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裸形のモンゴロイド

夜空でつくったマントに
自分だけの星を配置し終わったら
賑やかに船出しよう
我らの祖先が
故郷の地アフリカを出立し
遥かユーラシア大陸を踏破し
マンモスと太陽を追って氷原を南へ下り
列島の南端に至り
何代にもわたって
棲みついた土地にも飽き足らず
筏に帆を張り
陽の降り注ぐ砂浜から
掛け声もろとも
漂泊の旅に向かったように

積み荷は
もつれた時間の束だけ
悔恨で湿ったシャツと
袖口の割れたボタンはそのままに
おのがじし
星座煌くマントをはためかせ
心は
裸形のモンゴロイドとして
波立つ舳先に立ち
瞬きもせず
ただ腕組みして
フンボルト海流よりもまだ暗い
海原をゆく

(詩集『フンボルトペンギンの決意』第1章「旅程」より)


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