見出し画像

ザック・スナイダーがブルースとロイスをマッチングさせたかった理由(ジャスティス・リーグ2)

現在制作予定が消えている幻の作品『ジャスティス・リーグ2』のためにザック・スナイダー監督らが作成済みだったストーリーボードが公開され、そこで示された構想に驚きの声が上がった。

なんと最初の段階ではロイスがブルースの子を妊娠する構想だったのだ。

バットマンの息子の母親=スーパーマンの彼女」という事態は前代未聞のことで、海外ファンの間でも賛否両論が起きた。幸か不幸か映画化権を所有するワーナーブラザース社から正式にNGが出たため、このアイデアは取り下げになったらしいが、なかなか攻めた展開である。

このノートではザック・スナイダー監督がなぜこの展開を望んだのか理由を考えてみる。

背景:公開された幻のストーリーボード

2021年3月スナイダーカットの世界配信開始の直前に、2016年冬に作成済みだったジャスティスリーグ2のストーリーボードが公開された。これはスナイダーカットの直接的な続編にあたるが、制作予定は白紙撤回されている。要するに凍結されたプロジェクトの「幻のストーリーボード」である。

今になって考えると、これをスナイダーカット公開に盛り上がる時期に公表したのは、その数週間後に「今後の続編の展開は無い」と表明するワーナーからの牽制球だった可能性があるし、そもそもこの内容はスナイダーカットのネタバレにも繋がるおかしな行為であり、ファンの反応も微妙だった。

とはいえ、ジャスティスリーグ2の内容はスナイダーカットを待望する人達にとって大いに興味のあるものであり、もともとコミコンなどでザック本人が大まかな粗筋はすでに明かしていたこともあり、ネタバレに寛容な人達を中心に読まれることになった。

しかし、そこでヒーロー達の戦いや世界規模のストーリーよりも多くの注目を集めることになった要素が一つあった。

命題:なぜロイスとブルースなのか?

なんとロイスがブルースの子を宿すのである。これはサプライズだった。

ブルース・ウェインの子が成長して次世代のバットマンを継承するという話はコミックでも何度か既出の展開で、リブートに際して設定変更などが起きるので母親については複数のパターンかある。しかし、その母親がキャットウーマンであることはあっても、スーパーマンの彼女というのは今回が初めてのことだ。

ロイス・レインはアメコミ界で最も有名なヒロインの一人であり、最も有名なヒーローことスーパーマンの彼女である。ロイスとクラークのカップルは80年という長い歴史の中でコミックや映画やテレビドラマと何度も形を変えながら続き、中には子供が生まれている話もある。自身の人生と重ねて大切に思っているファンも多い。ザック自身も過去作『MoS』でロイスとクラークの特別な関係を描いてる。それだけにクラークを差し置いて、ロイスの相手にブルースを選べば当然ファンの反発は想定できたはずだ。

日本のマンガでたとえるならドラゴンボールの孫悟空の子供をブルマが生むようなものである。いやいや、ブルマにはベジータがいるでしょうが。というか悟空とブルマというのは、なんだろう、ちょっと居心地の悪さがある。

そんな逆境をはねのけてまでザックは何故ロイスとブルースの間に子をもうけたかったのか?

ここから先は

2,504字

¥ 200

最後まで読んでいただきありがとうございます。ぜひ「読んだよ」の一言がわりにでもスキを押していってくださると嬉しいです!