら難民人材採用企業を、一社一社直接発掘してきたWELgeeにとって大きなステップ。


難民の課題は、支援団体や弁護士、政府や国連が解決するもの、というようなイメージがあったと思います。それもその通り。専門性が高いイシューですし、規模が大きい話です。

でも、今回の連携のように、民間企業だからできることがあります。
WELgeeも、日本の企業さんがこれまで、戦力・人材として発掘できなかった人たちの存在を知っています。

いま国連でも、難民問題の解決はwhole society Approach(社会全体でのアプローチ)と言われています。

複雑で、難しくて、どうにもならないように感じるかもしれない課題だからこそ、これまでなかった解決策でもポジティブに前に進めよう。

最後に

すでに、グループ会社で難民人材を採用した商船三井のチームリーダーさんからこんなコメントを今日いただきました。

「難民の人がチームに加わったらコミュニケーションを丁寧に取らないと伝わらないことに気づきました。でもそれをやるようになったら、日本人社員同士の関係性も良くなったんですよね。」

そう、これこそが「優秀な人材か否か」では説明できない価値なのです。

ご関心持っていただいた経営者さん、人事の皆さん、ぜひご連絡ください。WELgeeと一緒に、一度は国という所属を失った人たちの活躍機会を生み出しませんか?

商船三井さんとの試みも「なにか一緒にできるだろうか?」のブレストからスタートしてます。

そして、この活動が広がりを見せているのは、現在314人のマンスリーサポーターの皆さんの存在が大きいです。ぜひ、応援の最初の第一歩として、仲間になってください。

日本に逃てきた難民の人生は、受け入れ側の日本社会でどんな人たちと出会えるかに大きく左右されます。そんな「よき出会い」を、共に増やしてゆきましょう。

WELgeeは皆さんのアクションをお待ちしております。

ここでいただいたサポートは、入国管理局に収容されている方々に面会で会いに行くときの交通費に使わせていただきます。ありがとうございます。