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ChatGPTに歴史の解説記事を書けるのか検証してみた

こんにちは。こんばんは。

昨今、あらゆる方面で生成AIが話題になっています。会話をしたり、レポートを書いたり、プログラムを作成したり、様々なことができるため、その可能性に対して不安と期待、悪用への恐れが危惧されています。近い将来のうちには人間の能力を追い越すのではないかと心配する人もいるでしょう。
その中でもダントツに有名なのがOpenAIが開発したChatGPTという生成AI。
論文の要約からビジネスメールの作成まで色々な事が一瞬でできてしまう超優秀なChatGPTですが、例えば歴史上の人物や出来事について、正確な解説をすることは出来るのでしょうか?

私はこれまでnoteに歴史に関する疑問に答えるような記事を幾つか投稿し、これからも投稿する予定ですが、ChatGPTに歴史の解説記事を書かせたら、どれくらいのクオリティーの記事が完成するのでしょうか。もし私が自分の手で書いてきた記事よりもChatGPTの記事が良ければ、来週からそっちに記事作成を任せているかもしれません。

では、早速試してみましょう。

今回は超シンプルな記事をChatGPTさんに書いてみましょう。お題は「徳川家康について」。まずシンプルにChatGPTに「徳川家康について教えて」と聞いてみたら、どのような返答が来るのでしょう?(なお、学生の私には有料版を買うお金がないので、無料版のChatGPT3.5に聞いています)

答えがこちら

徳川家康は、日本の江戸時代初期に活躍した武将であり、江戸幕府の初代将軍です。彼は戦国時代末期から江戸時代初期にかけて、数々の合戦や政治的な軋轢を経験しました。特に有名なのは関ヶ原の戦いで、この戦いに勝利して豊臣氏を破り、江戸幕府の基盤を築きました。

家康は日本を統一するための戦国大名の一人であり、その後、江戸幕府を築いて約260年にわたる平和な時代をもたらしました。彼の政策や統治手法は、徳川幕府の基盤を固めるとともに、日本の社会や経済の発展に大きな影響を与えました。

「徳川家康について教えて」に関するChatGPTの回答(2024年4月12日)

皆さんはこの回答を見てどう思うでしょうか?
歴史好きの方ならすぐに気づくのは、関ヶ原の戦いの解説が少し間違っていることでしょう。ChatGPTによると、関ヶ原の戦いで家康は豊臣氏を破ったこととなっていますが、実際には豊臣氏と戦ったというよりも生前に秀吉に仕えていた武将たちが東軍西軍に分裂して争ったという見方の方がより正確だと思うので、100%間違いとまで言えるかは少し微妙なもののやはりChatGPTの説明は不十分に感じます。

とはいえ、それ以外にはっきり間違いと呼べるものはまあなさそうという印象で、概ね正しい説明だと思います。

ただやはり記事としてはあまりに短すぎますし、字数が少ないこともあって言っていることがぼんやりとしていて家康に関する詳しいことがこの文章からは分かりません。加えて、この中で述べられているのはほとんど関ヶ原の戦いと江戸幕府の開幕についての話で、幼少期や大坂の陣の話がスルーされているのが気になります。

そこで、字数を意識した聞き方をしてみました。「徳川家康について1000字で教えて」と質問した答えがこちらです↓↓↓

徳川家康は、日本の歴史において極めて重要な役割を果たした武将であり、江戸時代の初代将軍として知られています。彼の生涯と功績について1000字でお話ししましょう。

徳川家康は1543年、現在の愛知県安城市に生まれました。幼少期から武将としての才能を示し、若くして父の遺領を相続しました。若き日の家康は、三河国の有力な戦国大名・今川義元の元で奉公し、義元の娘・亀姫との婚姻を通じて今川家との関係を深めました。

しかし、天正10年(1582年)、今川家の滅亡を受け、家康は独立を図りました。その後、織田信長や豊臣秀吉との抗争の中で、家康は領土を拡大し、1584年には東三河の国主となりました。

家康の最大の転機は、関ヶ原の戦いでした。この戦いで家康は西軍に属し、敵対する西軍を破り、豊臣秀頼を倒して日本を統一する道を開きました。関ヶ原の戦いの勝利により、家康は豊臣氏の遺領を接収し、江戸幕府の基盤を築くこととなります。

1603年、家康は征夷大将軍に任命され、江戸幕府を開きました。これにより、日本の政治体制は幕藩体制へと移行し、徳川家の支配が始まります。江戸幕府は、江戸に将軍を中心とする政治的・軍事的な権力を確立し、全国の藩主や大名に対して統制を行いました。

家康は江戸幕府の創設者として、統治手法や政策を確立しました。彼は積極的な領土政策を行い、東海道や日光東照宮などの重要な建築物やインフラストラクチャーを整備し、国土の安定化に努めました。また、対外的な交易を促進し、海外貿易における日本の地位を高めました。

家康はまた、文化や芸術の庇護者としても知られています。彼は茶道や武道、俳諧などの文化活動を奨励し、多くの文化人を支援しました。特に、茶の湯や武士道の精神を重んじ、これらの価値観を幕府の基盤に取り入れました。

家康の統治は、約260年にわたる江戸時代の安定した時代をもたらしました。彼の政策や統治手法は、日本の社会や経済の発展に大きな影響を与え、幕府時代の基盤を築きました。その後の日本の歴史においても、徳川家康の業績は高く評価されています。

「徳川家康について1000字で教えて」に関するChatGPTの回答(2024年4月12日)

ChatGPTに1000字の長文を書かせると、一気にあちこちでおかしいことが起き始めます。そこまでの歴史通でなくても、これは変だぞと思わずにはいられない箇所が複数見つかるかと思います。私も家康マニアではありませんが、自分が気付いた範囲で段落ごとにおかしいところを指摘しようと思います。

1段落目はまあ良いでしょう。しかし2段落目から少し変なことがかかれています。一つは家康が安城市で生まれたという文言。ただし、実際には家康は今の岡崎市に岡崎城で生まれたので、明らかな誤りです。その後の「三河国の有力な戦国大名・今川義元の元で奉公」という表現には目を瞑ったとしても、その後の「義元の娘・亀姫との婚姻」はどこからどう見ても間違いです。なぜなら、亀姫は家康自身の娘であり、家康は自分の娘と結婚するというやばいことはさすがにしていないからです。こういう情報はネットで探せばすぐに見つかるのに、どうしてChatGPTがこんな盛大なミスをするのかむしろ不思議なくらいです。

3段落目ははっきり言ってさらにひどいです。1582年には本能寺の変が起きて織田信長が討たれたことはほぼ全ての日本人が知っている話ですが、ChatGPTはこのときに今川が滅亡したと勘違いしています。その次もミスが多すぎてわざわざ言う必要がないくらいです。

4段落目はもはや論理的におかしい内容があります。「家康は西軍に属し、敵対する西軍を破り」というのは歴史を知っている知らない関係なく間違っていると分かりますよね。また、関ヶ原の戦いで秀頼を破って遺領を獲得したという説明もおかしいですよね。

後半の4段落は前半に比べればまだましです。100%間違っていると言える内容はあまりないものの、全体的にぼんやりとした説明で、読者はそこまで有益な情報を得られないかとおもいます。

ということで、びっくりするくらいミスの多い文章で、AIが得意そうな情報や論理で初歩的な間違いが散見されます。

そうは言っても、私の聞き方が悪かっただけかもしれない。最後に少し違う聞き方をしてみました。

徳川家康は、日本史上最も重要な武将の一人であり、江戸幕府の創設者として知られています。彼の生涯と業績は多くの書籍や研究によって詳細に記述されています。以下では、参考文献を用いながら、徳川家康の生涯と功績について1000字で解説します。

徳川家康は1543年に尾張国(現在の愛知県)で生まれ、幼少期から武家の家庭で育ちました。彼の父・松平清康は三河松平家の家督を継ぎ、家康はその後を継いで若くして三河松平家の当主となりました。幼少期から将来の将軍としての才覚を見せ、勇敢な戦士として知られるようになりました。

徳川家康の生涯において最も著名な出来事の一つは、彼の関ヶ原の戦いにおける活躍です。関ヶ原の戦いは、豊臣秀吉の死後、豊臣氏と徳川氏の間で権力闘争が激化した時期に起こりました。家康は東軍の中心的指導者として西軍を破り、その後、徳川氏の統一支配の基盤を築くことに成功しました。

家康は関ヶ原の戦いの勝利を受けて、征夷大将軍に任命され、江戸幕府を開きました。江戸幕府は将軍を中心とした中央集権的な政府体制であり、全国各地の大名や藩主に対して統制を行い、安定した社会秩序を確立しました。この幕府体制は、約260年にわたる江戸時代をもたらし、日本の政治・経済・文化の発展に大きな影響を与えました。

家康は政治的手腕に加えて、文化や芸術の庇護者としても知られています。彼は茶道や武道、俳諧などの文化活動を奨励し、多くの文化人を支援しました。また、庶民の教育や産業振興にも力を入れ、地方統治の改革や水利整備などの施策を実施しました。

徳川家康の生涯と業績に関する情報は、多くの歴史書や研究書に詳細に記されています。例えば、『徳川家康の研究』(吉川英治)、『家康の生涯』(石川卓治)、『徳川家康』(小和田哲男)などが挙げられます。これらの書籍は、家康の生涯と業績を包括的に解説しており、彼の歴史的な重要性を明らかにしています。

徳川家康は、日本史上最も影響力のある人物の一人であり、その統治は日本の歴史に深く刻まれています。彼の功績は、現代の日本社会や文化においても大きな影響を与え続けています。

「徳川家康について1000字で教えて(参考文献も明示して)」に関するChatGPTの回答(2024年4月12日)

参考文献を明示すれば、それに基づいて多少正確な説明をしてくれるのでhないかと期待しましたが、結果はあまり変わらず。関ヶ原の戦いで家康が東軍であったことを認識しているのは進歩かもしれませんが、それでも生まれた場所が尾張になっていたり、あちこちでミスや不完全な説明が見受けられます。

そして、今回一番ひどいかもしれないのが参考文献。ここでChatGPTは三つ挙げています。小和田哲男先生は有名な歴史家で徳川家康に関する本も執筆されているためまだ良いとして、他の二人は私の調べた限り歴史を研究している人物ではありません。吉川英治さんは歴史小説家ということらしいですが、『徳川家康の研究』という本はどうも書いていなさそうです。また、石川卓治さんは調べましたが、歴史に関連する人物は一人も見つけられませんでした。まあ、実際にいたとしても、ChatGPTが家康についてあやまった説明をしているのに変わりはありません。

ということで、ChatGPTに歴史のことを解説してもらった結果、まだまだ修正点がたくさんあるというのが分かりました。しばらくは自力で文章を書き続けようと思います。みなさんがもし使う場合には、AIの作った文章に何度も目を通して修正することをお勧めします。

今回はあくまで無料版を使ったので、もし有料版や他のAIでもっと上手く文章が書ける場合は是非コメント等で教えてください。

では、また。

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