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銀行員がアイキャッチをデザインしたお話

ごあいさつ

はじめまして、Japan Digital Designの須永です。
昨年4月に三菱UFJ銀行から、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の戦略子会社である Japan Digital Design(以下JDD)へ出向し、Experience Design Div.(以下XDD)のトレーニーとして働いています。
JDDでは体験デザインを学びながら、体験デザインの業務を幅広く担っております。

※トレーニーについての詳細は、以下の記事をご参照ください。

今日は、銀行員である私が短い期間で工夫や苦労をして取り組んだ、イベントのアイキャッチのデザインについてご紹介をできればと思います。

※XDDでは体験デザインの観点からMUFGグループへのCX向上の支援や、JDDのコーポレートカルチャーの醸成と浸透を担っており、その一環としてアイキャッチなどさまざまなコミュニケーションツールのデザインも行っております。

アイキャッチのデザインに至るまでの経緯

はじめに、冒頭でご説明したXDDのトレーニーについて簡単にご紹介させてください。XDDのトレーニーとは、JDDに出向している銀行員が、体験デザインのプロジェクトに非デザイナーの立場で参画、プロジェクトを通じて体験デザインのプロセス等を学び、それらを持ち帰ることを期待されているポジションです。

ただ、私は勝手ながら期待を超える目標を立てていました。日々の業務から学ぶだけでなく、「デザイナー」として組織に貢献すること。トレーニーが何を言っているのだと思われるかと思いますが(笑)、高い目標を持つこと自体は悪いことではないと思っています。(そんな私を快く受け止めてくださった、XDDの皆様には感謝しかないです)

「デザイナー」として組織に貢献するための仕事を少しでも任せてもらいたい、でも実績がないと任せてもらえない。そこで、times(JDDの社員が自由につぶやける社内SNSのようなもの)を活用し、UIデザインのアウトプットを定期的に投稿しました。

timesの投稿
UIデザインのアウトプット(UIトレース)

timesでのアウトプットとデザインに対する熱意が目に留まり(?)、トレーニーである私が社外イベントのアイキャッチのデザインを任せてもらうことになりました。

※一般社団法人金融データ活用推進協会(FDUA)様とJDDとの共催で、「データ分析女子会」という、協会員の女性限定のイベントを開催しました。詳細はこちらをご参照ください。

とはいっても、アイキャッチのデザイン自体は私自身初めての取り組みでしたので、XDDのデザイナーの皆さんとご相談しながら進めることになりました。

アイキャッチのデザインで工夫したこと

アイキャッチのデザインを行うにあたって、工夫したことがあります。それは「デザインのプロセスをすべて可視化すること」です。

目的は2つありまして、「最短でデザインを進めること」「学びを最大化すること」です。
大前提として、アイキャッチのデザインにそこまでしなくても…というご意見はその通りなのですが、「トレーニー」である私は学びを重要視すべきだと思ったので、時間をかけてでも極力可視化すべきだと判断しました。

まず「最短でデザインを進めること」についてです。
私の実力と比較して期間が短かったため、手戻りなく最短ルートで進める必要がありました。そのため、納品までのタスクやスケジュールを可視化し、間違った方向に進まないか、十分に検討期間を見積もれているかを合意するところから始めました。

せっかくなので、タスクの可視化にはデザインプロセスのフレームワークを活用しました。実力がなくとも、漏れなくタスクを洗い出すうえで有効なアプローチだと思ったためです。
活用したフレームワークは、Jesse James Garret氏が20年ほど前に提唱した”The Elements of User Experience”(通称「UXの5段階モデル」)です。

想定していたとおり、スムーズにタスク・スケジュールについて合意することができました。

UXの5段階モデル
タスクとスケジュールの可視化


次に「学びを最大化すること」についてです。
自分の「トレーニー」という役割を考えた時に、組織への貢献の前に学びを得て成長すること自体がとても重要だと思っています。そして、学びを得るためには的確かつ幅広くフィードバックをいただくことが大事だと思っています。
そのため、アイキャッチのアウトプットをレビューいただくことを想像したときに、自身の検討や作業の過程を丁寧に可視化しておけば、ここは違うとか、ここはこうした方がよいといった指摘を、的確かつ幅広くフィードバックをいただけると考えました。

実際に、デザイナーの皆さんと検討の壁打ちをするなかで、さまざまな「デザイナー」としての知見を吸収することができ、時間をかけて可視化してとてもよかったなと思っています。
(例えば、アイキャッチ内のタイトルの視認性についての指摘では、背景画像の加工方法としてフィルタリング、文字の加工方法としてドロップシャドウやカーニング等を教えていただき、アウトプットの改善に加えて、「デザイナー」としての知見を吸収することができました)

また、副次的な効果として、効率的に検討を前に進めることもできました。可視化ができてさえいれば、レビュアーの方とミーティングをしなくとも、書面上で検討の方向性を合意しやすいためです。

具体的には、指摘いただいたものについて書面上で整理のうえ、その指摘に対してどんな方針で進めるのか、その方針で進めてどんな修正をして、アウトプットを出したかを可視化しました。

検討の可視化
作業の可視化

アイキャッチのデザインで苦労したこと

アイキャッチのデザインを行うにあたって苦労したことは、素材(背景画像)選びです。
デザインではコンセプトとなるキーワードを決めて、デザインの方向性のより所とすることが定石なのですが、今回のイベント名が「データ分析女子会」。「女子会」と「データ分析」は単体でみると特徴的ではあるものの、融合すると中々難しいテーマでしたね。

コンセプトとなるキーワードを決めるに当たっては、セルフでブレストを行うことや、女性限定のテック系のイベントのアイキャッチを調査しました。(ブレストも恐らく頭の中で行うに留めるのですが、前項で書いたとおり「学びの最大化」を意識し、極力可視化を行いました。)

ブレストと調査の結果、コンセプトとなるキーワードは「女子会」から「かわいらしさ」を、「データ分析」から「デジタル」を選びました。そして、アクセントとして「映え」が感じれたら尚良し、といった形に落ち着きました。

ブレストの可視化
調査の可視化

それらを踏まえ素材(背景画像)を探し始めましたが、難航を極めました。キーワードをより所にして探してみたものの、「かわいらしさ」と「デジタル」が共存するようなしっくりしたものを見つけることができませんでした。デザイナーの皆さんからも、一次選定したものからは「デジタル」が少し感じられないというコメントをいただきました。

素材(背景画像)の一次選定

ただそのコメントと併せて、具象的な素材を探すのではなく抽象的な素材をポイントに探すとよいかもしれないとアドバイスもいただきました。

確かに私自身、キーワード以上の選定ポイントは特に意識せず直観的に探していた節がありました。
また、今回より所とした「かわいらしさ」と「デジタル」のイメージの組み合わせが難しいという点から、抽象的なものの方がよいというアドバイスは、自分の中ですっと腹落ちすることができました。

その結果、無事納期までにキーワードに合う素材を見つけることができました。素材を探すのではなく、もし自分でイラストもデザインすることが出来たら、きっと悩むこともないのだろうなと強く感じましたね。

おわりに

最終的にできあがったアイキャッチがこちらです。上段がレビュー前のもの、下段がレビュー後のもので、下段の方が「かわいらしさ」と「デジタル」が感じられるアイキャッチに仕上がっているなと思います。

デザインしたアイキャッチ

イベントでは好評だったようでとても安心したのと同時に、「デザイナー」として組織に少しでも貢献できたかなと感じた瞬間でした。
また、デザインの過程でのレビューで多くの学びも得られ、アイキャッチのデザインを任せていただいて本当によかったなと思います。(ここだけの話、デザイナーの皆さんとの壁打ちは毎回学びを得られたので、納期がなければずっと壁打ちしていたかったです(笑))

長くなりましたが、アイキャッチのデザインの裏側はいかがでしたでしょうか。
少しでもご興味をもって読んでいただいた方がいらっしゃったら、とても嬉しく思います。



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Kizuku Sunaga