現代組織のあり方を考える|2つのギバー
▽ギバー・テイカー・マッチャーとは
最近耳にする機会が増えてきた「ギバー」「テイカー」そして「マッチャー」というワード。
アメリカウォートン・スクールの組織心理学を専門に研究する学者アダム・グラント氏によって提唱されたもので、人間の思考と行動を3タイプに分類した言葉である。
簡単にいうと、
ギバー(与える人)
テイカー(受け取る人)
マッチャー(バランスをとる人)
簡単に言いすぎた。もう少しわかりやすく伝えると
ギブ&テイクというという言葉もよく聞きますよね。
TEDの中でアダム・グラントさんは、生き方としては無難だと思われていて、ギブ&テイク思考のマッチャータイプが割合としてい一番多いと言っています。
ただ、もっとも効果的で生産的な生き方ではなく、成功する人はギブ&テイクのタイプ(マッチャー)ではないとも言っています。
では、成功者はテイカーか?
マッチャーはやってもらったらやってあげる。
逆に”やられたらやり返す!倍返しだ!”的な思考も持っています。
多くの人はマッチャーなのでテイカーの様な”してもらうだけ”の人は最終的にしてもらえなくなるツケが回ってくるのです。
では、最も成功をおさめる事ができるタイプはというと”ギバー”の人だそうです。
そして反対に最も成功をしなかったタイプも”ギバー”の人だそうです。
え?どちらもギバー?と思うかもしれませんが、実はギバーには二つの種類があります。
▽自己犠牲型ギバーと他者思考型ギバー
自己犠牲型ギバーとは
このタイプのギバーは、相手の利益には興味関心があるが自分の利益には無頓着すぎて、与える一方ばかりで、自分自身に向かなくなり、自分の利益を損ない、最悪自分自身が壊れてしまう恐れがあるタイプ。
バーンアウト(燃え尽き症候群)になってしまう人がこのタイプかと思います。
他者思考型ギバーとは
このタイプのギバーは、相手の利益と自分の利益の双方に興味関心があり、相手に多くを与えるが、自分も受け取る側になっていいという考えも持っているタイプ。
グラントさんは「ギバーは最も貴重な存在なので、自己犠牲型にならないように守らなければいけない」と言っています。
ではどのように守るのか。
それは「人に頼るということが当たり前であるという下地づくりが必要」
組織で誰もが頻繁に助けを求められる文化を作ること。
そしてギバーのような振る舞いを増やすことが組織にとって重要です。
さらには、組織において”与える”行為全般のほとんどが”お願い”から始まると言っています。
なるほど、「借りを作る」のように「恩を受けた恩を返す」のが当たり前の組織になっていると、”お願い”がしにくくなりますよね。
一方で自己犠牲型ギバーの人はお願いをする事が苦手な人も多いです。
では、どのような組織が一番良いのでしょうか?
▽組織必要なのはギバーを増やすことでもない
組織でギバータイプの人間を増やせばいいのか?
答えは「No」です。
組織ではギバーの人を増やせば良いという訳ではなく、
テイカーを排除する事が重要だという事です。
個人的には”排除”という言葉は好きではありませんが、テイカーが組織に一人でもいるとギバーが苦しむという状況が起きるというのです。
何でも「ギバーにやってもらおう」というギバー搾取が起きてしまい、親切連鎖は生まれず組織が崩れていく。
そうならない為にもマッチャーの存在は大きく、ギバーとマッチャーだけの組織にし、少しずつ親切の輪を広げていく事が重要です。
▽テイカーの見分け方
でも、実際にテイカーを排除と言われても、ギバーかテイカーを見極めるのも難しいですよね。ギバーにもテイカーにも様々なタイプがいるようですし。
人当たりの良いギバー(一番よく見える)
人当たりの悪いギバー(良いんだけど、もったいない)
人当たりの良いテイカー(一見よく見える、あぶない)
人当たりの悪いテイカー(関わりたくない)
こんな感じのタイプがいるので見分けるのも難しいですね。
ただ、グラントさんはある質問で見極めることができると言っています。
「あなたがこれまで影響を与えたと思う人を4人挙げてください。」
この質問で、自分より権威力のある人・目上の人・影響力が強い人をあげた場合はテイカーの可能性が高いそうです。
逆に、自分より権威力のない・目下の人間・影響が弱い人をあげた場合はギバーの可能性が高いそうです。
テイカーは「凄い人にさらに影響を与える事ができる自分」を周囲の人に見せ評価をされたいんだと思います。
グラントさんは最も意義のある成功の形は”他者の成功を手伝うこと”と言っています。
親切が生まれる組織を作っていきたいですね。
▽自分はギバータイプの人間か?
さて、私はどうだろうか?
と考えた時に、私の仕事は福祉業界。いわゆる人を支援するお仕事なので、基本的に目の前の人の幸せに思考が向いています。
そして常々他者のことを考え、誰かの役に立てた時の幸福を強く感じます。
ただ、「やってあげたのだから、何かやってよ」という期待や見返りを求めてしまうと、そうならなかった時にせっかく高まった幸福が下がってしまうので、期待をしない、見返りを求めないといつも決めています。
なのでギバータイプの人間なのだと思います。
では、自分は自己犠牲型なのか他者思考型なのか?を考えた場合、自分はこの人の役に立ちたいなと思える人しか基本ギバーにはなれないので、他者思考型なのかもしれません。
どんな人にでもギバーの押し売りはしませんが、相手がギバーの人、特に自己犠牲型になりそうな人へは惜しげもなくギバーの押し売りをしてしまいます。笑
私は他者へ幸福を与えるギバーでありたい。
けど自己犠牲型のギバーの人は、自分が受け取ってはならないと思ってしまう傾向がある人もいると聞きます。受け取るということに慣れていなく、自分が受け取る側になると逃げ出したくなることがあるようです。
う〜ん、むずかしい。思いがうまく噛み合わない事もあるようですね。
ギブが溢れ幸福を与え合える組織、社会を作っていくにはどうしたら良いのだろうか。
わかるにはもう少し時間がかかりそうです。
では、今日はここまで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?