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不動産業者じゃないけど趣味で宅建を受験した話

らじかせです。久しぶりのnote更新となります。
サムネは真夏に湾岸エリアで撮影しました。

私は2021年(令和3年)の宅地建物取引士試験を受験しました。
今回は宅地建物取引士(以下、「宅建」)試験の受験記を書きたいと思います。

3年前の話で需要がない気もしますが、新年度何か新しいことを始めようという方の参考になればと思います。
また、宅建取得済みの方もそうでない方もマンション購入前夜のこぼれ話として、よろしければおつきあいください。

また、これは完全に余談で、新卒の頃からマンションを買いたい気持ちはあったのでとりあえず理論武装だ!と思い、購入に踏み切れる環境が整うまでの間に宅建を取ったのですが、テキストで勉強した通りの手順を踏み、テキストに書いてあった必須の説明事項が重要事項説明書に本当に記載されていて、ついに勉強が活かされたなぁ…などと思いながら説明を聞いていました。不動産業界にいるわけではないので何もかもが新鮮でした。説明に入る前に宅建士証が提示された瞬間が一番感動しました…

20代単身のマンション購入記 その12 ~契約~


マンション購入記をはじめから読みたい方はこちらからどうぞ。
(全15話、5万字程度)


受験時の状況

・本業は不動産業界とは無関係
完全に趣味の受験です。
合格が最終目標でありつつ、不動産取引に関する知識がつけばいいかなというくらいのゆるい気持ちでした。

・独学
業務に使うわけでもなく本業もあるため、仕事の合間になるべく少ない予算と労力で学習することを意識していました。TACやLEC、ユーキャンなどの講座もありますが、講座や模試は一切受講していません。

上記のような状況だったため、本気で合格したい方には物足りないかもしれません。趣味としてゆるく勉強したい方向けの記事と思って読んでいただけると幸いです。

受験のきっかけ

不動産取引に関する知識をつけたかった、これに尽きます。

・将来はマンションを購入したいという思い
マンション購入記でも述べた通り、狭くて古いワンルームマンションに押し込まれる暮らしからどうしても脱出したかったため、新卒の頃からマンションを購入したい思いを持ち続けてきました。
ただ、受験した2021年当時は勤続年数が短く年収が安定しなかったため、マンションを購入できる状況にありませんでした。マンションを買えるようになるまで何もしないのももったいないと思い、先に理論武装しておくことにしました。
(今考えると安いうちにマンション検討を始めておけばよかった感がある…)
加えて、マンション購入時に不動産会社から足元を見られそうな属性(20代・単身)だったため、不動産業者に騙されないためにも理論武装しておいた方がいいかなという思いがありました。

・家賃値上げバトル勃発
ちょうどその頃、当時住んでいた賃貸が更新の時期を迎えました。その際にオーナーから家賃の値上げを要望されたのですが、それが適法なことなのかよくわかりませんでした。家賃値上げを回避するため、知識がないなりに奔走し、値上げは阻止できたのですが、不動産取引に対する自分の無知さを痛感しました。
宅建を取ることで多少は不動産取引に詳しくなれるのではないかと思ったのがもう一つのきっかけです。


学習方法

基本的にこれだけです。

「はじめにネットに転がっている合格(or不合格)体験記を読み、学習方法を盗む」
「テキストを読み込み、過去問を回す」
「暗記が必要な箇所は手を動かして覚える」

使用テキスト

『わかって合格る宅建士 基本テキスト』
『わかって合格る宅建士 過去問12年PLUS』

(TAC出版)

※公式サイト。アフィリンクではありません。

初学者向けに図解が充実している書籍もあるのですが(TACだと『みんなが欲しかった!』シリーズ)、出題範囲を網羅的に把握したかったのと、受験後も今後のマンション購入に向けて辞書的な使い方をしたかったので、淡々と内容が記載されている『わかって合格る』シリーズを利用しました。
また、過去問の内容が本試験でも形を変えて出題されやすいと聞いたので、12年分の過去問集もあわせて購入しました。

書籍購入者は登録すると最新版の過去問と改正情報、統計問題用の最新データをダウンロードできたのでそれも利用しました。
したがって、過去問は13年分(12+1年分)解いています。

スケジュール感

5月~6月
受験を決め、先人の受験記をネットで漁る。
自分に合いそうなテキストを購入し、通勤などのスキマ時間に読み始める。

この頃は初見の分野ということもあり、趣味の実用書を読む感覚で概念を理解するイメージで読んでいたので、特に暗記は意識しませんでした。TACのテキストは分野ごとに取り外せたので持ち歩きやすかったです。
普段は通勤時に小説を読んでいるのですが、それを宅建テキストに置き換えたような感じです。とはいえ気分が乗らないこともあり、小説を読んでいた日もありました。小説は眠くならないのにテキストを読み始めると眠くなるという現実。休日も暇なら1~2時間テキストを読む、くらいの向き合い方だったと思います。

7月~9月
過去問に着手する。

試験日から逆算して過去問を2周するイメージでいたので、ここでようやく過去問を取り出します。
週末に2時間測って過去問を解く。わからないところはテキストに戻る。1年分は残しておいて本試験直前に解く、という使い方をしました。

最初に解いた時は20点くらいしか取れず絶望しました。テキスト読んできたのに…(読み込みだけじゃ正直無理です。6月までのはウォーミングアップだし…という言い訳をしていました)

12年分解いて初見では一度も合格点を取れず、8月に入ったあたりで焦ります。このへんでやっと本腰を入れました。夏の休暇や9月の連休も宅建の勉強時間を確保するようにしました。
さすがに2周目以降は理解も深まって、一度見たことがある問題ということもあり、正答率は徐々に上がってきました。

解けなかった部分は関連箇所のテキストに戻り、キーワードを紙に書き出して覚えるようにしました。類型化できる部分は頭に残りやすいように図を描いたりもしました。

過去問は最終的に12年分を2周しました。週末を中心にこのペースで10月まで続けました。

10月
過去問を回す。
間違えた問題はもう一度解いて確認する。

この時期は間違えた箇所を重点的に見直していました。

試験直前週
残しておいた直近年度の過去問を時間を測って解く。
これまでに間違えた箇所を見直す。

30点台後半が取れたので、気負いすぎずに出たとこ勝負でいくしかないかという心境になりました。ただ余裕ではなかったです。


先に述べましたが、課金最小限で行きたかったので模試は受けていません。
トータルコストとしては受験料+テキスト2冊で1.3万円くらいでした(2021年当時)。
勉強時間は記録アプリ上で集計したところ185時間でした。記録漏れを考慮すると200時間くらいでしょうか。

各分野との向き合い方

他の資格試験や受験勉強など過去の経験上、苦手分野を作らず、偏りなく学習することが合格への近道であることは身をもって感じていたつもりでしたが、実践するとなると本当に難しいです。

民法
都度テキストに戻る。よくわからないがわかるまで何度も見た(つもり)。それでも事例問題になると難しく、逃げ腰なまま最後まで興味を持てませんでした。

宅建業法
どの受験記を読んでも「宅建業法は得点源にすべし」ということだったので、絶対に落とさないように意識しました。
民法と比べてテキストのボリュームもなかったので、これを覚えれば20点確保できる!というモチベーションはありました。賃貸借の話は実際の経験、売買の話は未来の話として興味深く勉強することができました。

法令上の制限
内容は興味深いのですが聞き慣れない用語が多く、整理して覚えるのにかなり苦戦しました。
用途地域や建築基準法などは、近隣に建っている家を想像し、日常生活に落とし込んで理解するようにしました。

その他関連知識
ボリュームが少なく、不動産に関する表示や税制の話は普段ニュースや世間話で聞くような話も多かったので割ととっつきやすい分野でした。
※宅建業従事者(不動産屋さん)はこのうち5問が免除されます。

受験

2021年受験当時の状況です。最新情報は各自ご確認ください。
受験料も当時は7,000円でしたが、本note執筆現在8,200円に値上がりしているようです。

出願

出願は7月です。郵送もできましたがインターネットで出願しました。願書を郵送する必要がなく、受験料はクレジットカードで決済できるので楽でした。ここで出願し忘れると受験できなくなるのでご注意ください。

当時は新型コロナ対策で受験会場の密を避けるために、受験人数が多い場合は受験時期が10月と12月に分散する可能性がありました。出願が遅いと12月受験に回り当初のスケジュールが崩れるおそれがあったため、早めに出願を済ませ無事10月試験を勝ち取りました。

本番

10月3週目の日曜日、ついに本番です。

会場は近所の大学のキャンパスでした。
学生、社会人、趣味で受験していると思われるおじいちゃんetc…いろいろな人が会場に集まっていました。
試験直前は過去問で間違えた部分をまとめたノートを確認しました。

制限時間2時間、マークシート択一式で50問。
その他→宅建業法→法令上の制限→民法の順番で解きました。時間制限があるのでわからない問題は飛ばして後回し。民法がほとんど後回しになり、時間的余裕はなかったです。

自信をもって回答できた問題があまりなかったなという手ごたえでした。

趣味の受験だったため、自己採点はしていません。

結果発表

合格発表は12月1日水曜日。


手ごたえがなくあまり期待していませんでしたが、ネットで番号を確認したところ番号を発見!
趣味の受験とはいえ国家試験に一発で合格することができ、うれしかったです。


しかし、事後的に自己採点をしてみたところ、合格ライン34点に対し、35点という結果でした。
受かっていたので笑い話にできますが、ギリギリを攻めなくていいのに!!

振り返るとかなりミニマムな学習時間だったので、かける労力が十分ではなかったと思います。仕事の合間の勉強の難しさよ…

(内訳)
民法 6/14
宅建業法 17/20
法令上の制限 5/8
その他 7/8
合計 35/50

戦犯はやはり民法でした。絶対に合格したい人はそれなりの時間をかけて理解したほうがいいと思います。正直、この程度の学習時間では本質的な理解には至らなかったです。

とはいえコスパ的な観点でいくと、民法を完璧に理解するには相当な時間がかかると思われるので、法律に自信がある方以外は民法はほどほどに、民法以外で取りこぼさないことが極めて重要です。
また、初学者はテキストだけでは具体的にイメージしにくいので、特にYouTubeや予備校などの助けを借りた方がいいかと思いました。

この後、正式に登録を受けたい場合は講習が必要となりますが、仕事で使うわけではないため講習は受けていません。
合格すると合格証書が郵送されてきます。

その後

民法の知識はほとんど抜けてしまいましたが(ダメじゃん)、宅建業法や法令上の制限、税制の知識についてはマンション購入時に「これ宅建で勉強したところだ!!」というのがかなりありました。

例えば…
・このマンションのバルコニーに面したエリアは第一種低層住居専用地域・絶対高さ10mなので高い建物が建つ心配がありません。
・区分所有権の目的である建物(マンション)の重要事項説明書には必ず○○が記載されます。
・マンションを買ったときは不動産取得税が課されます。

また、当時のテキストは未だに手元にあり、不動産関連の内容を確認したい時に辞書的に使っています。

なお合格後、上司との面談の際に宅建に合格した話をしてみたのですが、業務に全く関係ないため完全スルーされました。
今に至るまで本業には一切活かされていません。

そして時は過ぎ、SNS上のマンション購入界隈からは思った以上の反響をいただき、評価されるところでは評価されるんだなぁ…と思った次第です。

最後に

あくまでもこれは一つのケースにすぎず、個々人に合った勉強法があると思います。これから受験を考えている方は私の民法大コケを反面教師にして余裕の合格を勝ち取ってください。


おわり

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