秘密は広報にも?千葉ロッテマリーンズに若く熱いファンが多いと言われる理由を考えてみた。
”千葉ロッテマリーンズ”といえば、何を想像するでしょうか。
「佐々木朗希がいる」「応援・ファンがアツい」「ファンが”どこにでもいく”」というのは、よく耳にするところ。
スポナビによるファンのイメージ調査でも「熱狂的」「かっこいい」という結果を得ています。
では、どうして「アツい」ファンが多いのか?
探ってみると、広報戦略に秘密がありそう…!
というわけで、今回は千葉ロッテマリーンズのスポンサーである日本ベネックスが、その広報戦略を徹底解剖します!
秘訣はターゲティング&狙い撃ちにあり?
手島:
スポンサーになって3年目のシーズンも終了しました。佐々木朗希投手の自己最速記録更新や土壇場の逆転2位浮上など、たくさん見どころのあるシーズンでしたよね!
今年はZOZOマリンに観戦にも行きましたが、いかがでしたか?
庄司:
想像以上に盛り上がり・熱気がすごかったです。
木下:
ロッテといえば熱い応援は有名だよね。若いファンも多いと聞くけど、実際どうだった?
庄司:
小中学生くらいの子どもが家族と来ているのが印象的でした!若いカップルもいて、いろんな世代の人が見に来ているんだと思いました。
木下:
へえ!TEAM26の会員は40代男性が多いらしいけど、その世代ばかりってわけでもないんだね。
手島:
確かに、若い方も多かったですね。
木下:
で、若いファンを呼ぶための秘訣が広報・マーケティング施策にあるんだよね?
手島:
はい。
現在の球団社長 高坂氏がマーケティング事業部にいた2019年に、データを活用したマーケティング戦略立案を強化したそうで。その分析をもとに、どんな人に向けた活動を展開するかの施策を決めていったそうなんです。
そのターゲットというのが・・・
庄司:
とにかく広く多くの人に、ではなくて、まずは若年層かつ特にココを強化する!と決めたんですね。
手島:
ターゲットを絞って、そこに訴えかける企画・イベントを作るというのは有効ですよね。
採用で例えると「若手人材」だと幅が広すぎるけど「大学生」とか「第二新卒」とか絞ることでアプローチも変わるだろうし。
コアファンをより熱狂させる
手島:
ロッテを支えるコアファン(ローカル・マリーンズフリーク)に向けた取り組みのひとつが「広報カメラ」だと思います。試合日のベンチ裏や投球練習場の様子に密着して、試合では見ることができない選手の様子を見せてくれるんです。
手島:
今でこそ他球団も同じような取り組みをしていますが、その先駆けだったというのはすごいですよね。
庄司:
名物広報といわれる 梶原さんが始めたそうですね。
球界再編騒動があった2004年に、サンケイスポーツの阪神担当記者から千葉ロッテマリーンズの広報に転身されたそうです。
当時は情報発信の少なかったロッテですが、伝統や拘束がない分フランクで斬新な発信ができる環境で、球団も新しい取り組みを歓迎する雰囲気だったとか。そんな土壌があったから『広報カメラ』が生まれたのではないでしょうか。
木下:
新しい取り組みを歓迎する、っていうのはベネックスと似ている雰囲気だね。
自分自身はハマっているものがないから分からないけど、裏側の様子ってわかると嬉しいもんなの?
庄司:
めちゃくちゃ嬉しいです。ジャンルは違いますけど、アイドルのyoutubeチャンネルにレコーディングや練習の風景がアップされるとずっと見ちゃいます。
手島:
梶原さんがすごいのは、球団広報でありながら番記者の役割もこなしちゃうこと。千葉日報の連載では、鮮度が高くディープかつ、web記事としてヤフーニュースに載ることも意識した記事を書かれています。
球団広報ならではの深度でタイムリーな情報だから、すごく読みごたえがあります。
木下:
試合後の補足情報として読むと、さらに満足度が上がりそうだね。
ロッテは情報・グッズの展開スピードがすごく良いような気がする。情報提供のタイミングや施策展開のスピード感は参考にすべき部分が多いね。
まずはチーム・選手を知ってもらう
手島:
ここ数年、マリーンズの選手が「しゃべくり007」「逃走中」といった、野球に関係のないバラエティー番組に出ることが増えているんです。
木下:
たしかにロッテの選手をテレビでよく見るよ。
手島:
これは元吉本興業のマネージャー・和中さんの仕掛けなんです。
LINEで選手全員のプロフィールや趣味を聞き出して、成績とともにリスト化しメディアに売り込む⇒認知を広げるっていう。
庄司:
選手本人にも別途ヒアリングをして、どのくらい好きかといった具体的な情報を基にしたリストになっているんですよね。
選手もメディア側も話や進行に困らないよう、きちんとすり合わせされた情報になっていて、社会人の仕事術として見習わないといけないな~と思いました。
しかも番組の内容に合わせて、「様々な切り口」で「定期的」に売り込んでいるということで、番組にとってもプラスになりますよね。
木下:
お互いwin-winになるように提案・売り込みをしているんだね。
手島:
球場に行く・ファンになるきっかけの一つとして、テレビや雑誌で見たことがある選手がいるというのはすごく大きいと思います。
木下:
「知っている」と「知らない」って本当に大きな差があると、ベネックスでCMを打ってみて思った。安心感というか、一歩目の踏み出しやすさがかなり違うと思う。
ベネックスがZOZOマリンのリボンビジョンで広告を出しているのも、ロッテファンや野球を見に来る人たちを「なんか見たことある」状態にするという狙いもあるよね。
木下:
意外だったのは、雑誌『anan』の表紙に佐々木朗希投手と松川虎生捕手が載ったこと。女性誌の表紙にプロ野球選手が載ることって、かなりイレギュラーじゃない?いい意味で違和感のある画だったと思う。
ロッテは『anan』読者層の女性に、ananは野球好きな未購読者にアプローチできる、両者に損のない上手い提案だよね。
手島:
違和感のある発信で目を引くのも手ですよね。「なんで?」のツッコミをSNSとかで共有してもらえると、さらにいろんな層に拡散する可能性もあるし。
庄司:
違和感でいうと、以前長崎空港に出していた柱巻き広告もそうですよね。長崎なのになんで千葉ロッテマリーンズの広告?!みたいな。
木下:
そうそう。本当にたまたまだけど長崎県でロッテ戦があったこともあって、かなりファンの人にも注目・発信してもらえた。こういうのをもっとうまく活用していきたいね。
手島:
それから主に子ども向けですが、野球に触れる・球場に行くきっかけになる取り組みとして『MARINES LINKS』というものがあります。
地域コミュニティの発展や社会課題の解決が主な活動目的で、千葉県内の自治体や企業と協力して、地元の小学校にランドセルカバーやマリーンズ算数ドリルをプレゼントしたりしているようです。コロナ流行期だとアルコール消毒液も配布していたみたいです。
木下:
子どもの頃から千葉ロッテをそれとなく刷り込むんだ(笑)。算数ドリルとか面白そうだね。
手島:
あとはキッズ野球教室やチアダンス教室の開催とか。野球に触れたことがない子でも、野球を見てみたくなる十分なきっかけになると思います。
庄司:
野球にそんなに興味の無い親世代の方も、子どもにせがまれて家族で休日のレジャーとして球場にいく可能性もありそうですね。
満足度の高いイベントでリピーターをつくる
木下:
前に書いた観戦記にもあったけど、球場へ行くとスタジアムグルメとか楽しいんでしょ?
庄司:
そうですね!種類もたくさんあって、どれも美味しかったです。選手とのコラボメニューもあって、コアファンは選手指名買い・ライトファンは選手の名前を知るきっかけになると思います。
手島:
時期や球場で開催しているイベントに合わせた限定メニューもあるので、スタグルって飽きないんですよね。
木下:
種類が多かったり、限定メニューがあるというのは、1度球場に来た人にリピートしてもらうためには重要かも。
イベントというと、どんなものがあるの?
手島:
大きいところだと『BLACK SUMMER WEEK』かな。
野球好きもまだ見たことがない人も、どんな人でも「楽しい夏」を体感できるイベントです。限定スタジアムグルメが登場するほか、試合前にDJや歌手・パフォーマンスグループが出演したり、花火が上がったりするんです。野球の試合としてだけではなく、フェス・お祭りとしても楽しめます。
庄司:
それから「ダッシュマンレース」も野球を知らなくても楽しめますよね。
11/19に開催されたファン感謝フェスタも、選手が白黒のチームに分かれて、アチアチカップル対決や演技力・ゴルフ対決をするなど、野球が分からなくても楽しめそうな内容でした。
本当に、満足度を上げて何度も足を運んでもらおうという企画・広報をされているなと思います!
木下:
いろいろあるね(笑)。
プロ野球という人気コンテンツにいるロッテでさえ、新規ファン獲得に必死になって取り組んでいる。
ベネックスと事業の形は全然違うけど、真似できる部分は取り入れて環境に甘んじずに行動しないといけないね。
2025年visionの達成にむけて
手島:
ロッテの施策一つひとつは、2021年に発表された4か年計画『Vision2025』の考えを基に組み立てられているんだと思います。
庄司:
ベネックスも2022年にパーパス「いい仕事をしつづける。」と行動原則「ベネックス・ベーシック」をつくって、それに基づいて行動しようと決めたのと似ていますね。
木下:
Visionやパーパスで根幹となる価値観は大事にしつつ、新しいことにどんどんチャレンジしていかないといけないよね。
手島:
確かにそうですね。
おわりに
Visionを意思決定の指針にしながら、明確なターゲットや目的をもって一つひとつの企画を実現させる。
それらを常に高いレベルで継続しているロッテの広報からは、学ぶところがたくさんありました。
日本ベネックスも、千葉ロッテマリーンズに負けないくらい貪欲に広報していきたいと思います!
(お読みいただきありがとうございました!)
〈千葉ロッテマリーンズ関連記事はこちら↓〉
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?