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セクハラやパワハラのない自衛隊になってほしい 私が小説で自衛隊を批判する理由 その3


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 この記事に添付した2枚の写真は、2018年に首都圏にある自衛隊の某基地を訪問した際に私が撮影したものだ。


 その日は、その基地を一般人に開放するイベントの開催日で、私は珍しい機会を楽しんでいた。その際、私は基地のある場所に、何枚ものポスターが貼られていることに気が付き、それを撮影したのである。その場所には撮影禁止の札はなかったし、私を制止する人もいなかった。それらの中に、防衛監察本部と防衛省セクハラホットラインのポスターがあったのである。

 この文章を書くために、防衛監察本部のウェブページを見た。それによると、
「防衛監察本部は、防衛監察を通じて各部隊・機関の問題点を発見し改善策を助言するとともに、不正や非違行為につながる行為を未然に防止することにより、国民から信頼される防衛省・自衛隊を目指しています(以下略)」とある。
https://www.mod.go.jp/igo/outline/pdf/pamphlet-R01.pdf

 この組織は2007年に発足し、ある資料によると50人ほどが所属する小さな組織。そのトップ・防衛監察監には高等検察庁の代表である検事長の経験者という、強い権限を持つ大きな検察組織のリーダーが就任している。犯罪の容疑者を取り調べることに長けた人材が指揮するのだから、法令の遵守や違反には強い組織のはずだ。

 話をポスターに戻すと、要はこの組織が情報提供を求めるものだった。そういう内部通報は通報者が組織から報復される可能性もあることが、時折、マスコミの報道で明らかにされている。防衛省と自衛隊ではどうなのだろうか。


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 もう一枚のポスターは、セクハラ対策のホットラインのもの。これをよく見ると、この基地のさまざまな組織に相談員がいることがわかった。「プライバシーは厳守されます」とあるけれども、どの組織がセクハラの問題を調べるのか、どういう処罰が下るのかはこのポスターだけでは不明だ。


 「人事教育局服務管理官」なる官職が問い合わせ先になってはいるが、問い合わせだけなのか、捜査と処罰もするのかはわからない。そこで検索したら、こんなPDFがあった。
https://www.mod.go.jp/j/profile/harassment/pdf/harassment_01.pdf

 こういう組織があるからといって、それが機能しているとは限らない。そして、セクハラやパワハラ問題が解決するとは限らない。

 今年の7月。私はネット上で、ある女性のセクハラ被害の話を知った。それは、五ノ井里奈(ごのい・りな)氏が自衛隊に在籍していた昨年8月に、十数名の男性自衛官の集団の中で、何人もの自衛官に押し倒されるなどして複数回にわたりセクハラ行為を受けたというものだ。だが、彼女の訴えに対し誰も証言してくれず、自衛隊内の捜査機関に被害届を出したが、「客観的な証拠がない」などの理由で検察は不起訴にしたという話である。彼女は今、検察審査会に不服申立てをしており、その結果を待っているところだそうだ。

 これは、おぞましい行為を止めようとする自衛官たちがいなかったという驚くべき事態だ。五ノ井氏の安全と名誉が回復され、そのような行為をした人間たちが処罰されることを私は望む。

https://twitter.com/judo_gonoi



大川光夫です。スキを押してくださった方々、フォロワーになってくれたみなさん、感謝します。もちろん、読んでくださる皆さんにも。