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データ取引・収益化の市場規模 - アジア太平洋エリアは急成長の見込み

いま、日本でデータビジネスへの関心が高まっています。そこで本記事では、データ取引・収益化の市場規模について、複数の最新レポートをもとにまとめました。データ収益化市場の現状と将来予測、成長要因、主要業界、地域別の成長予測を解説します。

データ取引・収益化の市場規模は?

データ取引・収益化市場は、2023年の41.9億米ドルから2028年には104.1億米ドルに成長し、年平均成長率(CAGR)は19.98%に達すると予測されています。

データ収益化には、企業が自身のデータを活用して効率化や新しい価値創出を図る内部収益化と、データマーケットプレイスなどを利用してデータを外部に販売し新たな収益源を確保する外部収益化の二種類があります。

このうちデータマーケットプレイスプラットフォームの市場は、2028年に3億6714万米ドルに達すると予測されています。これらのプラットフォームは、個人や企業がデータを売買する場を提供し、IoT接続デバイスの増加や通信ネットワークの発展により市場が拡大しています。

いまデータ取引・収益化市場が成長している理由

データ取引・収益化市場が成長している理由には以下の要因があります。

1. 企業が未利用データの価値を発見しつつある

企業が未利用データの価値を見出し、収益化に注力しています。データ収益化は、ビジネスと技術の専門家が協力して取り組む必要があり、時間や投資が求められます。

2. 新しい技術が急速に進展している

エッジコンピューティング、5Gネットワーキング、IoT、AI/ML、AR/VR、ブロックチェーンなどの技術進展がデータ収益化の導入を促進しています。

3. セルフサービスビジネスインテリジェンス(BI)への注目

独立系ソフトウェアベンダーがセルフサービスBIに注目し、アプリケーションの収益と効率を向上させています。セルフサービスBIは、採用率の向上と業務効率の改善により、アプリケーションのROIに貢献します。

4. コロナ禍を経てデータドリブン経営が求められるようになった

パンデミックにより多くの企業がデータ分析やAIシステムを活用して事業運営を強化しています。企業は、事業縮小や製品・サービスの多様化など、事業の大幅な変更を余儀なくされ、迅速なリスク管理とデータ駆動型の意思決定が求められました。

データ取引・収益化市場で上位を占める業界は?

各種調査によると、市場の主要シェアを占めているのはヘルスケア業界です。医療業界では、過去から医療のデジタル化が進み、データが急激に増加しています。電子カルテ(EHR)のクラウド化やウェアラブルデバイスの普及によって大量のデータが生成され、臨床サービスの向上と財務的利益が実現されています。

さらに、データ分析とIoT機器の導入が進む中で、ヘルスケア分野ではデータを活用した新しいアプローチが模索されています。フィリップスの調査によると、シンガポールのヘルスケアリーダーの92%が予測アナリティクスを導入済みまたは導入中とのこと。ヘルスケア企業はデータを活用した臨床開発の新しいアプローチを模索し、イノベーションを加速し、医学的介入の結果改善につなげています。

一方、ヘルスケア分野におけるデータ活用については、規制上の制約、相互運用性の課題、参加者間の不信感といった問題も存在しています。全国的な患者識別子が存在しないため、データの正規化と相互運用性の問題からマスターデータリポジトリを作成することも困難です。

しかし、これらの課題に対処するための取り組みも進んでいます。例えばJohn Snow Labsは、大規模データセットの自動非識別化を提供することで、医療機関の製品イノベーションとコスト削減に貢献しています。

アジア太平洋でデータ取引・収益化市場が急成長の見込み!

市場規模を地域別に見てみると、収益面で優位を占めているのは北米です。人工知能、拡張現実/仮想現実のオーケストレーション機能、高度なデータインフラの存在など、最先端技術の導入が進んでいるためです。

一方、大きな成長が予想されるのはアジア太平洋地域です。IoT技術の発展や、さまざまなアプリケーションにおけるデータマーケットプレイスプラットフォームサービスの浸透の増加などの要因が、この予測の背景にあります。

実際にアジア太平洋地域では、新技術の導入がダイナミックに進んでいます。AI、ビッグデータやその他の技術革新に背中を押され、様々な企業がデータ収益化の取り組みを進めています。

例えば、チャイナユニコムはブロックチェーンを利用して新たなデータ収益化の流れを創出しました。企業顧客とのデータ共有を進めながら、セキュリティとプライバシーを確保し、コスト削減を目指しています。

また、中国のデータ取引市場は急成長を遂げており、2022年には市場規模が876億8000万元に達しました。今後も成長が続き、2025年には2046億元に達する見込みとのことです。

日本でもデータマーケットプレイスが普及中

日本においてもデータ取引・収益化市場の成長は著しく、企業が未利用データの価値を最大限に引き出すためのプラットフォームが求められています。私たちが運営する日本最大級のデータマーケットプレイス「JDEX」は、企業が効率的にデータを取引し、収益化するための最適な環境を提供しています。

データマーケットプレイスは、最近まで日本ではあまり一般的でないサービスでしたが、近年は各業界のリーダーによって、データ取引の文化が普及しています。JDEXにはさまざまな種類のデータが出品されているので、ご興味のある方はぜひ一度チェックしてみてください! 


【参考文献】
本記事は、以下の出典をもとにまとめました。
Mordor Intelligence「データ収益化市場規模とデータ収益化市場規模株式分析 - 成長傾向と成長傾向予測 (2024 ~ 2029 年)」
Fortune Business Insights「データ収益化市場規模、シェアおよび業界分析、アプリケーション別、展開別、企業タイプ別、業界別、地域別予測、2024〜2032年」
Newscast「データマーケットプレイスプラットフォームの市場規模は2028年に3億6714万米ドルに達する見込み~最新予測」 
Science Portal China「中国のデータ取引市場規模、世界の13.4%に」