いずみやすお | 本当に大切なことは、シンプルだ。

マーケティングのアドバイザー。仕事のジャンル、職種を問わずに活用できるクリエイティブな…

いずみやすお | 本当に大切なことは、シンプルだ。

マーケティングのアドバイザー。仕事のジャンル、職種を問わずに活用できるクリエイティブな発想法がテーマ。さまざまな企業、チーム、個人の相談をうけ、アイディアを考え、アドバイスを行います。産業能率大学経営学部マーケティング学科専任講師「広告クリエイティブ講座」を担当。

最近の記事

コピーライターを始めるには。

少し時間があきました。 このところ、コピーライティングを教えたり 相談にのることが多く、いくつか気がついた こともあったので、ポストします。 コピーライターをはじめたい、という方は 学生であれ、社会人であれ、共通して悩まれて いることがあります。 自分はコピーライターに向いているのか。意地悪に言ってしまえば、 そんなことを気にしている段階で 「向いていないよ」と、バシッと言ってみたくも なるのですが、それだと話も終わってしまうので ちょっと先を続けますね。 コピーライタ

    • シンプルにできないか。

      アップルの仕事をしていた話は、以前にも書きましたが、 今日は、別の角度から、強いブランド作りの秘訣を書いてみます。 1 面倒くさいものは、嫌われる。朝起きてから寝るまでの間、私たちは、 否応なしに膨大な量の情報を受け取ります。 そのほとんどをスルーして、自分に関係のある情報を 選び出し、理解し、また次の情報を受け取るという 繰り返しです。 多くの情報は、簡単ではありません。 たとえば、「じつはAだけど、Bなこともあって、Cな部分も あります。」のような、複雑で面倒な話が多

      • D2Cブランドのつくりかた

        コロナウィルスの感染拡大で2020年に 注目を浴びたトピックに、ECがあります。 巣篭もり消費が増えたことで、オンラインストアの 拡充がすすみ、ASPサービスのひとつBaseでは アカウント開設の申し込みが急増しているようです。 今日は、オンラインストアを軸にして ブランディングを行っていくD2Cブランドの 育て方について、私見を述べてみます。 1 コンテンツがすべて。D2Cブランドって? という話から始めると 長くなってしまうので、そもそもを知りたいという方は、 オンラ

        • 近道なんか、あるわけない。

          わりと強めなタイトルですが、 マーケティング、ブランディング、そしてクリエイティブ について 学びたいという方からいただく質問で最も多いのが 「どうしたら、早く上達しますか」というものです。 今日は、この話について、書いてみます。 1 一人前までが、一番辛くて、楽しい。僕がコピーライターになりたての頃、 いちばん辛いと思ったことが、いくらコピーを書いても採用されない、 ということでした。 採用されない、ということは、何も残らないわけで 自分の進歩を実感できないことになります

          事業承継では、何を承継すべきなのか?

          今さらではありますが、日本経済を支えているのは 中小企業と言っても過言ではないと思いますが、近年大きな 課題となっているのが、事業承継です。 今日は、マーケティング視点から、事業承継の課題について 取り上げてみます。 1  日本経済を分断するマーケティングの谷間。若い人には馴染みがない話かもしれませんが、 かなり大雑把に言えば、日本は戦後の高度成長を経て、 バブル経済、そして長い低迷期を経て、アベノミクスへと つながってきた、という流れがあると思います。 戦後の高度成長期

          事業承継では、何を承継すべきなのか?

          ブランドが愛される理由とは?

          寒くなってきました。With コロナ 時代の事業経営、働き方などが あちこちで論じられていますが、今日はそんな問題意識をお持ちの 方のために、ブランド体験について、少し書いてみます。 1 ブランドにとって本質的な価値とは?ブランドにとって大切なものは、何でしょうか? イメージ? アイコン? 知名度?  どれも大切ではありますが、本質的ではないといえます。 なぜなら、このどれもが、「置き換えること」ができるからです。 イメージやアイコンは、デザインの変更でコントロールで

          スランプになったら、覚えておきたいこと。

          アイディアビジネスに取り組んでいると ある日突然、いい案ができなくなります。 打ち合わせにいっても、周りのクリエイターは 面白いアイディアをどんどん出すのに、 自分のアイディアは平凡でつまらない。 野球でいえば、急に打てなくなるホームランバッターの ように「スランプだ」などと言いますが、 果たしてその正体は、何なのでしょうか。 1 なぜ、アイディアが突然、出なくなるのか?アイディアが出なくなる原因で最も多いのは 自信喪失、ということではないでしょうか。 自分の考えているアイ

          スランプになったら、覚えておきたいこと。

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          ブックオフの広告は、なぜ手の込んだ演出をしているのか。

          「ブックオフなのに、本ねぇじゃん」の広告で話題になった ブックオフですが、当時は、本以外の商品の取り扱いをはじめた ことで、このコピーを使用したわけですが、それが別の事態でも 使われることになりました。 コロナウィルス感染症の広がりで、売るための本そのものが なくなってしまったようで、「本を売ってほしい」という企画が スタートしています。 1 この事例は、どこが優れているのか? この事例は、アイディアそのものだけでなく、 ユーザーの心理を考えたことが成功要因だと思います。 本を売るユーザーにとってみれば、 ブックオフでもどこでもいいわけですが その「気持ち」をどうしたらブックオフに向けさせる ことができるか、というのがチャレンジだったでしょう。 買取サービスでは「高価買取」が決まり文句ですが 多くのユーザーにとって、この決まり文句は聞き飽きています。 「高価買取」と言われただけで、それを鵜呑みにして 行動するユーザーは、そう多くはないでしょう。 では、何が買取店を選ぶ基準になるのか? この企画には、その答えが示されています。 2 どうせ売るなら、の気持ち。 本を売ろうかな、と思うとき、こまかく調べる人も いるかもしれませんが、多くの人は、なんとなく目に入った お店、知っているところ、というのが現状ではないでしょうか。 ブックオフでは、おそらく、そんなユーザーの気持ちや 行動をもとにしたのではないか、と思います。 この企画は、タレントでなく、ブックオフに勤務している 店員さんたちが登場しています。 長尺の動画をカットなしで撮影するため、NGが相次ぎ、 タイトルスーパーによれば、23回も繰り返したそうです。 仕事もあるのに、開店の時間も迫っているのに、 それでも、頑張って自分たちの思いを伝えたい、という 構成になっています。 そんな店員さんたちの「姿勢」を見せることで、 ユーザーの気持ちの中に、こんな変化が芽生えてこないでしょうか。 「どうせ売るなら、ブックオフで売ってあげようか」 企画である以上、このあたりを計算しているのですが 一生懸命な店員さんたちの表情を見ていると、 素直に「協力してあげようか」という気持ちになる人が 多いのではないか、と思います。 3 話題になれば、効果も期待できる。 さらに、この動画は「面白いからツイートしよう」のような 話題拡散していくことも設計されています。 ペイドメドィアのリーチよりも、話題拡散のリーチのほうが 爆発力がはるかに違います。 また、共感をもって広まっているため、同じリーチでも 単に「目に触れた」というリーチでなく、気持ちを動かす 力をもったリーチともいえるでしょう。 ちなみに、こうして僕もSNSで話題にしているわけ ですから、ブックオフの術中にはまっているのかもしれません。 広告の事例は、企画の背景や考えを類推すると マーケティングの良い勉強になると思います。 皆さんも気になる事例があったら、 バックキャスティングしてみると 面白い発見があると思います。

          ブックオフの広告は、なぜ手の込んだ演出をしているのか。

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          デザインは、センスが大事?

          今日は、広告のクリエイティブ ディレクターとして 長く働いている僕の視点から、デザインにとって 何が大切なのか、という考えを書いてみます。 1 手になるな。広告クリエイターに入門すると、先輩からよく聞かされる ことがあります。 手になるな。 その意味は、手を動かして作業をすることだけを 目的化するな、ということです。 もう少し詳しく話します 広告制作の仕事は、広告のアイディアを考える ことが出発点になります。アイディア開発は楽しいと思われがちですが 仕事として取り組

          コピーライターになりたい。

          かつて、コピーライターが人気職業の上位ランクに 入っていたことがありました。「コピーライター」という雑誌まで 創刊されていたくらいです。 今では、当時の見る影もありませんが、それでも時々、 僕のところに「コピーライターになりたいのですが、どうやって 勉強したらいいでしょうか」と質問をいただくことがあります。 今日は、その話をしてみます。 1 コピーライターの定義が変わった。かつては、コピーライターといえば、キャッチフレーズを 考えることがメインの仕事でした。短いシンプルな一

          アイディアは、誰でも考えられる?

          いまや多くの情報が、ネットで簡単に手に入ります。 自分の意見を発表する機会も飛躍的に増えました。 アイディアを考え、意見を出し合う習慣も 日本にも根付いてきたように思います。 その一方で「アイディアはあるけど、先にすすまない」という 声もよく聞きます。 今日は、アイディアの考え方、見方について ちょっと書いてみます。 1 アイディアと思いつきは、違う。「ひらめいた!」 アイディアを表現するときに、よく言われます。 「降りてきた!」 こんな風に言う人もいます。 アイデ

          コンサルタントとクリエイターは、何が違うのか?

          今日は少し角度を変えて、仕事の違いについて 極めて個人的な経験をもとにした考察を書いてみます。 僕は純然たるコンサルタントとして仕事をしたことがないのですが 今までご一緒させていただいたコンサルタントの方との経験上、 問題解決をするためのアプローチがクリエーターとは、 いろいろと異なっているように思いました。 1 コンサルタントは、答えを出すまでが仕事? 最近では、運用も行う実践型のコンサルタントの方が増えているようですが かつて、クライアントへの提案書の打ち合わせをして

          コンサルタントとクリエイターは、何が違うのか?

          USPの逆襲

          クリエイティブの記事が続いたので 今日はマーケティング戦略の話のうち、USPについて 書いてみます。 1 ブルーオーシャンを探せ。 かつて、マーケティング戦略のひとつにポジショニング戦略ということが よく言われました。競合と自社を比べながら、競合に対する優位点や 競合がいない場所、ブルーオーシャンな位置を探すための 考え方ですね。 なかでもポジショニングマップは、そのわかりやすさから プレゼンテーションでは、多用されたような記憶があります。 今でも時々、使われているかもしれ

          100案、考えろ。

          ある程度の年代の方ならご存知と思いますが、 クリエイティブ の修業のひとつに100案以上を考える、という ものがあります。今日は、クリエイティブ のトレーニングについて 少し書いてみます。 1 100案の頂上に辿りつくには? 僕がコピーライターの入門期は、まだPCがなく コピーはすべて手書きでした。そのため、コピーライターで 技量がある人は、文字を見ればわかる、と言われていました。 手書きなので、たくさん書いていると「書き慣れている文字」に なるためです。 また、コピーライ

          クリエイティブの仕事は、大変なのか。

          僕は大学で広告クリエイティブの授業を行っている関係で 若い人からよく聞かれます。 「広告クリエイティブの仕事に関心はあるが 仕事がハードではないか」 その答えは、イエスでもノーでもあるのですが 今日は、広告クリエイティブの仕事の実情について 少し書いてみます。 1 マスコミは、体力? 僕がコピーライターに入門した頃は、広告に限らず マスコミ業界はめちゃくちゃな労働環境でした。 打ち合わせが始まるのが10時(夜です)というのも珍しくなく、 残業、という概念がありませんで

          クリエイティブの仕事は、大変なのか。

          デザインのプロは、どこが違うか。

          今日もデザインについて書いてみます。 イラストレーターやフォトショップなどのアプリケーションが 個人でも導入しやすくなったことで、誰でも 簡単にデザインができるようになりましたね。 デザインやクリエイティブが活性化するうえでは とてもいいことだと思います。 その一方で、プロとの線引きが曖昧になってきた こともあり、「表面的なデザイン」が増えているという 残念なこともあります。 今日は、デザインのプロの考え方の一端を 書いてみます。 1 気分や感覚に頼らない。 前回のエ