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餅の詰まらせにご注意を!

 いよいよ今年も残すところわずかとなりました。年末年始になると急に増える事故の1つに「餅による窒息」があります。この餅による窒息がなぜ起こるかというと「誤嚥(ごえん)」です。
 誤嚥とは飲食物が食道ではなく気管に入ることを言い、「窒息」とは誤嚥によって気管に入った飲食物により気道が塞がれて呼吸ができない状態のことを言います。事故を起こしやすい食品として「餅」、「こんにゃく入りミニカップゼリー」、「飴類」、「パン」、「肉類」、「魚介類」、「果実類」、「米飯類」が挙げられるそうですが、中でも1口当たりの窒息事故頻度は「餅」が最も高いそうで、次いで「こんにゃく入りミニカップゼリー」、「飴類」となっているそうです。年末年始は雑煮などで餅を食べる機会も増えるので特に注意が必要になります。
 誤嚥や窒息のリスクは基礎疾患や摂食嚥下機能の低下、認知機能、食事環境等の変化などが挙げられます。加齢とともに摂食嚥下機能、口腔機能等は低下するため、高齢化が進む現代では誤嚥による窒息事故は増加傾向にあるそうです。
 では窒息が起きるとどうなるかというと、窒息が起きると低酸素血症による意識消失や呼吸停止による心停止など短時間で重篤、致死的な事故につながってしまいます。なので、窒息が起きてしまった場合は早急に対処する必要があり、自宅や出先で起こってしまった際には救急要請することが重要です。
 窒息の症状は、まず咳やむせ込んで次第に呼吸音に変化が生じて気道が完全に閉塞すると声が出なくなります。その際に無意識に喉の辺りを手でつかむような動作が見られますが、これは世界共通のサイン「チョーキング・サイン」として知られているそうです。成人を対象にした異物除去方法として背部叩(はいぶこう)打(だ)法、Heimlich(ハイムリック)法などがあります。このような方法は意識がある方を対象とする場合に行ってください。既に意識が無い場合は早急に救急要請、さらに心停止してしまっている場合には自動体外式除細動器(AED)を使用することが望ましいとのことです。窒息の際の緊急対応方法については日本医師会が公開している救急蘇生法をご参照ください。
 窒息事故の危険性や発生時の対応方法をご紹介しましたが、何よりも大切なのは窒息事故を起こさないことになります。消費者庁から「餅による窒息事故を防ぐためのポイント」が公開されています。

1.     餅は小さく切り、食べやすい大きさにする
2.     飲み物や汁物などを飲み、喉を潤してから食べるようにする(ただし、よく噛まないうちに飲み物や汁物で流し込むのは危険)
3.     一口の量は無理なく食べられる量にする
4.     ゆっくりとよく噛んでから飲み込む
5.     高齢者が餅を食べる際は見守りながら食べるようにする

 楽しい年末年始を過ごすために窒息事故を起こさないことが最も大切になるので、上記のポイントに気を付けてください。
 窒息事故を起こさないためには、どんな食べ物でもしっかりと噛んで細かく飲み込みやすくすることが大切です。しっかりと噛んで食べるには健全な口腔内が必要です。年末となり歯科医院も休診となる医院が増えてきていると思いますが、新年は歯科で検診を受けてまずはご自身の口腔内のリスクを知ることをお勧めします。その上で、むし歯や歯周病など既に悪くなってしまっている箇所の治療を進めて、しっかりと噛める口を取り戻すようにしましょう。

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