ニーチェの馬


鬼才と呼ばれたタル・ベーラ監督最後の作品。

色々と度胆を抜かれた映画です。まず、全編モノクロ。セリフらしいセリフがほとんどない。この映画には「物語」が存在しない。あるのは馬小屋に住む父と娘の質素で平坦な日常生活が6日間ひたすら繰り返されるだけ…

だけど、これほどまでに瞑想的な映画をぼくは観たことがない。そして感動には二種類あることを知った。一つは誰もが体験したことがある心躍るような感情的な感動。もう一つは心が静まり返って無になる感動。『ニーチェの馬』は後者だ。観る人を選ぶ作品だが、観た人は沈黙することの大切さに気づくに違いない

手に入れたものは財産であれ名声であれ若さであれ、いずれ必ず無くなってしまう。だが、内なる心の静寂と沈黙だけは誰にも奪うことはできない。それは暴落することもなくハッキングされることもなく監視されることもない、魂の楽園なのだから

神は6日間で世界を創造し、7日目に祝福が訪れた。


※you tubeで本編がアップされてました。そのうち消されると思うけど 笑。

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