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そこにいたはずの自分を探して

親バカが過ぎる程度に、娘を撮っている。

いつか嫌がられる…
なんて口で言いつつ、信じたくない。別にいいや。

撮るにつれ、誰かを重ねた。


実家のアルバムを漁ると、30年前の子がいた。

娘と並べた。

瓜二つ、でも同じじゃない。


過日、別の写真にあった遊園地に来た。
約30年ぶりだった。

なのに「懐かしい」感覚はなかった。

当時の記憶は断片にも満たない。
細かく砕け、薄く均された砂粒のように掴めない。

案内板も、パンダの乗り物も、スワンボートも、
確かに写り込んでるのに。

記憶にない記録から、遠い過去を想像する。

泣いてたのか。
笑ってたのか。
端的にしか感情を表せなかった。

目に映る世界は広い。
音は大きい。
色は強烈で、
すべて君のものだった。

何者でもない自分を探して
誰もが追懐の旅券で、不可逆な時間を旅できる。

何者でもない彼女の一瞬を
いつかの時間旅行のため、切り撮っておくよ。

もし、サポートいただけるほどの何かが与えられるなら、近い分野で思索にふけり、また違う何かを書いてみたいと思います。